6.アマリスのお見合い
どこの世界でも、噂とは瞬く間に広がるものである。
アマリスの友人にも、情報通の令嬢がおり、
デュークの婚約話も耳に入ってきた。
お相手は、平民ではあるが、父親が筆頭侯爵であり、デュークの帰国に合わせて、彼女もこちらの学園に留学するらしい。
結婚の際には、侯爵家より多額の持参金が入るそうだ。
リドリー男爵が、この婚約に乗り気なのも納得である。
信じて待っていたのは、アマリスだけで、
裏切られていたのだ。
自分が馬鹿馬鹿しく思えてきて、もう涙も出ない。
「あの、アマリス様?
私の婚約者のカイル様に、何か良縁がないか
聞いてみましょうか?」
(気を遣われてしまったわ。)
「大丈夫ですわ。リティシエ様。
以前より、縁談話がありましたの。」
これは本当である。アマリスにその気がなかったため、放置されていたのだ。
早速、家に帰ったら、確認してみよう。
アマリスは、もう何もかもどうとでもなれという、そんな気になっていた。
そして、家に帰り、早速釣書を確認したアマリスは、父に言った。
「私、この方とお会いしてみますわ。」
「そうか、そうか。急いで手紙を書かねばな。」
「それじゃあ、街に新しいドレスを買いにいきましょう!」
父も母も作ったような笑顔である。
アマリスは、父にも母にも気を遣わせてしまっているのがわかり、申し訳なく思った。
部屋に戻ったアマリスは、釣書を眺める。
アシュリー・グレイシス伯爵25歳。
グレイシス領は、北部にあり、北部は特に害虫被害が多く、小麦栽培に苦慮しているのだ。
(なるほど、だから、うちの新種の小麦栽培の知識が欲しいのね。)
アマリスはむしろ納得がいった。
(愛だの恋だのよりも、相互利益がある関係の方が、きっとずっと上手くいくわ。)




