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5.デュークの失態
デュークは、冷や汗を垂らしながら、ただただ固まっていた。
ミランナの父親は、この国の筆頭侯爵であったのだ。
デュークの国では、何代か前の国王夫妻の尽力があり、貴族や王族が愛人を囲うことはタブーとされていた。そのため、そのような風習はなく、デュークもすっかり念頭になかったのだ。
よくよく考えれば分かりそうものである。
ミランナが平民なのに貴族学園に通えているのも、母親が寮母をしているから特別なんだろう、くらいに思っていたのだ。迂闊だったとしか言いようがない。
(あぁ、くそっ。油断した。)
複雑な出自を持つ平民の娘の結婚相手に、隣国の男爵令息は、これ以上にない持ってこいの相手であった。
この国の筆頭侯爵が、そんなデュークを逃すわけがなかった。
(こんなつもりじゃなかった。なんで、こんなことに。くそっ。失敗した。失敗した!)
いくら後悔したところで、デュークにはもう、なす術はなかった。




