22.続・初めてのデート
有栖とアルは、更にデートを続ける。
引き続き、デートを楽しむ私達。
次なる目的地はゲームセンター。
私も数回程、蘭菜に連れられて行った事があるぐらいだけど……。
スマホのナビ機能を使い、最寄りのゲームセンターへやってきた。
「うお……うるさいなここ」
「そうね」
ゲームセンターという場所はとにかくうるさい。
そこら中の機械から、音楽が流れていたりするからである。
対戦ゲームコーナーでも「アィィ!」とか「ぶっ殺してやるよマジで!」とか、物騒な言葉が飛び交っている。
何やら大会をやっているっぽい。
「あったあった」
少し奥まった所へ入ると、プリクラ機が並んでいるコーナーを見つける。
「アル、こっちこっち」
「ぬん?」
手招きしてアルを呼ぶと、ゆっくりとこちらへ歩いて来た。
「これにお金を入れて撮影すると、シールが出てくるのよ」
「サツエイ? シール?」
あ、まだその辺の事は未経験だったわね。
写真とかも撮った事ないし、今度撮ってもらいましょう。
「ま、試しにやってみましょ?」
「お、おう」
お金を入れると、スピーカーから「フレームを選んでね」という声が聞こえてくる。
「何!? 何処に隠れてやがる!? この中か?」
「中には誰もいないから」
もうこのやりとりには慣れたものである。
適当に可愛らしいフレームを選び、撮影効果なんかも適当に選ぶ。
「じゃあ撮影するよー。 3、2、1」
撮影される瞬間を見計らい、アルの腕に自分の腕を絡める。
「のわっ!?」
パシャ!
「ふふー、どんな感じになったかなー」
シールが出てくるのを待っている間、後ろで何やら言っているアルを無視する。
「あ、出てきた。 ぷっ……あはは」
「何が可笑しい!?」
出てきたシールを見せてあげる。
アルはとても間抜けな顔で写っていて笑える。
「何だこれ? 俺と有栖がいるぞ?」
「これがシールよ。 この機械はね、さっき中で撮影したまんまの姿を、シールにしてくれるのよ」
「んー……よくわからないが、思い出に向こうに持って行くには良さそうだな」
「そうね」
これをアルが持って帰ってくれれば、私の事を忘れないでしょ。
「よし、次はUFOキャッチャーよ」
「なんか良く分からないが、お前が選ぶなら楽しいんだな!」
私はアルを引き連れて、プライズコーナーへ向かう。
何台もある機械の中から、可愛らしいぬいぐるみの入った物を選ぶ。
初めて見る物に、アルは興味津々である。
「これはどういう物なんだ?」
「上に何かあるでしょ?」
私はアームを指差してアルに説明する。
「このレバーを倒すと、あれが動いて……」
「ほう!」
「欲しい物の上に位置を合わせて、このボタンを押すと……」
アームが開いて、ゆっくりと下降を始める。
降り切ったところでアームが閉じて、持ち上げようとするも、スルリと抜けてしまう。
「……どうなったんだこれ?」
「負けよ負け。 あのアームがぬいぐるみを掴み上げて、この穴まで運んできてくれたら、あのぬいぐるみが貰えるの」
「ふうむ? よし、やらせろ!」
アルがお金を入れて、私がやったように操作する。
「んん……ここだ!」
勢い良くボタンを押す。
壊さないでよ……?
アームは先程のようにぬいぐるみを掴み、持ち上げようとするも、やはり抜けてしまう。
が、運が良い事に、アームの指の一本がぬいぐるみのタグに引っかかって、ぬいぐるみを持ち上げる。
「お?」
「いけいけっ」
そのまま、そのまま!
私はぬいぐるみの行方を目で追う。
やがてアームは、シュート入り口まで移動して開く。
指からタグがスルリと抜けて、ぬいぐるみが景品取り出し口に落ちてきた。
「……」
「……」
しばし無言で、ぬいぐるみを見つめる私達。
ビギナーズラックってやつかしら。
2人で顔を見合わせて……。
「やったじゃないアル! 天才!」
「ふははは! 今更気付いたか!」
私は取り出し口からぬいぐるみを取って抱きかかえるようにする。
「ありがとうアル。 これ、大事にするわね」
「おう」
その後も私とアルは、エアホッケーやレーシングゲームで対戦したりして、ゲームセンターを楽しんだ。
「ゲームセンター、中々面白かったぜ」
「そうね。 もし、また機会があれば来ましょ」
そう、もし機会があれば。
もしかしたら、アルとこうやって遊びに来れるのは、最後になるかもしれないのだ。
二度と機会が無いかもしれない。
「次はどこ連れてってくれるんだ?」
「次はショッピングでもしましょう」
「ショッピング?」
「買い物よ」
「いつもしてるだろ」
「夕飯の買い出しとかじゃないから」
「ふぅむ……そういえば、アリスやラーナの買い物によく付き合わされてたが、あれがショッピングってやつなのか?」
「ふふ、多分そうよ」
アルは「あれはつまんなかったぞ!」と文句を言ってきたが、予定を変更する気はない。
無視して、目的のショッピングモールへ向かう。
◆◇◆◇◆◇
「一段と人が多いな」
「まあね」
周りを見ながら、ゆっくりと歩く。
目ぼしいお店はないものかと、キョロキョロしていると、一軒の洋服屋を見つけた。
メンズ向けのお店ね。
「アル、そこ入るわよ」
「お、おう」
アルの手を引っ張り、お店の中に入る。
「服屋か」
防具屋と言わなくなったのは成長の証である。
私の教育の賜物ね。 自信つくわ。
「新しい服、買ってあげるわ」
アルが来た当初に3着程買って上げたのを着回しているが、ちょっとオシャレなのも買ってあげたい。
見た目かっこいいんだし、服装も気にしてあげなきゃね。
「んー」
いくつかの服を取って見ては戻す。
そんな事を繰り返していると、アルが1着の服を熱心に見ていた。
「あら、それ良いじゃない。 大人っぽくて素敵よ」
「これが気になってな」
別に特別変わったデザインでは無いけど、アルが気に入ったなら文句は無い。
何より、アルに似合いそうだ。
「試しに着てみる?」
「おう」
私はフィッティングルームへアルを連れて行き、中で着替えさせる。
しばらく待っていると、幾分大人っぽくなったとアルが姿を現した。
やだ、かっこいいんですけど。
「どうだ?」
「良い! それにしましょう」
即断して、すぐに会計へ向かう。
お金を支払い、アルには買った服を着たままでいてもらう事にする。
「アリスとラーナは自分達の物ばかり買って、俺には何も買わなかったが、有栖は違うな!」
「まあね」
喜んでくれたみたいだし良かった。
「さてと、次はー……」
と、次に目に止まったのは宝飾店。
やはり女の子としては、綺麗なアクセサリーで着飾りたいものである。
が、さすがに生活費を削ってまで買う事は出来ない。
完全にウィンドウショッピングである。
「アル、次はあそこね」
「あいよー」
宝飾店へと足を踏み入れる。
「はぁー……綺麗ねー」
「目がチカチカするぞ」
宝飾の良さがわからない奴ね。
「しかし、どれも高くないか? 今ままでこの世界で見てきた中で一番高いぞ。 買えるのか?」
「買えないわよ。 こんなの買ったら、1ヶ月まともなご飯食べられないわね」
「それは困るな!」
ふと、指輪に目をやる。
永遠の輝きか。
ダイヤの指輪を見つめる。
いくら見つめても0の数が減る事はない。
「こんなのを好きな人にプレゼントされたら、どんなに嬉しいのかしらね」
「……エンゲージリングってやつか? ヴィエラザードでもそういう物がある」
「へぇ?」
アルがそういう物を知っている事に、少しだけ驚いた。
「やっぱり高いんだな」
「そうね。 こりゃ手が出ないわ」
「……だな」
少しアルの様子がおかしくなった様な気がしたけど、すぐにいつも通りに戻る。
「少し休憩しましょうか?」
「おう」
私達は宝飾店を出て、休憩出来そうなカフェに入る。
宝飾店を出てから、アルはしきりに何かを考えている様だけど、聞いてみても「何でもない」と言うので仕方がない。
時間はもう夕刻前。
回れてあと一か所ぐらい……どこに行こうかしら?
アルが何かを考えているようだが一体?




