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18.夏休み最後の1日

夏休みも残すは最終日。

バイトも入れずにのんびりと……

 夏祭りも終えて、あとは夏休みが終わるのをただただ待つだけとなった最終日。

 バイトも今日は入れずにだらだらと過ごす──。


「はずだったんだけどなぁ……」

「にゃははは! 今年の夏休みは2度と来ないんだよ有栖! 楽しまなきゃダメさー!」


 私がバイトを入れなかったのを見た蘭菜は、すかさず遊びに誘ってきた。

 しかもこんのあっついのに、遊園地と来たもんだこれ。

 熱中症で倒れるわよ。


「な、何だここは!?」


 当然、遊園地なんて見たこともないアルは、見る物見る物に対して一々リアクションを取る。


「キャアアアア!」

「な、何だ! 敵襲か!?」


 絶叫マシンに乗る人達の悲鳴を聞いて、剣を抜くようなポーズで身構える。

 今日も面倒くさい事になりそうね。


「よーし、手始めにジェットコースターから行こうじゃないのさ!」

「あー、私パス」


 絶叫系は苦手なのである。

 もっと大人しいアトラクションなら大丈夫何だけれど……。


 上を走るレールを見上げてみる。

 グネグネして、ぐるんぐるんしているのが見て取れた。

 あー無理無理。


「アル兄! 有栖を抱えてついてきたまへ」

「おう」


 サラッとお姫様抱っこにされてしまい、ジェットコースターの列に連行されてしまった。


「こら、下ろしなさい!」

「むふふー、アル兄のしつけは完璧なのだよ。 アル兄は私の意のままなのさ」

「な、何したのよ……」

「ひーみーつー」


 な、何なのよ一体……。


 抵抗虚しく、私はジェットコースターに乗せられてしまった。

 拷問だ……訴えてやる!


「ところで、この乗り物はなんだ? 電車に似てるが……」

「今にわかるさー」

「ガクガク……」


 コースターが最高点まで登り切って次の瞬間……。

 私は意識を手放した。


「あひぃ……あひゃひゃひゃ」

「あ、有栖……その、ごめんちゃい。 まさか自我が崩壊する程とは思わなかったよ」

「大丈夫かー?」

「あ、あい……腰が抜けて立てませんです」


 情けないことこの上ない。

 私は仕方なく、アルに背負ってもらう事になった。

 恥ずかしい。


「ごめんよぉ。 絶叫マシンはもう諦めよう」

「べ、別に私が乗らなきゃ良い話でしょ……」

「あ、そっか」


 蘭菜は「てへぺろ」とか言いながらおちゃらけている。

 このままでは私がアトラクションを楽しめないという事で、自分で歩けるようになるまでベンチで休ませてもらうことになった


「ごめんねアル。 重かったでしょ?」

「あ? そんな事は無かったぞ?」


 それもそうか。 アルはこの世界の常識では測れないものね。

 きっと私なんか担いでも、何ともないでしょ。


「ただな、柔らかい物が背中に当たって気になって仕方なかったぞ」

「……あのねぇ」

「にゃはは! 有栖のおっぱいそこそこあるからねぇ」

「おっぱい言うな!」


 ぐぬぬぬー、まともに動けさえすれば2人の頭を殴ってるのにぃ!

 蘭菜は、私が動けないのをわかっててニヤニヤしっぱなしである。

 覚えておきなさいよぉ。


「それにしても、ユウエンチってのは変なとこだな? 遊び場って感じか?」

「そうだね。 さっき乗ったの意外にも色々あるよ」

「みたいだな」

「2人で何か乗ってきたら? 私まだちょっと無理そうだし」

「何さー! 有栖も一緒じゃないと楽しくないじゃん―」

「でも私は絶叫系乗れないわよ?」

「じゃあお化け屋敷行こう!」

「お、お化けもダメなのよねー……」

「有栖君は遊園地で何だったらできんのさー!」

「メリーゴラウンドとか?」

「子供かぁ!」


 見た目お子ちゃまな蘭菜に言われるととてもショックだわ。

 でも昔からお化けとか虫とかダメなのよねぇ。


「まぁ、でも行くよ!」

「ええ……」

「立てるか有栖?」

「ちょっと待ってね」


 私はベンチに手を突いて、腰を浮かせてみる。

 何とか立ち上がれそうだ。


「うん、大丈夫……っとと」


 立ち上がるには立ち上がれたけど、少しバランスを崩して目ににつんのめってしまう。


「っと。 大丈夫かよ」


 丁度目の前にいたアルの胸にダイビングしてしまう。


「だ、大丈夫」

「おほー、これはこれは。 コケそうな振りしてアル兄の胸に飛び込むとは」

「違うから! 本当にまだ腰に力が入らなかったの!」

「はいはいー、んじゃお化け屋敷へイクゾー」

「……はあい」

「何か知らんが行くんだな?」


 もうこのメンバー集まると、私凄く疲れるんだけど何とかならないかしら?

 子供2人連れてるみたいなんですけどぉ。

 見た目子供の蘭菜と頭の中が子供のアル。

 いやいや、将来遠足の引率とかもするんだし、ここは頑張るのよ私。

 そう自分に言い聞かせて、2人について行くのであった。



 ◆◇◆◇◆◇


 お化け屋敷に来てしまいました。

 もう、この入り口の雰囲気だけでもダメ。


「ガクガク……」

「ただの作り物だよ有栖。 怖くない怖くない」


 小学生にあやされてるみたいで何か腹立つわ。


「怖いとこなのかここ?」

「それはもう……怖くて怖くてやばい所よ」

「はいはい、入りますよぉー」


 私は渋々入ることにするのであった。


「はわわわわ……来るなぁ……あっちいけー」

「にゃはは、どんだけ恐いのさ」

「ただ暗いだけじゃねぇか」


 私は、情けないことに蘭菜の後ろに隠れながら、ゆっくりと進む。

 背後にはアルがいるので私は真ん中。

 一番この位置が安全──。


「グアアアアア」

「ぎゃあああああ!?」


 お化けさんは前からじゃなくて、ピンポイントで横から出てきて私の手を掴んできた。


「アルアルアルー!」

「うおお? こいつ人間だろう……何が怖いんだ」


 どうしてこういう時は「こいつ、ミイラ男か! この世界もいやがるとは」みたいないつものやつやらないのよ!

 意味わかんなーい!


「怖いぃぃ!」

「おいおい! しがみつくなー!」

「おーおー、これは想像してたより効果あり……いや、怖がりますなぁ」


 蘭菜が何か言っていたような気もするけれど、私の頭は恐怖のあまり現実逃避をしていたため、聞き取れてはいない。

 私は終始アルに抱き付くような形で、お化け屋敷歩き続けた。


 ◆◇◆◇◆◇


 お化け屋敷を出て、またもやベンチに座り込む私。

 蘭菜もさすがに呆れてしまったようだ。


「怖がり過ぎっしょ」

「うぅっ……ぐすん」

「何が怖かったんだ? あんな所、夜のフィルダム大森林比べればなんてこたないぞ」

「知らないわよ?! 何よその何とか大森林って!」


 半分逆ギレ気味に怒鳴ると、アルはたじろいでしまった。


「しょうがないなぁ。 次は怖くないやつにしたげよう!」

「た、頼むわよ……」


 ベンチから立ち上がり、次のアトラクションへ向かうのだった。



 

 

絶叫マシンもお化け屋敷もダメ。

次なるアトラクションは?


こちらの執筆が不定期になっていて申し訳ありません。

仕事が忙しいのと、もう一方の連載作品に集中してしまっているため遅れています。

連載は続けるので、続きをお待ちください。

まだ読んでる人いればいいけど……

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