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11.夢の中のアリス

学校で倒れてしまった有栖は、アルに背負われてアパートの部屋へ帰還したが。

 学校で無理をした所為で倒れてしまった私は、アルに背負われてアパートへ帰還した。


「うー、もうダメー」


 部屋に入った瞬間に、私はベッドへタイブする。


「大丈夫か!?」


 アルが血相を変えて近寄ってくる。

 いちいち大袈裟なんだから……。


「あーるー……体温計取ってー」

「タイオンケー?」


 当然、説明した事も無いので、どういう物なのか知るわけもない。

 私は、指で体温計を片付けてある引き出しを指して、アルを誘導し、体温計を見事に持ってこさせることに成功した。


「ありがとう……」


 私は早速体温を測る。


「うわ……38.2に上がってるし……」


 ダメだわこりゃ。 明日は休もう。


「上がるとどうなる?」

「しんどくなるー」

「す、すまねぇ、俺が回復魔法さえ使えれば!」


 使えたとして、風邪に効くのかしら?


「取り敢えず……何か口に入れて薬を飲まなきゃ……」


 食欲は無いけど、買ってきた弁当を三口ほど食べて、薬を飲む。


「飯、もういいのか?」

「えぇ……残りは食べていいわよ。 んじゃ、おやすみ」


 もう限界だったので、仕切りのカーテンを閉めてベッドに倒れ込む。

 すぐに意識が遠のき、眠りについた。



 ◆◇◆◇◆◇



 また夢を見ている? 最近やけに多い。

 夢を見ている時は、前回の夢の続きだと認識出来るのに、目が覚めると内容がスッポリと頭から消えている。


「……」

「ここに居たんだ?」


 不意に声を掛けられた夢の中の私は、声の主の方へ振り向いた。

 そこには、明るいオレンジ色の髪をした、背の低い女の子が立っている。

 

「ラーナちゃん……」


 ラーナちゃんと言うらしい。

 蘭菜によく似ている。


 ……って! アルの妹さんじゃないのこの子?!

 どうして私の夢に出て来るの?!


「誰っ?!」


 夢の中の私が、周りをキョロキョロと見回しながら大声を上げた。


 へっ? これもしかして私じゃないの?


「アリスさん、どうしたの!?」

「あ、頭の中に声が……」


 ア、アリス!? 何かわからないけど、夢の中であるの世界とアリスさんと繋がってるの?!


「敵の術かな?」

「わからない……」


 さっきの感じから見て、上手くやれば私の声が届くはず。

 よし、上手くこの状況をアリスさんに説明するわよ!

 将来の夢「教師」の力見せてやるわ。


 (えーえーてすてす。 アリスさん、アリスさん。 私は今、あなたの脳内に直接語りかけています。 聞こえてますか?)


「ま、また?!」

「一体どこから?」


 (私は頭から! じゃなくて……聞こえてるみたいですね、良かった。 落ち着いて聞いて下さい。 まず、私は敵ではありません)


 まずは、敵意がない事をアピールする。


「敵ではない?」


 (はい。 信じてもらえるかはわかりませんが、私はあなた達とは別の世界の人間でして……何故か夢の中であなたに繋がってしまってるみたいなのです)


「別の世界の人間?」

「アリスさん、大丈夫?」

「大丈夫……敵意は感じない」


 繋がっている理由はよくわからない。 もしかしたらアルが近くにいる影響かも……あ、そうだ!


 (アルさんは無事です!)


「!」

「どうしたのアリスさん?」


 (暗黒なんちゃらさんの変な魔法を受けたアルさんは、何故か私の世界に転移してきました。 偶然私が拾って、今世話をしています。 バカなのなんとかなりませんか?)


「アルは無事なんですね?! ケガは?! バカなのは昔からです! 興味ない事は一歩歩けば忘れます!」


 あ、やっぱりそうなんだ。


 (ケガも無いですし、元気です。 むしろ私の方が疲労でダウンしてます)


「そ、そうですか……」

「声の人は何だって?!」

「アルは今、別の世界に飛ばされて、そこで元気にしていると」

「良かったぁ! ん? 良いの?」


 (こちらでは、アルさんをそっちに戻す方法が無いか探している最中なんですが、中々見つかりません。 そちらで何かわかる事があれば、教えて頂けると助かるんですが……)


「すいません……こちらもわかりません」


 (ですよねー)


 その後、私と夢の中のアリスさんで、お互いの情報交換を行い、私が夢を見た時は、逐一状況報告をすることを取り決めた。

 

 現在、アリスさん達一行は、アルが飛ばされた件の戦闘に勝利し、メティルという街に滞在しているとの事。

 近々、ラルフェという街へ向けて移動開始するらしい。

 

 さて、問題は夢から覚めた私がこの内容を覚えているかどうか……。

 今まで通りなら、スッポリと頭から抜けているのだがさてさて……。



 ◆◇◆◇◆◇



 目が覚めると、外は既に明るくなっていた。

 時刻は6時半。

 昨日よりは体調も幾分マシになったようだけど、まだ熱っぽい。


 しかし、何か大事な夢を見た様な気がするんだけど、内容は全っ然覚えていない。

 不思議だ。


「起きたか?」


 カーテンの向こうからアルの声が聞こえてきた。

 気配だけでわかるものなのかしら?


「えぇ、でもまだ熱っぽいし……今日は学校行かないわ」

「その方が良い。 行こうとしたら止めろって蘭菜に言われたしな」


 私の事よくわかってるじゃない……。


「アルは今日もバイトでしょ?」

「あぁ、そうだな」

「私の分まで頑張ってきてねー」

「おう!」


 迷惑とか掛けてないかしら?

 心配だわぁ。


「じゃあ、私もう少し寝るわね……時間になったらちゃんとバイト行くのよー?」

「わかってら! 今日こそはビーストテイマーとケルベロスに一泡吹かせてやる」


 また忘れてるのね、このバカは。


夢の世界でアルの世界のアリスと繋がっていること知った有栖だが、起きるとやはり夢の内容は忘れているのだった。

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