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10.有栖倒れる

日曜日、バイトから帰って来た有栖とアルは部屋をどう区切るかで話し合っていた。

 日曜日のバイトも終えて、無事我が城へ帰ってきた私とアルは、夕食を食べながら、寝室をどの様に区分けするかを話し合っている。


「まぁ、無難に等分すれば良いわよね?」

「別に、そんな広いスペースは要らないぜ? 壁にもたれて寝れるスペースがありゃ問題ない」


 それってもうアルの部屋って言うより、アル置き場じゃないかしら?


「ヴィエラザードの俺ん家は、そうだったぞ? 狭い部屋の9割5分はラーナのスペースだった」

「妹さん、欲張り過ぎない?!」

「いや、まぁ否定はしないが……」

「わ、私はそこまで酷いことしないわよ? ほら、布団だって新しいの買ったんだし、せめて布団1枚敷ける分ぐらいは」

「……わかった、じゃあそれで構わない。 どうせ、いつ迄この世界にいるかもわからんからな」


 アルは「変にこの世界に馴染みたくはない」と、夕飯の唐揚げを美味しそうに頬張りながら言った。


「じゃあ、区分けはそれで良いわね。 基本的にはカーテン全開で良いけど、寝る時とか着替えの時は閉める。 それで良い?」

「有栖がそれで構わないなら」

「はい、決定!」


 夕食を食べ終えたら、早速カーテンを付けましょう!



 ++++++++++++++++++++++



 夕食を食べ終えて、部屋の天井にカーテンレールを取り付けカーテンを掛ける。

 これで簡単に部屋分けが出来たわね。

 

「アルー? これで布団敷ける?」

「おう、ピッタリだ」

「よしよし。 んじゃ、寝る迄はフルオープン!」


 シャッとカーテンを開けて仕切りを無くす。


「じゃあ、私はお風呂入って来るから」

「あいよ!」



 ◆◇◆◇◆◇



「はぁー、生き返る……本当、一日の中でお風呂に入る時が一番至福だわー」


 まるでおばさんみたいな事言ってるわね。 でも仕方ないじゃない? 灰色の青春なんだもの。


「私だって余裕があれば彼氏作ったりしたいけどさぁ」


 余裕なんて無い無い。 この後だって寝るまで勉強だもの。

 

「はぁ……」


 その後は、お風呂から出て、予定通り1時ぐらいまで予習したり、大学の過去問などを解いていた。


 ◆◇◆◇◆◇


 ──翌日。


「はぁ……体怠い……」

「なんで休まなかったのさ?」

「欠席付け無いもん……」


 朝から体が重たくて、熱を測ったらバッチリ37.4℃あった。

 

「最近無理しすぎだよ有栖? バイト日数減らしな?」


 蘭菜が心配してくれているのはわかるけど……。


「同居人増えたし、減らすわけには……」

「アル兄も働いてくれるし大丈夫でしょ?」

「でも……」


 と、話していると、チャイムが鳴った。

 一限目は水泳かぁ。


「見学しなよ」

「でも、今日は50mバタフライのテストじゃん……出るよ」

「知らないよ?!」

「大丈夫大丈夫……」

.

 

 ◆◇◆◇◆◇



「だから言ったじゃない!」

「ぅー、大声出さないでぇ……」


 何とかバタフライのテストは受けれたけど、プールから上がった瞬間に完全にダウンしてしまい、現在では保健室で寝ているところだ。

 2限目以降の授業が受けられないぃ……。


「蘭菜……ノート……」

「わかってるって! しっかり取っとくからよく休んでなさいっ」

「ありがとう」


 2限目の授業が始まるという事で、蘭菜は教室へと戻った。


「少し寝よう……早く治して夕方にはバイト行かなきゃ……」



 ◆◇◆◇◆◇



 夢を見ている。

 またあの夢だ。

 誰かが私に話しかけている。


「今は悲しんでも仕方ないだろう? 俺達はまだ戦わなきゃならないんだ」

「わかっています! でも……」


 夢の中の私は泣いているようだ。 大切な人を失ったという事が、何となくだけどわかる。

 夢では良くあるやつだ。 知らない筈の事を、夢の中の自分はさも当たり前の様に知っている。 現実には何も失ってはいないのに、夢の中の私は何故か、大切な人を失ったのだという認識をしている。


「しかし、あれは一体どんな魔法だったのだろう?」

「聞いた事ないよ私は」

「オレには魔法の事はサッパリ」

「……アル、あなたは今どこに居るの?」


 私が失くした大切な人は「アル」というらしい。

 アル? アルは居るよ?

 アルならちゃんと、私の側に……。



 ◆◇◆◇◆◇



「この夢は……」

「有栖、目覚めた?」

「ら、蘭菜?」

「有栖、無事か?」

「へっ? アル?」


 どどど、どうしてアルが学校に?!


「いやー、アル兄は朝からバイト入ってるでしょ? 家にちょいと電話して、兄さんに連れて来てもらったわけ」

「有栖が倒れたって聞いて心配したぜ? 何か魔物の毒にやられたわけじゃないよな?」

「魔物とかいないなから……」

「にゃはは、キレが無いねー」

「しんどいのー……」


 まだ体が重い。


「蘭菜、ごめん……今日は……」

「はいはい、バイトはお休みね。 アル兄も今日はもう上がっていいからね?」

「しかしだな」

「帰って有栖の看病する! それが今日のアル兄のお仕事!」

「お、おう、わかった」

「んじゃ、アル兄! 有栖をアパートの部屋までよろしく!」


 そう言うと蘭菜は保健室を出ていった。

 元気な娘だわ……。


「よし、じゃあ帰るか? ほら、背中に乗れ」

「いいわよ……歩けるから」

「ふんっ!」

「きゃっ?!」


 アルは無理矢理私を担ぎあげてお姫様抱っこみたいにした。


「わ、わかったから……」


 私は観念して、アルにおんぶされる事にした。



 ◆◇◆◇◆◇



 学校を出る時、そこら中の女子生徒がキャーキャー騒いでいた。

 アル、見た目はかっこいいからね……。 それにしても恥ずかしい。


「アル、ありがとう……」

「何がだ?」

「わざわざ迎えに来てくれて」

「あー、蘭菜が『有栖が死んじゃう! 早く来て!』とか言うから……」

「本当あの娘は……」

「なぁ、あんまり無理はするなよな?」

「へっ?」

「お前がいねーと、俺はこの世界では生きていけねーだろ?」


 あー、飯炊きとかそういう感じか。


「はいはい、わかりましたよーだ……」


 ちょっとドキッとして損した。


「そうだ、今日はほかほか弁当買って帰りましょう……」


 今日は台所に立てる気がしないわ。


「何だか良くわからんが、有栖が言うならそれを買いに行こう」

「じゃあ、次の角を右ね……」

「右だな!」


 堂々と左に曲がろうとするアルであった。


過労で体調を崩した有栖。

アルの優しさにに少しドキッ?



もう一つの連載作品

あみあんふぁんす~幼馴染~

もよろしく願いします

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