第3話 家族のために
会社から帰った俺は家族のことを思い出していた。
『あの頃は幸せだった。母さんはよく甘えさせてくれて、父さんは厳しかったけど不器用で優しかった。』
瑠の家族は例の事件のせいで家族を失っていた。
死んだと聞いた時は悲しみに明け暮れていた。
ダンジョンが家族を殺したんだと瑠は思ってはいなかった。
全ては自分が弱かったからだと。
『いや、守る力を持っていながら守れなかったことが悔しいんだ。』
過去に遡る。
瑠がまだ高校生1年生の時、あらゆる武術を修めていた。
小さい頃から武術というものに憧れがあった。
なにより、両親がよく瑠を褒めていてくれたのだ。
そのお陰でいくつか賞をとることもあった。
「ほんと、瑠は強いんだから。ねえお父さん。」
「ああ。だが、危険じゃないのか?」
無愛想だが父はほんとに優しかった。
武術をやらせてくれるが、怪我をしないかとかよく心配してくれていた。
「大丈夫だよ、父さん。力は守るために使うよ。もちろん家族が1番大切だし。なにかあったら俺が絶対守るから。」
父と母は涙を流していた。たった1人しかいない息子に言われて嬉しくないなんてことはないだろう。
「だが、無理はするなよ。」
「分かってる。」
そう言って瑠は自室へと戻った。
瑠がここまで強くなれたのもあれが原因だろう。
「魔力のことまた言えなかったな。」
瑠は武術を通して魔力の存在に気づいたのだ。
気づいたのは中学3年生剣道大会の時、なんとなく相手がどこを狙っているのかが分かったような気がした。
攻撃をいなして、攻撃を当てることができたのだ。
そのなんとなくを意識して、魔力の覚醒に繋がったのだ。
それからは、毎日のように武術を足りない部分を魔力で補って完璧な一撃を出せるようになっていた。
そして、いつの間にか魔力なしで完璧な一撃を出せるようになっていた。
それは武術の専門家に目に留まり、将来武闘家にならないかと誘われた。
しかし、きっぱりと断った。
「まだまだ強くなれる。魔力を使いこなせれば何があっても大丈夫だ。」
瑠のもつ魔力は他にも使い道があって色々と重宝していた。
魔力を身体へと纏わせることでダメージを軽減していた。衝撃や痛みを感じないようになった。
魔力を目に集中させると、相手の魔力の動きから次の一手先を読み、攻撃につなげることができた。
魔力を肩から腕、関節、拳へスムーズに流すことでより強力な一撃を入れることができた。
これらの力は使いようによっては生活の中でも使えるものはあった。
瑠はこれからも家族を守るために更に強くなっていこうと考えた。
しかしその4年後、両親はダンジョンフローによって帰らぬ人となった。




