第2話 ダンジョン再び
いつものように仕事の準備をする瑠。
会社へ向かうため靴を履き、扉へ手をかける。
「今日もいい天気だ。」
瑠は会社へ向かうためにストレッチをする。
「いち、にー、さん、しー。」
毎朝行うルーティンのようなものだ。
瑠はストレッチを終えると会社へ向かおうとした。
次の瞬間...
「ん?魔力の波?」
瑠は覚えのある魔力を感じた。
そんな考えを傍目に見覚えのある巨大ななにかが空へと現れた。
「...俺には関係ないな。」
瑠は会社へと向かった。
会社へと着いた瑠はなんとなく予想しつついつものようにタイムカードを通し、扉を開けた。
「おい!あれはダンジョンじゃないか!」
「ふざけんなよ。あれのせいで俺の家族は...」
瑠の予想通り、会社はパニックになっていた。当時いた者からしたらまた地獄へ変わってしまうのではないかと怯えているのだ。
恐れる者や悲しむ者、彼らのむき出しの感情は瑠を苦しめた。
「あの時と同じだ。」
瑠は誰にも聞こえない声でそう言った。
「あ!先輩!」
「二ノ瀬...来ていたのか。」
「はい。あれってダンジョンですよね。世代じゃないんでどれだけ恐ろしいのかって分かんないんです。」
『そうか若い連中はあの地獄を知らないのか。』
「でも、怖いところってことは分かります。」
「日本はダンジョンに対して防衛を強化してるはずだし当時の二の舞にはならないだろ。」
瑠は二ノ瀬を安心させるために言葉を選んだ。
しばらくすると永川部長は大きな声で社員に声を届けた。
「お前ら!気持ちは分かる!だが、落ち着け!今の日本は変わった!だから大丈夫だ!だから働け!」
『何を言ってるのだろうこの阿呆は。何を根拠に大丈夫だと言っているんだ?
永川も同じ世代のはずだ。
当時のことはよく知っているはずだ。
いや、おそらく今の立場を失うのが怖いのだろう。』
永川が阿呆なことを言っていると社長が部署へやってきた。
「しゃ、社長!」
「永川君。君の気持ちも分かるが社員の気持ちも分かってやってくれ。中には身内を亡くした者もいる。」
社長がそう言うと永川は黙った。
「社員のみんな、今日はもう帰ってもらって構わない。ひと月ほど会社を休ませる。私も身内を亡くした身だ。あれが出てしまっては私もいつものように働けん。給料の方は有給の消化を行うといい。1ヶ月の間は全て休みにする。来月からはよろしく頼む。」
そう言うと社長は部署を出ていった。
永川も社長の心境を知り、何も言わず帰っていった。
「先輩、これからどうなるんでしょう。」
「さあな、だが混沌とした日常が送られるのは間違いないな。」
瑠は会社を出て家へと帰宅した。
そしてベッドへ寝転がった。
「父さん、母さん、またダンジョンが現れたよ。」
瑠はベッドの横に立てかけられた写真を持って家族を思い出していた。




