第1話 いつもの日常
心の声は『』で表現します。
あの事件から20年後、日本はダンジョンの対策を立てていた。
「ダンジョンがまた現れるかもしれない。魔物を倒すために人材が必要だ。」
テレビからそんな声が聞こえてきた。
興味ないといった感じでチャンネルを変える男がいた。
彼は穴太 瑠。今年で40歳。独身。恋人はいない。ただの会社員だ。
まだ20年代なのではと見た目は若いままだ。
「部長にまたドヤされるな。」
瑠は会社20年勤めで窓際社員だ。昇進をしたいわけでもないので、飲み会などの付き合いは全て断っている。そのおかげか上司からは目の仇にされている。
ちょうど昨日、お得意先から飲み会に誘われて断ったばかりだ。
部長が知れば怒り狂うとこだろう。
瑠は会社の準備をしつつ、上司にどう言い訳しようか考えていた。
「よし、準備おっけ。」
準備できた瑠は会社へと鞄1つで向かっていった。
1時間ぐらいで会社へ到着した。
瑠は会社へと入社し、タイムカードを出勤扱いにした。
扉を開けて自分の机へ向かおうとすると、瑠の前に小さなおじさんが仁王立ちしていた。
「おはようございます。永川部長。」
「いい度胸だな、穴太。お前、昨日お得意先から接待頼まれて断ったそうだな。」
「はい。面倒だったので。」
瑠は部長に対してヘコヘコせずに悪びれることもなく煽りで返した。
それに対して部長は口元をピクピクさせていた。
「相変わらずスカシやがって。いいか、お得意先とは仲良くやっていかんと...」
『でたよ。部長の長い説教。』
瑠は部長の話を全く聞いておらず、今日の晩飯の事を考えていた。
「おい!聞いてるのか!」
「聞いてますよ。今日は唐揚げ...あっ!」
「ろくに聞いてねえじゃねぇか!!」
部長は声を荒らげていた。
瑠は今の待遇に十分満足しているのだ。
給料は仕事さえこなせば入るので部長に媚びへつらうつもりも毛頭ない。
「はあ、もういい!仕事へ戻れ!」
「分かりました。」
瑠は部長を横目に通り過ぎ、自分のデスクへと向かった。
「おい、穴太。お前、相変わらず部長を恐れないよな。」
瑠に話しかけるのは同じ部署の二ノ瀬 翔。
「別に普通だろ。」
「さっきのマジで腹痛いんだけど。
聞いてますよ。今日は唐揚げ...ってマジでウケる!」
ケラケラ笑うこの男は瑠の仕事仲間。先月、この部署へ配属された。いわば後輩だ。
「うるさいぞ。今日も仕事だけ頑張るぞ。」
「だけ...って本当に仕事以外はするつもりないんすね。」
「当たり前だ。」
瑠は仕事を終わらせ、定時で上がるというのが通常運転だ。
もちろん、残業なんて論外。仕事を時間内に終わらせて帰る。ただそれだけだ。
ほんとうなら7/31に投稿する予定だったのですが、投稿日を間違えていました。急遽投稿しました。




