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ラスボス令嬢はエキゾチックアニマルと女嫌いの辺境伯様に溺愛される~今世ではもふもふつるざらに囲まれます~  作者: 田中飛鳥
2章

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2章エピローグ

「はぁ……」


 その日の夜。

私はなんだか、しばらく寝付けないでいた。


 理由には少しだけ想像がつく。

昼間あんなことがあったから、きっと寂しいのだ。

どうにも人の体温が恋しいのである。


 こんな時構ってくれるマルガレーテちゃんとファフニールくんは、頑張って疲れたのか既に寝てしまっていた。

もちろん自分の勝手で起こすなんて忍びないので、目下部屋で、ベッドの上で一人きりというわけだ。


 しかし結局、眠れる気配は無い。

今からカタリナや、ましてやギルバートの元へ訪ねていくなんてのも、流石にはばかられた。


「んっ!」


 そんな私を、どうやらちょうどよく癒してくれる存在が現れたらしい。

聞き覚えのある硬質なノックの音が、しかし記憶より少し優しく部屋に響く。

たぶん夜だし、同居する二人の事も考えて気を遣ってくれたんだろうな。


 すぐさま、音をたてないようにひっそりと、でも素早くドアへと向かう。


「ふふっ。御機嫌よう、トルニトルスくん」


「ゴキゲンヨウッ。セレスティーヌッ」


 開けばそこに居たのは、あれからも何度かこうして夜に逢瀬を繰り返した可愛い子、トルニトルスくんだった。


 相変わらず彼の体は、白い月明かりによく映える。

手入れが行き届いてるのだろうグレーの羽毛は、所々が滑らかに輝いていた。

対して黒々とした鋭いくちばしがかっこいい。

立ち姿も、普段貴族と一緒に居るからかどこか気品に満ちている。


「なでなでする?」


「うん。もちろん」


 カツカツと音を鳴らしながら飛び跳ねてくるのと疑問形の言葉は、撫でて欲しいという合図だ。

恐らくカタリナ様か、もしくはヒルデガルド様が、スキンシップの際にそう喋るから合図として覚えたのだろう。


「はぁッ……!可愛すぎるッ……!」


 顎クイみたいな手の形を作って触れれば、気持ちよさそうに口をパクパクしてくれる。

このままここで眠ってしまいそうな反応だ。

なんならこのままはちゃめちゃに撫でくり回して、一緒に寝てもらったりしちゃおうかな、なんて冗談を考える。


 まぁもう会いに来てくれた時点で寂しさはゼロになったんだけどね。

ほんと最高だこの子。本音を言うともっと会いたい。


「ギルバート……」


「っ……!」


 そう考えていると、ふと私の頭に浮かんだ人の名前を、トルニトルスくんは呟いた。


 思考を見透かされたのかとちょっとびっくりするけど、たぶん違う。

きっと、私の手に残った彼の匂いを感じ、思わず口に出してしまったのだろう。

昼間ずっと手を握ってたし、なんならハグまでしたからね。

ヨウムちゃんの嗅覚は人の倍よりちょっとあるぐらいらしいけど、それで分かるだけ残っててもまぁおかしくは無いんじゃないだろうか。


「うん……!次は絶対トルニトルスくんだからねっ……!」


「もっとなでなでする?」


「んふふ~。今度は両手使っちゃおっか」


 というよりもだ。


 やっぱりきっと、ギルバートもそうだけど何よりこの子が寂しい思いをしている。

こんなの絶対に見過ごすわけにはいかない。

領民さんたちへの恐怖をあらかた取り除き、カタリナとの関係も修復された今、次はトルニトルスくんの番だ。

あと、もちろんヒルデガルド様も。


 問題はまだ多いかもしれない。

今日上手くいったのは、妹とは元から、直接の信頼関係がかなり構築されていたゆえでもあるからだ。

領民たちとも、マルタさんと会ったのを通していくらか和らいでいたところもあるだろう。


 ただ、彼らへの恐怖はたぶんもう少し根深い。

何せギルバートは、自分より長く生きている二人はその分、兄や、特に父への思いが強かったはずだと考えていた。

多くの時間を過ごしてきたわけなのでね。

だから守れなかった自分はやはり嫌われていると、もしかすると今でさえ思い込んでしまっているのだ。


 原作で、そう語られていた。

そしてさらに原作では、お義母様とは結局しっかり和解できないままだった。

最期には、ちょっと話せたみたいだけど。


「セレスティーヌ?」


「あ、ううん。なんでもないよ。もっとなでなでしちゃおうね~」


「もっとなでなでする~」


 でも、絶対そんなことにはさせないから!

なんだか前よりパワーがたくさん湧いてくるし、まだまだ頑張れるぞ私は!


 なんでだろうね?

……いやまぁ、思い当たるフシが無い事は無いどころか、ほぼ確信できるフシがあるけどさ。


「ん?」


 なんて覚悟を決めていたら、背後から音がした。


「あっ。二人とも起こしちゃった?ごめんね~……」


 どうやらマルガレーテちゃんとファフニールくんが起きてしまったようだ。


「マルガレーテッ。ファフニールクンッ」


 しかし二人は怒っているどころか、真っすぐにトルニトルスくんの元へと向かい、体をすり寄せる。

ん?私には寄ってこないところを見るに、やっぱり怒ってるかも。

ただ彼らでスキンシップをとってるのが可愛すぎるので全く問題ありません。

むしろファンサ?これって私にファンサしてくれてる?


 そんな優しい姿を見て、もっともっと力が湧いてきた。

流石に明日すぐだとギルバートも疲れちゃうだろうから、また少しずつ進めていこうね。

どんどん良い方向に向かってるし、次もきっと大丈夫。


 しかし彼の心を揺さぶる事件は、思いもよらない方向から既に忍び寄ってきていた。

ちょっと精神的不調で頑張れなくなっちゃったので、更新を無期限休止します。楽しみにしていた方、ごめんなさい!


(精神的不調の理由もあり、今後更新される可能性はかなり低めです)

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