義妹様襲来②
「だから!私とお兄様の仲を取り持って頂きたいの!あなたに!お兄様は私の事を避けていらっしゃるようだから!」
「あ、は、は、はいっ!」
すると、ついには爆発するような大きさで、彼女の頼みたい事がはっきりと告げられるのだった。
照れながらなのと内容が相まって可愛すぎますよカタリナ様。
「って、ああぁ……。ビックリさせちゃったわよね……。ごめんなさい二人とも……」
「だ、大丈夫ですよ。ね?二人とも?」
「はぁ……。ホント、何をやっても上手くいかないわね、わたくしって……」
しかし私もだけど、聴覚が敏感なマルガレーテちゃんとファフニールくんはよりびっくりしてしまったようだ。
リラックス気味だった目を見開き、体を仰け反らせている。
ただ、カタリナ様がすぐ謝り、わざとでは無い事が分かると二人はすぐ彼女の元へと向かう。
片方はにょろにょろとソファの足から巻き上がり、もう片方はがっしりと掴みながら登る。
「へ……」
そして落ち込んでいるところへ身をすり寄せる。
恐らく、気にしていないと言いたいのだろう。
動きは優しくてゆっくりだ。
牙を剥き出しにすることも無い。
きっと怒っているどころか、失敗で落ち込みすぎている事を心配している。
「もしかして、慰めて、くれてるの……?」
「そうだと思いますよ。優しい子たちですから。それに、言葉も結構理解してるみたいなので」
「そう、なのね……?」
おっかなびっくり尋ねられると、どちらもしっかりとした頷きを返した。
つぶらな瞳で、嘘じゃないと見つめている。
わ~ん二人とも良い子すぎるよ~。
多少驚いただろうに気遣いできるだなんて、私より頭どころか性格も良いんじゃないか?
「カタリナ様のお兄様への思いが、ちゃんと伝わったんだと思いますよ」
「っ……。ふんっ。そう……」
さらにもちろん、カタリナ様もだ。
ちゃんとすぐ謝ったのもそうだけど、何より兄についての事で強くそう思う。
避けられてるからといって無理に近づいたりせず、今結構関わってる私に頼るなんて、どれだけ思慮深いんだ。
しかもかわいい。
あんまり強引に関わるのは駄目だと思ってるけど、でも大好きだから関わりたくなっちゃったのかもしれない。
そこで嫉妬しかねない相手に頼むなんて、よっぽど健気でお兄様大好きなんだろう。
そして人間が出来すぎている。
やっぱりこの兄妹、むしろこっちが嫉妬しちゃうぐらいどっちもいい人だ。
よ~し!ならお義姉ちゃん、そんなカタリナちゃんのためにひと肌脱いじゃうぞ~っ!
「それで、どうしましょうか」
「へ?」
「どうやったら私が、お兄様との仲を取り持てると思いますか?」
しかし、作戦はすぐには思いつかなかった。
一人では心もとないので、彼女にも知恵を出してもらおう。
ゲームでは分からなかったギルバートの事、私よりたくさん知ってるだろうし。
「……というか、受けてくれるのね?」
「え?えぇ。もちろんです」
「本当に?」
「はい。嘘ではないですよ」
そう思い何か案は無いか聞くと、返ってきたのは疑いの言葉だった。
「後で何か巻き上げようとしてたり、とかしないわよね?」
「しないですよ。そんなこと」
「ふ~ん……。そう」
やっぱりあんまり信用はされてないのかな。
若干ショックとは思ってしまうけど、まぁ仕方ない。
だって評判悪いもんね。
婚姻にあたって、お母上と同じように彼女も彼女で色々調べたのかもしれない。
でも、そんなのこれからいくらでも巻き返せるはずだ。
今回の作戦でたくさん話したりするだろうから。
何より彼女は、これまで話してて十二分に分かったけど性格が良いのだ。
ちゃんと好意を持って接していればきっと、好意を返してくれるはず。
原作でもそうだったし!
「まぁ?ちょっとお礼するぐらいはやぶさかではないけどね?」
「本当ですか?」
「えぇ。わたくしは嘘なんてつかないわ」
「わっ!嬉しい!ありがとうございます!」
そしてもし成功した暁には、お礼として友達になってもらおう。
やっぱり動物好きの同士が欲しいからね。
ギルバートとは違う、同性の。
そのためにも、これからちょっと頑張ろう。
あとは、まだ孤独を感じているだろう旦那様のためにも!
「ふん……。そんなに喜ぶことじゃないわよ。……それにお礼って言ってもちょっとだけよ?」
「はい!」
「……全く。調子狂うわね」
私が「ちょっとのお礼」にすっごく喜んだから照れてるっぽいの可愛い。
さっきからずっと、しれっとマルガレーテちゃんとファフニールくんを触り続けてるのもそうだ。
そっぽむいてむすっとしてるけど、口元が少しほころんでる。
へっへっへ。チョロいねお嬢ちゃん。これは、お義姉様と呼ばれちゃう日も近いかも。
「では、私がカタリナ様にお礼してもらうためにも、作戦会議、頑張りましょうか」
「……そうね」
ということで私たちは知恵を出し合い、そして「これなら絶対成功する!」というちょっとズルすぎるかもしれない作戦を思いついたのでした。




