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ラスボス令嬢はエキゾチックアニマルと女嫌いの辺境伯様に溺愛される~今世ではもふもふつるざらに囲まれます~  作者: 田中飛鳥
プロローグ

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2/20

プロローグ②

「君が為の盾」、通称きみたては、中々に有名かつ、一部界隈では熱狂的な支持をされていた乙女ゲームだ。


 ストーリーや世界観は中世ファンタジーモノの王道。

平民だがとある力を得た主人公は、攻略対象である貴族の男の子いずれかと絆を育み、様々な障害を共に乗り越え、やがてハッピーエンドを迎える。


 しかしあらゆるルートで最大の障害、そして諸悪の根源であるのが、セレスティーヌ・フォン・ローゼンバーグだ。

彼女は攻略対象や多くの人々を傷つけ、恨まれ、最後は惨めに一人で死んでいく。


 どうやら私は、そんなラスボスに転生したらしい。


「はぁ……」


 馬車に揺られながら、何度目かの溜息を吐いた。

前世があんな大変だったのに、今世でもそんなことが確定しているなんて……。

本当に私、前の前の人生でよっぽど悪い事したのかな?前世と違ってどれだけ考えても思い出せないけど。


 断罪まであと3年7か月。

残された時間は結構少ない。

しかもこれから2年ぐらい後にはもう、セレスティーヌはこの国を恐怖のどん底に陥れていくのだ。

わぁ。状況はもっと悪かった。

私は思わず頭を抱える。


 あれ?でもどうやってこの、侯爵家の一令嬢に過ぎない女の子がそんなことをできたんだっけな。

こんな、紫がかった銀髪に深い赤の瞳、釣り目に高めの身長っていかにも強い女な感じの少女が。

……いやまぁ、見た目だけならなんかできそうな感じはするな。

いかにも悪役令嬢って感じで悪そうだし。


「あっ!」


 しかし、記憶を掘り返しているうちに大変な事を思い出す。

遊んだのは社畜OLとして懸命に働き始めるより前だったから、すっかり忘れていたけど。

なんで私が「きみたて」大好きだったか。

なんでこの作品が一部でとっても愛されていたかをだ。


 なんとこのゲーム動物が、主にエキゾチックアニマルが出てくるのである!それと前世の世界に居た彼らの姿そのままな存在、「精霊」が。

そして原作主人公とセレスティーヌは「精霊の愛し子」という、その精霊たちから好かれやすいという力を持っている。

セレスは正確にはより強い、強制的に従わせるという力もあるんだけど。


 でも、つまり、前世の最期に思っていたことが、ここでは果たせるかもしれない!大好きなエキゾチックアニマルちゃんたちと一緒に暮らすということが!

しかも私がこれから嫁ぐ先こそ、彼らが住む森と、周辺一帯を地を治める領主なのだ!絶望的どころか、もしかしてものすっごく良い状況かも!?


「やっ……ったぁっ!!!」


 嬉しすぎて、外に聞こえそうなぐらい大声を出してしまう。

なんなら小躍りもしちゃう。

だって相手は貴族だ。しかも辺境伯。


 ということは、多分だけど社交に割かないといけない時間は少ない。

お金も結構あったはず。

お世話を手伝ってくれる侍女さんたちだってきっといる。

だからきっと、夢が叶う。

楽観的すぎるかもしれないけどね。


「~~~♪ ~~~♪」


「失礼いたし――お、お嬢様……?いかがなさいましたか……?」


 踊り続けていると振動が止まり、道中世話をしてくれた侍女さんが扉を開ける。

恐らく目的地に着いたのだろう。


 は、恥ずかしいとこ見られちゃった。

セレスティーヌは貴族だ。

一人暮らししていた前世とは違って、常に周囲に人が居てもおかしくない。

これからはテンション上がったからって変なことをしないよう気を付けないと。


「あっ。ご、ごめんなさい。なんでもないのよ。気にしないで……?」


「は、はいっ。私は何も見ておりませんのでどうかっ!どうか罰だけはっ……!」


「へ?」


 一瞬で居直り誤魔化そうとすれば、彼女は萎縮しながらも答える。

……ん?何だろうこの反応。

すっごく怖がられてる。

なんでだ?もしかしてびっくりしちゃうぐらい踊りがおかしかった?


「あっ!」


「ひっ!?」


 少し考えると思いつく。

そうだ。

「私」は屋敷の使用人たちからとても怖がられていた。

現ローゼンバーグ家当主であるお父様とお母様に甘やかされてきたセレスティーヌは、非常に我が儘だ。


 だからお城勤めの二人があまり家に居ないのを良い事に、ひたすら権力を振りかざしていた。

「このことをお父様やお母様が知ったらどうなるでしょうね?」って。

随分ひどいな私。

精霊たちを服従させる力でそのままラスボスになるのも頷けるかも。


「あ、あぁごめんなさい。怖がらせるつもりは無かったの。少し……。そう!少し緊張していてね。だから急に大きな声を出してしまったわ。ごめんなさい」


「へ……? で、では、罰は……」


「そんなことしないわ。……でも、変な踊りをしていたことは誰にも言わないでね。恥ずかしいから」


「は、はいっ! もちろんですっ!」


 でも、前世の事を思い出したからにはそんなことしない。

だって、上司のわがままに振り回されるのがどれだけ辛いか、痛いくらい分かっているからね。

できる限り微笑み、精一杯の茶目っ気も出してフォローする。


 反応はまだおっかなびっくりというところだけど、少なくとも最初ほどの萎縮は無かった。

セレスティーヌ、セレスは顔立ちがかなりはっきりしてるから難しそうだけど、今後も怖がられない笑顔ができるように頑張ろう。


「セレスティーヌ嬢」

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