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ラスボス令嬢はエキゾチックアニマルと女嫌いの辺境伯様に溺愛される~今世ではもふもふつるざらに囲まれます~  作者: 田中飛鳥
1章

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精霊の愛し子①

 数時間後私たちは、ルパートさんが御者を務める馬車に乗り、精霊の森中心地へと向かっていた。


「……」


「……」


 き、気まずい……。

ボロが出ないようだんまりを決め込んだからか、むしろ顔を合わせてすぐより警戒されているかもしれない。

対面に座るヒルデガルド様は品良く背筋を伸ばしながらも様子を窺ってくる。

明らかに、あまり話せるような空気では無かった。

それに、その横で佇むトルニトルスくんともあんまり喋れる空気じゃない。

もちろん触らせてもらうなんてもっての外だ。

ちらりと見れば視線を合わせてくれるものの、さらなる交流はできないだろう。


「……外を見ていてもよろしいですか?」


「えぇ。大丈夫よ」


 仕方ないから外の景色でも見ている事にする。窓に近寄り、カーテンを開く。


「わぁっ!」


 すると目に飛び込んできたのは、青々と茂る新緑たちの中で、身を隠しつつこちらを窺う動物ちゃん、精霊ちゃんたちの姿だった。

すごい数と種類だ。

トカゲや蛇、亀などの爬虫類から、カエル等の両生類、犬や猫を始めとする哺乳類などなどがみんな、私たちの事を窺っている。

正確には私かも。


 思わず感動して声が出てしまった。だって本当にすごい。

大型のペットショップでこれだけの数が居るのは見たことがあるけど、野生でなんて当然無い。

多様となると猶更。

また、原作でもここまでの数が描かれる事は無かったのだ。

しかも現実に、実際に触れることができる存在として目の前に居るとなると、驚きは非常に大きかった。


「セレスティーヌさん?どうし……。まぁ……」


 ヒルデガルド様も窓を覗き込むと、言葉を失う。

そして口元を抑えつつも、キラキラした目で視線を動かす。

隠れていてよくは見えないが、明らかに口角が上がっていた。


 ……あれ?なんかとても可愛らしい反応だ。

もしかしてこの方、すっごく動物好きだったりする?

もしかしなくてもそうかもしれない。

先ほどまであれだけ鋭い空気を醸し出していたのに、今や失礼かもしれないが少女みたいだ。

正直に言って可愛らしい。


「ヒルデガルドッ」


「あ、え、えぇ。ごめんなさいトール」


 そして、そんな様子にやきもちを焼いたのか、トルニトルスくんが軽く羽ばたき、くちばしでドレスを引っ張り自らの存在を主張する。

流石に家族の方が優先であるようで、彼女はたたずまいを元に戻す。すぐさま彼を撫で回す。

ただ視線はちらちらと気づかれないよう外へ向いていた。相当気になるらしい。


(えっ、な、何この光景っ……! と、尊い……!)


 いや、何この二人。可愛すぎるでしょ。

あのしっかりした感じで実は動物に目が無いヒルデガルド様もそうだし、嫉妬深いトルニトルスくんもそうだ。

それにちゃんと応える所も良すぎる。

二人ともお互いの事大好きなんだろうな。

きっとぽっと出の私なんかよりたくさんの思い出があるんだろう。

あと、どちらも美人だからとっても絵になる。


「……何ですか?セレスティーヌさん」


「い、いえ……」


「むぅ……」


 ジロジロ見てしまっていれば、照れたような、怒ったような顔で咎められてしまった。

でもニヤけるのを止められない。咄嗟に手で隠したがバレていることだろう。

溜息から明らかに不満が分かる。


「あの……」


「はい。何かしら?」


 ただ、この人からさらに信頼を勝ち取る方法は分かった。

これからちゃんとアイゼンハルト家に置いてもらうためにも、見つけた突破口へと突き進んでいくことにする。

というか本当は、動物好きな友達が欲しかったのだ。

前世では居なかったからね。

だから、ツンとした態度にも臆せず訊ねる。


「もしかして、精霊さんや動物さんたち、お好きなんですか?」


「っ……!」


 反応を見れば、答えは明らかだった。


「ヒルデガルド様、奥様。到着いたしました」


「え、えぇ。ありがとうルパート。……セレスティーヌさん。この話はまた後で」


「はいっ!」


「……。まぁ、いいわ」


 だがその瞬間、目的地へと到着する。

お互いいくつかの思いを持ちながらも私たちは、ルパートさんのエスコートによって馬車を降りた。

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