第2話 調査
吹奏楽部が練習を始めた。
しかし1人だけ練習に参加していない生徒がいる。
バスドラム担当の名倉君だ。
顧問の古山先生と話をしている。
名倉君は顧問の先生に、
これからどうしたらいいか聞いている。
顧問の古山先生も困っているようだ。
2人の会話が終わったので、さっそく名倉君に聞き込み。
「あなたがバスドラム担当の名倉さんですね」と進藤さん
「はい。そうですが」
「一昨日まではバスドラムに異常はなかった?」
「異常ですか……かなり古いので、
音の出はよくありませんでしたが」
「いえ、そうではなくて、無くなる気配というか」
「そういうのはありませんでした。
一昨日まで普通に練習してて、
今日の朝来たら無くなっていて」
「例えば、盗もうと思えば誰でも出来た?」
と明智さんが割り込んできた。
「一応この部屋には鍵とかかけてあるので。
後は、大きいので、持ち運びにも苦労するのでは」
「ほう……密室か」
と明智さんの目がキラリと光ったように見えた
「明智さん、密室に詳しいのですか?」と進藤さん
「私を誰だと思っている。密室はこれでもかというほど、
見て来たんだよ」
「では鍵のかかってる部屋からどうやって」
「例えば、磁石でカンヌキを落とす」
「カンヌキじゃなくて普通の鍵式のドアですが」
「蝶番を外してドアごと開ける」
「横にスライド式で蝶番はありません」
「窓から侵入」
「ここ3階です」
「あのう……鍵は誰でも借りられますよ。
なんならだまって持ってこれます」
としばらくやり取りを聞いていた名倉さんが言った。
「密室とは、人間の心理をついた部分が多いからな」
と明智さんが腕組みをしながら言う。
「持ち運びについては可能ですか」
と進藤さんが名倉さんに聞く
「男一人でも可能です。ただ大きいので目立ちますが」
「ふむ。犯人は予想通り男性か」と明智さん
「でも台車とか使えば女性でも」
と若干申し訳なさそうに名倉さん
「捜査は振りだしに戻ったか」と明智さん
「他に気になることは」と進藤さん
「そもそもなんでバスドラムが盗まれたんでしょうか。
ここには、高額な楽器や、持ち運びが楽なのが
たくさんあります。
なのに、何故バスドラムなのかと」と名倉さん
「確かにそれは不思議ですね」と進藤さん
「大きい=高いと思ったのでは」と明智さん
「その可能性はありますが、なら何故楽器なのでしょう」
と名倉さん。
一同考え込む。
「そういえば、さらに古くて音の出がよくないんだったな」
と明智さん
「はい。フレームが歪んでいて、ヘッドを張り替えてもダメで。
だから新品でもないんです。新品ならまだわかるんですが」
「あの、ヘッドとは?」と進藤さん
「ドラムに張ってある皮のことです」と名倉さん
進藤さんが明智さんを見て、質問がなさそうなので
名倉さんにお礼を言った。
次は顧問の古山先生に時間をもらって、質問を開始した。
「先生はバスドラムがなくなったことについて、
どう思われています」と進藤さん
「不思議ですね。大きくて、古いものを」と古山先生
「この部屋には鍵をかけられていたそうですが」
「鍵は職員室にあるけど、タイミングさえ計れば、
誰でも鍵の持ち出しは可能かも」
ここで部長の大石さんが、古山先生を呼んだので
話は打ち切りになった。
「明智さん。ここまで話などを聞いてどう思います?」
「不可能なことが起こるはずはないし、したがって、
外見は不可能に見えても、それはかならず可能なのです」
灰色の脳細胞を武器とする名探偵の言葉を引用する明智さん
「なんかもっともらしい言葉ですね」
「当然だ。私が謎を解いてみせる」




