鎧の変化と、塔への道
あの森を出てから三日後、私達は王都へと戻った。
……が、ここで馬が足を止めた。
何かに怯える様子で、前へ進もうとしない。
「あ!煙が見える!」
エタルナが叫んだ。
煙が出ているのは……王都の中!
見ると、王都の正門が崩れ落ちている。
「ウチ達、間に合わなかった!?」
「とにかく、行ってみましょう!」
ここまで走ってくれた馬に別れを告げ、
王都に向かい走り出す。
「あれ!黒い鎧!」
正門の周辺には、多数の黒い鎧が集まっていた。
「王都軍でも、無理だったか…。」
「右肩……に、無い!」
エタルナの言葉に被せるように私は叫んだ!
ある鎧は左肩に…
ある鎧は頭の上に…
ある鎧は左足に…
それぞれ、インテリジェンス兵装の位置が違う。
「イシュエス!これ、どういう事!?」
《設定を…》
《変えた》
「何よ、設定って!」
これだと……王都軍でも無理だわ。
私も、ユミエル達に指示を出せない。
早く……このピラミッド形の宝具を発動させないと…
「イシュエス!この宝具、今、発動したら駄目!?」
《駄目》
《放射線上に》
《下に広がる》
「エタルナ!お願い、道を作って!向かうは軍の司令本部!」
「分かった……アンジュを、皆を救う!」
バーサーカー化する為のスイッチ。
それは、仲間を助けたいという願い。
「ユミエル!ストーンバレットを私が言う位置に!」
「分かった……アンジュちゃんの言葉を信じる!」
ユミエルが持つ呪いの杖。
それは、信じる祈りで力へと導かれる。
ドーーーーン!!
入り口付近を埋めていた黒い鎧達は、
エタルナの突撃によって吹き飛ばされた。
私とユミエルは、エタルナの背中を追う。
流れる景色…
一週間前に見たきらびやかな王都は、その姿を失い混乱で包まれている。
数百体もの黒い鎧達が、王都内で暴れていた。
「ユミエル!前の鎧、左肩!」
「ストーンバレット、五連!!」
黒い鎧、一体を倒す。
――も、キリが無い。
「アンジュ!」
後方から、聞き覚えのある声が聞こえた。
黒い鎧に腕を捕まえられているのは…
「お爺さま!!」
《感覚三倍…筋力三倍》
イシュエスの力を借りる。
地面を蹴り飛ばし、一瞬で黒い鎧へと迫った。
「ここ!!」
右足にあった兵装を切り倒す!
「大丈夫ですか!隠れていてください。」
「アンジュ…お前、強くなって…」
「お爺さまが望んだようにはならなかったですけどね。」
「いいんだ…無事で居てくれたら、それだけで。」
厳しかった祖父。
でも……それは、私の事を思っていてくれたから。
分かっていた。
それなのに飛び出した事を思い出す。
「スミマセン、私、急ぎます!」
「策があるのだな!」
「はい!お爺さまは、あの建物の中に!」
エタルナがバッとお爺さまを抱えると、
建物の中へと飛び込んだ。
私とユミエルは、塔に向かって走る。
「右のは頭の上に!」
ユミエルのストーンバレットが兵装を撃ち落とす!
王城の前……
そこには、互いの兵士達が群がっていた。
「キミ達、戻ったか!
右肩を狙ってもダメなんだ!」
息を切らしながら、立つ総司令。
会議に参加していた男達がその近くで震えている。
足元には何人もの兵士が倒れていた。
「王城への侵入は許さない!
――手伝ってくれ!」
「兵装の場所は移されました!
手伝いたいのですが……スミマセン、先を急ぎます!」
追いついたエタルナと共に、王城前を通り過ぎ、軍の塔へと走った。
司令本部の前では、ミランダさんとダグラスさんが肩を並べて戦っていた。
「ちょっと……遅かったわね。」
「ミランダさん、スミマセン遅くなりました!」
「敵の弱点は右肩じゃなくなったようだ…」
「はい!右肩以外の場所に移されています!」
「何故……鎧の中でなく、外にこだわる!?」
《中だと……》
《見えない》
「中だと見えない!…イシュエスが言ってます!」
「なるほどな…だと、見やすい場所か。」
そう言うと、ダグラスさんは黒い鎧の頭上にあった兵装を一撃で倒した。
「で、伝説の宝具は見つかったの?」
魔法を放ちながらミランダさんが聞く。
「見つけました!塔の上へと登る必要があります!」
そう伝えると、ミランダさんは頷いた。
「ここは任せて…行きなさい。」
ダグラスさんが、前へと立つ。
「俺達で塔へと侵入は防ぐ。」
私達は、軍本部の塔へと足を踏み入れると、
急いで階段を駆け上がった。
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