塔の上と、最後の話
「はぁ、はぁ、はぁ。」
私達三人は、塔の屋上へと辿り着いた。
空は、澄み渡り…
とても王都内で過酷な戦闘が繰り広げられているとは感じられない。
「アンジュちゃん!」
「アンジュ!」
「うん、二人共……今まで、ありがとう。
――この戦い、終わらせるね。」
しまってあったピラミッド形の宝具を取り出す。
宝具が持つ光は、少し増しているように感じる。
それに呼応するかのように、右肩に浮かぶイシュエスも熱を増した。
「イシュエス、ここで良い?」
《大丈夫》
《問題無い》
「で、どうやったら起動する?」
《願う》
「願う?何て?」
《すべての兵装の…》
《停止》
「分かった!兵装の停止ね!」
私は、ピラミッド形の宝具を空へと掲げた。
「ん…、ちょっと待って!」
《―――》
「兵装って、キミも!イシュエスも兵装でしょ!」
《ボクは…》
《失敗作》
「イシュエスは、消えないって事!?」
《分からない》
《でも…》
《決めた》
「決めたって何よ!
――そんなの!勝手に決めないでよ!」
《ボクは…》
《心無き兵装》
《だから…大丈夫》
「さっき、失敗作だって自分で言ったじゃないの!
――心、あるんでしょ!
お父さんと出会って!心が芽生えたんでしょ!」
《―――》
「私とも、心を通わせたでしょ!」
《―――》
ドーーーーン!!
「アンジュちゃん!王城から煙が!」
「アンジュ!時間が……無い!」
「どうして……いっつも肝心な時に黙るのよ!」
風が吹き……焦げた匂いがした。
「お願い!!ピラミッド!!」
「兵装を停止して!!」
伝説の宝具への願い。
吹いていた風が…止まる。
ピラミッドの宝具は熱を帯び、光を増した。
その光はとても眩しくなり……放射線状へと広がっていく…
《アンジュ…》
《ありがとう》
球体イシュエスは、徐々にその光を失っていく。
「イシュエス!イシュエス!!」
《楽しかった…》
イシュエスは、ゆっくりと降下していく。
まとっていた光が一欠片づつ消えていく。
コトッ…
静かな音と共に……
床へと落ち、すべての光を失った。
「私も……楽しかったよ。」
黒くなった球体イシュエスを拾い上げ、
そっと胸で抱きしめた。
私の右肩をそっとユミエルとエタルナが抱きしめる。
王都内からは、ワッという歓声が上がった。
◇◇◇◇◇◇◇
国王様への謁見の日には、勿論、黒くなってしまったイシュエスも連れて行った。
驚いた衛兵達が剣を向けたけど、私はそれらを軽くいなした。
国王様からの報酬は相当なもので、ユミエルの目が輝いていた。
塔の上へと設置したピラミッド型の宝具は常に光を放っている。
その効果が永遠に続く事を祈りながら、王都を離れた。
一年後、
私達三人はインクスの町へと戻り、家を建てた。
球体イシュエスは、窓際に置いている。
暖かな日差しが部屋を包む。
三階のこの部屋からは、町が一望できた。
アンジュ達三人は、今日もダンジョンへと調査に行った。
―――この日、調査から戻ったアンジュは気づく事になる。
イシュエスから緑色に輝く一本の芽が顔を出した事に…
物語は、これで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
三人娘は、これからもきっと、町を…国を守っていく事でしょう。




