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37話 星
「アルフレッド王子を殺したくせに」
「それに──君が守っているラトソルも、君が思っているような人間じゃないよ」
「僕は嘘は言わない。ラトソルの正体は、アイリスだ。あの悪役令嬢が身分を隠しているだけ」
予言の主は、言いたいことだけ言い残して消えた。白い世界に取り残されたリリエッタの頭の中では、あの猫の声だけが何度も反響していた。
“予言の主”ジュリニールと、乙女ゲーム知識を頼りに順風満帆だったはずのリリエッタの人生設計を、狂わせた存在。その本人が、こんなにも近くにいたなんて。
現実へ引き戻されたリリエッタは、ぽつりと呟いた。
「……アイリス・フォン・エルディア」
ラトソルの目が大きく見開かれる。
「なんで、それを──」
その反応だけで十分だった。
リリエッタの凶刃は、迷いなくラトソルの喉を貫いた。




