38話 ドタバタ⭐︎キラキラ⭐︎大復活☆彡 上
ラトソルの身体が、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。温かい血がリリエッタの手を伝い、床に赤い滴を落とす。その音が、やけに大きく響いた。
「……どうして、こんな……」
震える声が漏れたのは、ラトソルではなく、リリエッタ自身だった。彼女は知っていた。この瞬間を選んだのは自分だ。“予言の主”の言葉に背中を押されたとはいえ、刃を振るったのは自分の意思。
ラトソル──いや、アイリス・フォン・エルディアは、薄く笑ったように見えた。
「……やっぱり……気づいたのね……リリエッタ……」
ラトソルは生死の境を彷徨いながら、言葉を紡ぐ。
「私の婚約者を奪って……"リリエッタ"の人生も奪って……よく被害者面できるわね……」
リリエッタは何も答えない。
「私はずっと、あなたのことが嫌いだったわ……リリ……」
リリエッタの名を呼ぼうとして力尽きたのか、リリエッタの前世の名前"莉里"を読んだのかは分からない。ただ、その二文字はリリエッタの心を揺さぶった。その声は、スパチャをした自分の名前を読む、彼女に似ていたからだ。
「アイリとアイリス……名前だけじゃなく声も似てるのね」
名前の類似は、重要な要素である。アイリスの他にも、悠人とユウト、莉里とリリエッタなど、運命としか思えないような何かがそこには隠れている。そのことを、リリエッタはまだ知らなかった。
だから、その場で起きたことを正しく理解できたのは、そのことを知るマーサだけだった。
死んだはずのラトソルの身体がぴくりと動く。ラトソルは不気味に起き上がると、「あー、あー、」と声を出した。何かが乗り移った——リリエッタはそう考えた。そしてそれは誤謬ではなかった。
「キラキラ〜!みんなの夜空、星乃アイリだよ〜!」
キラキラモード全開の私が、元気な挨拶で大・復・活⭐︎!




