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29話 星の輝きⅤ
影が焼かれ、デルタの身体が露わになる。
「ぐっ……!」
そこへ、レオンの剣が一直線に突き刺さる。
デルタは影を纏って後退しようとするが、星光がそれを許さない。
「終わりだ、デルタ!」
「馬鹿な……影が……!」
レオンの剣が振り抜かれ、デルタの身体が光に飲まれた。
影の支配者は、星輝と勇者の一撃により崩れ落ちる。
だが、休む暇はない。
深淵の書記官ヴァルドが、巨大な魔導書を開いていた。
「第三席が落ちたか。ならば、深淵の頁を捧げよう」
ページがめくれるたび、空間が歪む。
黒い文字が空中に浮かび、呪詛のように蠢いた。
「レオン、下がって!」
ラトソルが前に出る。
ヴァルドの魔導書から放たれた黒い奔流が、星輝の光と衝突した。
「星輝の支配者よ。お前の光は美しい。だが、深淵は光を呑む」
「呑ませないよ。レオンを守るために、私はここにいる」
ラトソルの周囲に星が集まり、軌道を描く。
その光は、ヴァルドの呪詛をひとつずつ焼き払っていく。
「……これは、想定外だな」
ヴァルドの声がわずかに揺れた。
深淵の書記官が感情を見せるのは稀だ。
「星の行進——第二楽章」
ここが好機とみたラトソルは、切り札を切った。




