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26話 星の輝きⅡ
星々が夜空から剥がれ落ちるように降り注ぎ、ラトソルの背後に軌跡を描いた。
その光は温かくもあり、同時に、触れれば魂ごと焼き尽くされるような冷たさも孕んでいる。
「……来るか、星輝の支配者」
深淵の書記官ヴァルドが、黒い羽根を散らしながら一歩前に出た。
その眼窩の奥で揺れる紫炎が、ラトソルの放つ光を測るように細められる。
「……レオンを守る」
ラトソルの声は静かだった。
だが次の瞬間、星の奔流が地を割り、空気を震わせ、四天王の足元へと迫る。
「——ッ!」
最初に反応したのは第三席、影の支配者デルタだった。
影を裂いて跳び退くが、遅い。星光の尾がデルタの腕をかすめ、黒煙が上がる。
「影が……焼かれるだと?」
驚愕に染まるデルタの声。
星輝は物質だけでなく、概念すらも灼く。
「面白いじゃない。じゃあ、これはどう?」
終末時計オークル・マーサが、巨大な砂時計を掲げた。
砂が逆流し、時間が巻き戻る。
星光の奔流が遅くなり、やがて止まった。




