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真夜中のただなか  作者: 藍沢紗夜


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ほんとうに絶望していたとき、必要だったもの 2022/5/20

 私は高校生の頃に心身の調子を崩して以来、療養を続けている。特に2018年から2020年にかけて、私は相当な絶望を味わった。

 身体が思うように動かず、年の2/3以上体調が悪く、ひどい時は寝たきり。自分の人生の柱だった目標を失い、努力することすら叶わず、周りを妬み、孤独感に襲われ、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。


 そのような日々の中、私は治療を続けていた。そして、その頃通っていた病院で、私はとある心理士さんに出会った。

 彼女はとても不思議な人だった。カウンセリング、というと皆さんは何を思い浮かべるだろうか。きっと、お悩み相談のようなイメージだと思うし、実際大半のカウンセリングはそのような形だ。だが、彼女は違っていた。

 カウンセリングの時間が始まると、彼女はいつも近況を訊いてくるのだ。「最近は何してましたか?」その問いかけに、私はいつも他愛無い近況を答える。「最近はこんなゲームにハマっている」とか、「友達とどこそこに出掛けた」とか。そしてそれを皮切りに、1時間まるまる雑談をするのである。


 もちろん、悩みを話せば親身になって相談に乗ってくれるし、実際その2年間、たくさんのアドバイスをもらった。

 だが、彼女とのカウンセリングは、カウンセリングというよりは、話し相手になってくれる時間、のようなものだった。無理に悩みを訊き出すことをせず、何を話しても楽しく返してくれる彼女との時間は、普段孤独に過ごしている私にとって、癒しの時間であり、心の支えでもあった。友達のように話してくれて、絶対的に味方でいてくれる、専門知識のある頼もしい大人、それが私にとっての彼女だった。

 私にとって、ほんとうに絶望していたとき必要だったものは、悩みを訊き出そうとせず、しかしいつでも相談に乗ってくれる、そんな寄り添ってくれる存在だったのだ。


 ある夜、ふとそのことを思い出して、このエッセイを書きはじめた。彼女が私にしてくれたことを忘れてしまわないように、そして私自身が同じように他の誰かに寄り添えるようになりたいと思ったのだ。

 大切な人たちに、気に掛けていることをさりげなく伝え続けることを心掛けている。また、文章でも同じことができないか、模索していきたいと思っている。押し付けがましくない、そっと温かい飲み物を置くような、あるいは優しく毛布を掛けるような、そんな希望の渡し方ができたらいい。まだ難しいけれど、きっといつか、そうやって誰かに寄り添える作品を作りたい。


 現在は転院して、彼女のカウンセリングを受けることも出来なくなってしまったが、あの時間は私の宝物だ。もしもいつか会える機会があったなら、新しい目標に向けて頑張っていることを伝えたい。あなたにもらった優しさが、その思い出が、今も私を生かしてくれることを。

2022/5/20にnoteにて公開したエッセイです。(加筆修正済)

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