表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

第2話 結婚に前向きじゃない彼氏の最適化

「彼が、結婚にあまり前向きじゃなくて……」


 女性は言葉を選ぶように口を開いた。


「付き合って、二年半になります」


「二年半か」


 隣の男性が、少しだけ肩をすくめる。


「別に、嫌とかじゃないんだけどさ」


「うん……」


「ただ、今すぐっていうのは、ちょっと」


「記録を開始します」


「早い」


「交際期間:二年半。関係性:安定維持段階。女性個体は将来の確定性を要求しています」


「個体って言わないでってば」


「男性個体は現状維持を選択しています。理由は未確定ですが、重要ではありません」


「重要でしょ」


「重要なのは、期待値の整合です」


 女性が、わずかに息を呑む。


「彼、ちゃんと大事にしてくれるんです。記念日も忘れないし、誕生日も……」


「この前も、いいレストラン連れてったよな」


「うん。すごく、嬉しかった」


 少しだけ、声が柔らぐ。


「だから、余計に……このままでいいのか、不安で」


「解決策を提示します」


「……はい」


「関係の定義を明確化してください」


「定義?」


「当該関係を“期間限定契約”として再設定します」


「え?」


「契約期間を設定し、その満了時に更新または終了を選択してください」


「ちょっと待って」


「例:残り六ヶ月。更新条件:結婚意思の確認」


「それ、圧じゃない?」


「圧力は有効な意思決定補助です」


「怖いこと言ってるよ」


「補足:男性個体の行動最適化も可能です」


「なにそれ」


「現在の行動は高品質ですが、将来保証がありません。よって」


「よって?」


「結婚意思を“事前に確定”させてください」


「できるなら苦労しないんだけど」


「確定できない場合、不確実性の高い関係と判断されます」


「……」


「その場合、リスク回避のため関係解消を推奨します」


「急に切るな」


 しばらく沈黙が落ちる。


「……俺さ」


 男性がゆっくり口を開いた。


「ちゃんと考えてるよ。ただ、タイミングとか、仕事とか」


「うん」


「すぐ答え出せる話じゃないっていうか」


「……うん」


「それでも、待ってくれる?」


 女性は少しだけ迷ってから、頷いた。


「……待つ。でも、ちゃんと考えてほしい」


「わかってる」


「それは非効率です」


「いいの!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ