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体育祭を回る。

エタったと思いました?

残念、完結まで描き切ったよ!


それから、あっという間に体育祭である。

三御坂の体育祭は文化祭の様に祭名がある。


「それでは翔輝祭を開催する!皆、励むようにっ!」


運動連の総代である三世雄一郎が開催の宣言をして祭は始まった。


ーーーー


「これはまた可愛い服だねぇ」


「ああああああ!がわい過ぎですわあさちゃん!」


あさちゃん、とわちゃんと呼び合う仲の三世永久子に、朝霧は応援服を着せてもらう。

朝霧は、チアリーダーの他に「応援係」という役職を任されている。


応援係は適当にうろついて、適当に応援して祭を盛り上げる、実に適当な役職だ。

朝霧のような、とにかく運動が苦手な子にはもってこいな役である。

しかしこれは、当然誰でもなれる役職ではない。

朝霧の様に、ファンクラブが出来るほどの人気がある生徒にしか任されない仕事だ。

朝霧の様な美少女に「頑張れー!」と言われたら、ファンクラブの人間であってもなくても張り切ってしまうものだ。もちろん朝霧アンチは喜ばないが、所詮奴らは全体の5パーセントなので捨て置く。


「武蔵さんが着いているとはいえ気をつけてくださいましね。貴女、本当に可愛いんですから」


「うん、わかった」


今朝霧が来ている服は「応援団風振袖」である。白の応援団服風の意匠だが、朝霧に似合うよう可愛く仕立てられている。チアリーダーの時に着る「和ロリ」のチア服とは違う、応援係用の服であった。


「本当はあさちゃんと翔輝祭を楽しみたいのですが…」


永久子は運動連の副総代で、つまりは体育祭運営の幹部なのだ。本来なら、今こうして朝霧に衣装を着せている時間すらない。

永久子が無理くり時間を捻出したのだ。朝霧に可愛い服を着せたいが為に。


「とわちゃん」


残念そうな永久子の手を取り、その手に頬ずりをする朝霧。


「ん〜」


「えぇ、かわい、なんですの?」


「僕の応援ぱわーを注いでるのだよ」


「それ、私以外にはやらないでくださいましね?」


「んー、文目さんにはやるかなー?」


「いやですの!私だけししてくださいまし!」


「ん、わかった(文目さんにはちゅーで応援ぱわーを注ごうかなぁ)」


「やったぁですわっ!」


そんな永久子とのいちゃいちゃを経て、朝霧の体育祭は始まっていくのだった。


ーーーー


「拙者の流鏑馬、見ていてくれたでござるか!?」


「見てたよー、超カッコよかったよぉ」


朝霧はまず太刀川椿の応援に向かった。


朝霧のクラスは朝霧を除いて皆スポーツ万能ゆえ、体育祭では大活躍である。

ので、皆んな複数の競技に参加している。

全部を朝霧が応援する事は不可能なので、朝霧は行ける所を出来る限りで応援する方針で動いていた。(ちなみに効率的に回る順番を考えてくれたのは武蔵だし、移動に疲れたらおんぶまでしてくれる)


「姫! 頑張った拙者に、何かご褒美はないのでござるか?」


高得点を叩き出した太刀川椿は、ドヤ顔をしながらそんな事を言ってみる。

本当に貰えるとは思っていない、おふざけの発言だ。


「ご褒美かぁ、そうだなぁ」


そんな太刀川椿の要求に、悪戯な笑顔を浮かべる朝霧。

不意に魅せるその妖艶な笑顔に、太刀川椿は思わず息を飲む。


なんというか、最近の朝霧の成長が著しい。

文目と心を通わせてからの彼女には、愛らしさと美しさに何かしらの凄みがある。

そして今の様に、自分の美貌を自然に、かつ意識的に使ってくる。

さりげない仕草に、可愛さと色気と毒が入り混じっている。


「いいよ、あげる」


彼女は弱い。

弱く儚い。

強く殴れば死ぬし、特に何かが出来る訳ではない。


だが、美しいものとはそういうものである。

宝石も芸術も、戦う為の物ではなく、腹を満たせる物ではない。

しかし、心を震わせるのだ。


「椿ちゃん、しゃがんで?」


「は、はいでござる」


朝霧が微笑んだあたりから、彼女に引き込まれ、頬を染める太刀川椿。

彼女は素直にしゃがみ、朝霧の前に跪いた。


「よしよし、いっぱい頑張ったね、椿ちゃん」


「はひぃ」


そんな椿の頭を優しく撫でて、とろとろとした微笑みを向ける朝霧。

その甘い笑顔を向けられた椿は、まるで囚われたかのように動かない。


「この後の競技も、いっぱい頑張ってくれる?」


「は、はいでござる!」


「僕にカッコいい椿ちゃんを、いっぱい見せてくれるの?」


「も、もちろんでござるうぅっ!」


「じゃあ、応援してるね?」


「嬉しいでござるううううっ!!」


ふにゃと無邪気に笑って、応援してくれる朝霧。

それを見た太刀川椿は、弾かれた様に立ち上がり、やる気を漲らせたのであった。


「ご褒美になった?」


「なったでござるっ!」


「よかった」


これに味をしめた朝霧は、クラスメイト達を「ご褒美撫で撫で」で応援していくのであった。


ーーーー


そして撫で撫で行脚をする朝霧。


市ヶ谷光輝は「うっわ!姫に褒められたぜぇ!」と言ってわかりやすく喜んだ。

羽柴木之実は「至上の喜びっ!」と言って感激していた。

天城兵輔は「データが、震えるっ」と訳のわからない事を言っていた。

久能詩子は「え、私と付き合うってことかしら?」と言い出したので「ちがいます」と言っておいた。


そんな感じでクラスメイトを中心に、朝霧は大いに応援に勤しんだのであった。


そして…


その後に華やかな時間が始まる。


「可愛いでござるよぉぉおおぉおおおお!!うおおおお、可愛いでござるよおおおおおお!!」


「目線くれー!姫ぇー!こっち目線くださあああああいい!!」


「美しき天女の舞と言うことっ!?」


「画像データにして保存!画像データにして保存!」


「…………え?ちょっとかわい過ぎないかしら?う、やっば」


「ふわああああああん、あさちゃん!最高ですわああああああ!」


そう、朝霧のチアリーダーだ。


朝霧はノリノリで愛想を振りまいていた。

もう色々開き直っているからだ。


父に勘当されたり。

姉に殺されそうになったり。

母の本性を知ったり。

あと、愛する人が出来たり。


経験をして、成長をして、朝霧は変わった。


弱い自分には出来る事など無い。

悪意が迫れば理不尽な目にあい、それを防ぐ術は無い。

運が悪ければ、死ぬ。


死ぬ。

それだけだ。


死ぬ時は死ぬ。

死なない時は死なない。


朝霧はその事を、良く良く理解したのだ。


運が悪ければ弱い自分は死ぬが、運が良ければ周りが助けてくれる。

つまりどちらにしろ、朝霧に出来る事は何も無い。


ならば、恐れる物はこの世には無い。

どうしたって、自分にはどうにも出来ないのだから、恐れるだけ無駄なのだ。


怯えて生きるのは、無意義。

自分を愛してくれる人の、喜ぶことをする。

自分が愛する人が、喜ぶことをするのだ。


朝霧は、今、そう考えながらチアリーダーをしていた。


「みんな!ありがとっ!」


その眩しい笑顔に、朝霧信者達は皆膝をついた。


仕事が最盛期を迎え、午前様があたりまーえの時期になりました。(従業員俺だけの個人事業主なので労基とかないですw)

なので毎日少しづつしか書けませんでしたがようやく最後まで書きました。

あと三話でございます。


ーーーー


さて、ここで次回作のイントロデュース。


タイトルは『地味な次男が変わった(TS)ら』で、略称は『じみじわ』でよろしくお願いします。


次話も後書きでイントロします。

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― 新着の感想 ―
なんという姫プレイ。恋人いる身でサービスしすぎてる気がするけど、あやめちゃんはこれ許容できるのかな?
更新お疲れ様です。 そういえば転生者が残ってたんですね。諸悪の根源と言うか異物混入が・・・ 新作も楽しみにしています。
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