種目を決める。
すんません、ちょっとマジで忙しくて疲れてました。
「それでは朝霧はチアリーダーということで良いかしら?」
「意義なしでござる!」
「それは最高だな!」
「神が定めし采配!」
「データ的にもそれがベスト!」
「いや、みんなが良いんならそれでいいんだけど」
体育祭の種目決めをしている朝霧のクラスである。
この学園は体育祭を小等部、中等部、高等部の合同の超規模で行う。
そして、生徒はその祭りへの取り組み方をもって成績をつけられる。
それゆえに、チアリーダーといった運動以外も評価される競技や役割が多々あるのだ。
朝霧をチアリーダーに選んだのは、基本的に何をやってもダメな朝霧に対する皆の優しさであった。
「あの、僕って一応元男子な訳だけど、それがチアリーダーって嫌じゃないの?」
しかし、朝霧はそれが気になった。
流石に元男子がチアリーダーというのは気持ちが悪いのでないかと。
もちろん、男子のチアリーディングがあるのは知っているし、それを気持ち悪いとは朝霧も思ってはいない。
そう言う話ではなく、単にありし日の太った自分がノイズになり、ひいてはそれがチアリーダーの質を下げ、かえってクラスメイトの迷惑になるのではと言う懸念だ。
朝霧が、そう言えば…
「あー、大丈夫よ朝霧。これは貴方の親衛隊へのサービスという意味合いが強いから」
「親衛隊… サービス…」
一見して、よくわからないという反応の朝霧に、久能詩子は説明をしてあげる。
朝霧の親衛隊は小、中、高等部を含めた、学園全体の三割にも及ぶ大人数である。
確かに朝霧にはアンチも多いが、明確な敵意を持つレベルのアンチは学園全体の五分ほど(親衛隊調べ)。
であれば、アンチを無視してでもファンサするメリットは強くあるので、是非やって欲しい。
久能詩子はそう説明したのだった。
「んっと…」
朝霧は一つ頷く。
「むつかしくて良くわかんないけど、僕がチアリーダーを頑張れば上手くいくって事だね?」
「そう言うことよ。やってくれるかしら?」
「……うーん僕、踊りとかも下手なんだけど」
「それは大丈夫よ」
曰く。
朝霧のチアリーダーは、完全に朝霧の都合に合わせて作られている。
何故なら、バックには五業芳一や三世雄一郎をはじめとした学園の有力者が名を連ね、そして監修に三世永久子が入っているからだ。
それにより、朝霧のチアリーダーは朝霧にやりやすく、そして親衛隊が楽しめる仕様となっている。
それは朝霧が所属する白組にとってはバフとなり、それ以外の紅組や青組にはデバフとなるだろう。
具体的には、朝霧だけ特別仕様の和風ロリータ風チアリーダー衣装となっていて、しかも振り付けはダンスの決めどこだけを他と合わせる簡単な物になっている。
加えて、朝霧以外のチアリーダーは親衛隊のメンツで固めているので安心なのだ。
よって、朝霧でも大丈夫なのだ。
「あと、貴方の彼氏が朱色合戦をするときに、最前で応援できるわよ」
「わかった! 僕チアリーダー頑張る!」
この一言で朝霧は、チアリーダーを全身全霊で頑張ることにしたのであった。
ちなみに。
朱色合戦とは、三御坂学園に古くからある体育祭種目で、祭りの目玉である。
これは、学園の教員が「繊細で卓越した武技を持つ」と認めた者しか出場を許されない競技であり、これに参加できることは学生の誉である。
具体的な競技内容は朱色の染料を染み込ませた、軟質の「獲物」を持って合戦し、朱色が付いた箇所が致命症と認められると失格となる、という競技だ。
相打ちの場合は両者失格となる非常にシビアな競技で、なかなかに得点にしづらく、全員失格という場合も多くある、エキシビジョン的な意味合いの強い競技だ。
「ようし、僕が頑張って応援するからねっ!」
体育祭の華。
これに参加する生徒は皆、格好良い。
朝霧はただ、格好良い文目をいっぱい応援したいのだった。
完結まであと4話!




