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幕間 美智の娘の心情


私も父も、ママのことが大好きで愛していた。


美しいママの一挙手一投足を慈しんで、優しいママの紡ぐ言の葉の全てを噛み締めた。


ママは昔から病弱だったらしく、歳を追うごとに弱っていった。


私と父はママと過ごす一日一日を大切に過ごしていった。


最後、ママが幸せそうに逝ってくれたのが、今でも私と父の一番の誇りだ。


しかし、以降のママのいない毎日は心の一部に空虚を抱える日々だった。


勿論私も父も、天国のママが心配しないよう真面目に日々を過ごしている。


しかし、足りない。


どんなに頑張っても、100点にはならない人生。


ママのいない世界は、いつだって、今ひとつであった。


ーーーー


ママと同じ目をした子を生んだ。


目以外はまるで似ていないが、目はママのものとそっくりだった。


だから、その目が嬉しそうに輝く様を見ているのが好きだった。


ママの代わりにはならない。


だが、慰めにはなった。


目、以外はどうでも良かった。


後継者候補にすらなれそうにもない、不良品。


だからそれなりに健康でさえあれば、後はどうでも良い。


その目を見せてくれさえすれば。


在りし日のママを思い出させてくれれば。


ーーーー


目の体が問題を起こしたと言う。


対処を任せろと夫が言う。


まぁ、それも良いかと思う。


ママの目を持つ者が、あまりに愚かというのは腹立たしい。


間接的にママを穢されている気分だ。


いっそ殺してしまおうか?


いや、それは流石にまずいだろう。


天国のママに怒られてしまう。


私は憔悴した振りをして、夫に全てを任せる事にした。


ちょうど良いので、かねてより考えていた事を試して見ることにする。


私は思っていたのだ。


あの目の体が女だったら、もしかしてもっとママみたいになるのではないかと。


薬を投与する。


一生の子息に暴行を受けたので、大事がないか身体検査をすると聞いている。


その際に投薬するよう手配した。


父も賛同してくれた。父は私の一番の理解者だ。


薬は性転化を強制的に引き起こす薬だ。


60%の確率でショック死するが、そうなればそれまでだ。


その場合は私が悪いのではなく、目の体の運が悪い。


目が無くなるのは惜しいが、そうだな、もし残っていたら防腐処理でもして飾ろうかな。


ーーーー


色々あって、私は目の体に会う事になった。


夫が私に事の顛末を告白してきたからだ。


まぁ、全て知っていたが。


こうなっては体裁的に、会っておくべきだろう。


立派な当主を演じるのも楽ではない。


人格者で、情熱的で、公正明大で…


ママが言っていた「立派な人間」の要点をまとめれば、そういう人間であるはずなのだ。


ママのために、今日も頑張るとしよう。


しかし、長女は思ったより愚かだったな。


あれは中途半端に九醸だから。


中途半端に愛が深く、中途半端に倫理観が残っている。


次男の力樹とは違うのだ。


あれと、私と、父は、同じ人間だ。


ーーーー


目の体は、想像以上にママだった。


しかし、見た目だけだった。


どう見ても、ママでは無い。


似ても似つかない。


見た目は完全にママなのに。


あーあ。


こう言うのを見ると、ママが死んでしまったことを、改めて実感してしまうな。


だから、今までは薬を使わなかったのだな、私は。


こういう気分になるのが、嫌だから。


まさか、こんなに似るとは思わなかった、本当に。


ああ。


ママに会いたい。


ーーーー


ママに似た体が、私に文を書いて見せる。


話し合いが終わった後、こっそりと見せてきた。


そこには「いつでも眺めにきていいですからね」と、書いてある。


ほう。


なんだ、私の本質に気づいたんだな。


どうやら愚かさがいくらか薄れた…


いや、いくらか九醸が出てきたのだろう。


遠いが、確かに九醸を感じる。


ふふ。


そうだな。


「幸せになって下さいね、朝霧、私はいつでも貴方を見守っていますよ」


ママと似た体が幸せそうにしているのは、まぁ、気分が良いか。


マッマこっわ!

明咲より遥かにこっわ!


朝霧の事を心の中で「目の体」って呼んでるのが最高に怖いですね。


そしてパッパもアッネも全くママを理解出来ていなかったと言う…

タイトルの通り、あれは朝霧の母であって、母ではないのです。


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― 新着の感想 ―
アッネがおかしいのは九醸の血のせいかと思ってたけど、真の九醸はもっとヤバかった
マッマ、バケモノじゃねーかw マジでパッパだけが唯一の良心じゃん とりあえず手元に置いておきたいってことにもならなさそうで安心
うわぁ。愛玩動物ですらなかったわ……そっかー。目以外どうでもいいから太ろうが気にしてなかったのか。そっかー……ほんとにカケラも愛してなかったんだなぁ……。 なんかいい話風になってるけどクソだなこいつ。…
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