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話を聞く。


翌日の日曜日。

朝霧は前日のレジャーで疲れちゃったので部屋でゆっくりしていた。

明日の夜には朝霧の母である朝月と会う予定になっているので、少しだけ気が重かった。


「……」


この少し重い気持ちをなんとかしたくて、朝霧は六道あやめに逢いにいくことにした。

ちなみに、今日永久子は用事でいない。


武蔵に運転してもらい六道家に行く。あやめの父には何故か気に入られていて、いつでも遊びに来て良いと言われていた。


「先程ご連絡致しました、九醸朝霧様で御座います」


武蔵が六道の門番と話し、敷地内に入る。

広い敷地を車で進み、車止めに入って下車をすれば、そこで待っていたあやめが駆け寄ってきた。


「おねーさん、お待ちしてました」


「……?」


駆け寄ってきたあやめを見て、朝霧は首を傾げる。


「どうかしました?」


「…!」


朝霧は自らの頭を手のひらで触れ、それをそのままあやめの頭頂部に持っていく。

二人の背の高さは、ほぼ同じだった。初めて会った時のあやめは、拳二つ分は背が低かったはずである。


「…ああ」


得心いった様子のまま、視線を逸らすあやめ。


少しだけ黙って、その後、小さな声で言う。


「これ、六道の異能なんですよ。体が創り変わるんです」


「…っ!?」


突然の告白に驚き、目を見開く朝霧。


「……? …?」


あやめの肩をペタペタと触り「それは大丈夫なの?」という顔で眉を下げる。


「ふふ、大丈夫です。六道では何度も例がある異能ですからね、害が無いのはわかってるんです」


あやめは、肩に触れる朝霧の右手に触れる。


「ただ……」


そしてそう呟いたまま黙り、目線を伏す。


「……………!」


そんなあやめをしばし見つめてから、朝霧はあやめの手を引く。

ぐいと、引っ張り「あやめちゃんの部屋に行こう」とジェスチャーする。


「…いってらっしゃいませ」


武蔵にひらひらと手を振って、朝霧とあやめは六道の屋敷へと入っていった。


ーーーー


「…!」


「ここに座るんですか?」


あやめの部屋は品の良い洋室であった。

その洋室のカーペットにあやめを座らせた朝霧。

そして朝霧はあやめの前に座り、そして…


「ちょ、お、おねーさん!?」


朝霧はあやめの腰に正面から抱きついた。

朝霧は最早、あやめに甘える事になんのためらいも無い。


「……すぅ」


あやめをぎゅっと抱きしめて、香りを吸い込む。

そして手足の怪我を気にしながら、ゆっくりと寝返りをうち、仰向けになった。


「…!」


あやめに膝枕をされている形になった朝霧は、目線で続きを促した。

先程の「ただ…」に続く言葉を問うた。


「…………ただ、その」


あやめは、朝霧の瞳をしばらく見つめたあと、言葉にする。


「色々と、変わってしまうらしくて…」


あやめの視線が揺れていた。


「あの、私が変わっても、おねーさんは変わらずいてくれますか?」


不安げに、そう口にした。


「…………?」


朝霧はきょとんとしている。


「あの、おねーさん?」


しばしの沈黙。


「…っ」


しかし、突然朝霧が笑い出す。

声を出さない様に気をつけながら、ケタケタと笑う。


「お、おねーさん!?」


その反応に戸惑うあやめ。


朝霧はしばらく笑ったあと、目尻の涙を人差し指で拭って笑いを収める。

そして膝枕のまま手を伸ばし、あやめの頬に触れた。


口元は柔らかく弧を描き、瞳は愛しげに細められた。


そして、その瞳が「なにをあたりまえのことを?」と言っていた。


「おねーさん…」


そのどこか甘やかな眼差しに、思わず頬を赤くしてしまう、あやめなのであった。


そして。


そんな感じで。


朝霧の気の重さは、割とどうでもよくなったのである。


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― 新着の感想 ―
地味に貞操の危機の気もするけど、庇護欲があるから大丈夫か。
身体の作り変わり、色々との中に性別も入っていそうですね。(現在あやめさんに付いている可能性が)
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