表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
38/51

本当を言う。


「なに?話には聞いていたが、これがあのクソ豚だと言うのか?」


九大家が一門、一生家の次男、一生直幸が顔をしかめて言う。


「元男が変わってわずか数日で女服を着ているのですか? ふぅん、そのあからさまなリボンも… 実に気色が悪いですね」


同じく九大家が一門、ニ界家次期当主の長男、ニ界正司が侮蔑を浮かべる。


「そんな、二人とも言い過ぎだよ」


そんな二人を嗜めるように言う天使詩織。


この三人は朝霧にとって、因縁の相手である。

朝霧がまだ男であった頃、朝霧は天使詩織を好いており後をつけ回していた。

それを同じく天使詩織を好いている一生直幸とニ界正司が、事あるごとに制裁をしていたのだ。

そして一生直幸に至っては、朝霧が天使詩織を犯そうとした時に、それを阻止して完膚なきまで叩きのめした人物でもある。


朝霧にとって会いたくない者達であった。


「あ、あの、色々あったみたいですけど、大丈夫でしたか?」


「詩織、こんな屑の豚を気遣ってやるなんて… お前は優しすぎる」


「本当ですよ。だからこそ、優しい貴方を私達が守らないと…」


そうやって、なにやら彼等達だけの優しい世界を展開する。


一方朝霧側は…


「豚はテメーらでござる」


「はぁ?ゴミがなんかいってんぜ?」


「穢れているね、その心」


「僕のデータによれば奴等をぶん殴ったらスッキリすると思う」


「どうしようかしら(拳を見つめている)」


朝霧を囲む五人は小声で殺気だっていた。

一応相手は九大家で、揉めればタダではすまない。

しかし友人を悪し様に言われて黙っている彼等でもなかった。


そんな中、朝霧は思いつめた表情をする。


その様子に気づいた久能詩子が朝霧に「どうしたのかしら?」と声をかけた。

朝霧その声にゆっくりと顔を上げ、久能詩子をじっと見つめる。そして他の四人を見回した後、決心した表情を浮かべる。


朝霧はスマホを取り出し(五業の爺様に買ってもらった。よくラインが来る)保存してあった文章を見せる。これは先日、永久子とあやめにだけ見せたものであった。


そこに書いてあったのは…


僕は天使詩織が好きだった。

今は好きと言う感情はない。

林間学校のあの日、僕は天使詩織に誰もいない部屋に呼び出された。

そこで天使詩織は僕に性行為を誘ってきた。

僕は熱に浮かされるように何も考えられなくなり、事に及ぼうとした。

僕が服を脱ぎ、天使詩織が少しだけはだけさせた時点で、天使詩織が突然叫んだ。

彼女は「嫌!」「やめて!」「助けて!」と叫びながら僕を蹴り飛ばした。

そこに一生が入って来た。

天使詩織は泣きながら怯えていて、僕はほぼ全裸だった。


後はみんなの知る通り。

現場を押さえた先生(吉永ではない)には正直に話したけど、信じてはくれなかった。


そういった内容が、書いてあったのだった。


「……ぅ」


その眼差しには「信じてくれるのだろうか」という怯えがあった。


誰にも信じてもらえなかった。家族にも信じてもらえなかった。

全ては今までの自分の行いのせい。一番悪いのは自分。

本当に後悔しかない。

誰も信じてくれない自分の人生に、後悔しかなかった。


その後悔が行動を変えた。

冷静に自分が見れるようになったのもある。

いろんな感情に耐えられるようになったのもある。

でも、一番自分を変えるきっかけになったのは、後悔だったのだ。


だけど、人を信じさせられるだけの説得力を自分はもっていない。

なんでも愚鈍な自分は、誰の信頼も勝ち取れそうにない。


だからせめて正直に。

自分を偽らず。

自分の気持ちを素直に伝える。

飾らずに。

ありのままで。

そのままで。


信じてはもらえなくても、嘘はついてないと思って欲しい。


「……ぅぅ」


そう自身に願って、朝霧はここまで変わったのである。


永久子は信じてくれた。

あやめは信じてくれた。


友達の五人にも、信じて欲しい。


そう思って、朝霧はみんなを見つめた。


みんなは…


「ござるっ!」


「大丈夫だ姫、信じるよっ!」


「色々ごめんね!信じる!(素になっております)」


「そのデータは信頼できる!」


「もっと早く言って欲しかったわ!」


そしてみんなは、それを信じてくれたのだった。


「……っ!」


朝霧はそれに、涙を浮かべて微笑む。


しかしそこで…


「おいっ!俺を無視をするな豚ごときがっ!!」


一生直幸の怒声が響くのであった。



実は朝霧って自分の口で「犯そうとした」って一回も言ってないんですよね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あぁ、よかった強姦魔はいなかったんだ いくら可愛くなろうが改心しようが、女性に性的暴行しようとした罪は消せんぞ、と思ったけど冤罪だったのか。よかったこれで素直にこの子を応援できる。
うぅん、素直に考えると天使詩織が犯人っぽいけど、天使も操られてた可能性はあるか? でも朝霧と違って記憶もないなら症状が違う気がするからな~。
朝霧ちゃんがたった数日で九大家の人間を堕としすぎてこれからも九大家の人間をどんどん味方につけて 事件の再捜査が始まって天使側が逆転負けするのも時間の問題なんじゃないかとメタ的に考えてしまうw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ