真剣に親権の話し。
今回割と説明会です。
読み飛ばしても構いませんw
あとがきに一行でまとめときます∩^ω^∩
高級料亭に朝霧はいた。
明咲が襲撃してきた始業式の日が月曜日、そこから六道御用達の病院に二晩。その翌日には退院し、鳳雛館の自室に戻って自宅療養となった。
手と足とコメカミの怪我と潰された声帯は治っていないが、概ね元気なので金曜日から復学しようと考えている。
六道の病院を退院するとき、あやめは当然渋ったが朝霧が「あの部屋の方が落ち着く」と紙に書き、さらにニコニコしながら「いっぱい会いにきていい?」と書けば、あやめもにっこりであった。
鳳雛館に戻った朝霧に、永久子は狂喜乱舞。めちゃくちゃに朝霧を構い倒した。
そこに現れたのが五業芳一。
朝霧の狭い部屋で、永久子にお菓子を食べさせてもらっているところに訪れたのだ。
そこで芳一は「家の爺様に会ってやってほしい」と言った。
聞けば、朝霧の祖母である美智は元々五業の娘であるというのだ。
そこはすっかり忘れていた朝霧は普通に驚いていた。祖母が没して以降はほとんど交流が無かったからだ。
どうやら芳一が朝霧に良くしてくれたのも、幼き頃より美智の話と姿絵を見ていたが故であった。
そう、街で偶然遭遇した美智そっくりの朝霧に、実は驚いていたのだ。芳一は彼の祖父と曽祖父、つまり美智の兄と父に当然それを伝えた。
そして今、朝霧の境遇を知った芳一の祖父達が朝霧を引き取りたいと言い出したのである。
その話を聞いた永久子は、断固拒否。
朝霧の保護者は三世であると言い張った。
しかし、今回の朝霧の大怪我を引き合いに出されて「ぐうぅ!」と言った。
その後少し揉めたが、朝霧の「一回みんなで話合おうか?」との一筆にその場は収まった。
そして善は急げと、その日の晩には高級料亭が手配され、関係者各位での会合となった。
ちなみに、何故かその会合に六道も参加していた。
こうして始まった「朝霧の保護者選定討論会」である。
ちなみにこの話し合いは、司会進行役として九家省の保護監査役員が来ている。
まず三世家。
三世家からは永久子はもちろんとして、理事長の刀子、そして刀子の夫である行雄も来ていた。永久子の父である行雄は「がははははは、このまま家の娘になるか?そしたら誕生日的に永久子の姉だなぁっ!」と言っていて、それに永久子が「お父様、それ最っっ高ですわっ!」と言っていた。ちなみに行雄は心身共に「強者」であるが、朝霧の魅了はあまり効いていない。彼女の魅了は強者でも「真に愛している人」がいると大して効かないのだ。ちょっと好感度が上がる程度である。
そうなることを知っていた刀子は、知っていたけど嬉しそうであったとか。
次に五業家。
ここは、五業の先代と先先代(どちらも筋骨隆々)が、懐石料理に舌鼓を打つ朝霧にめろめろであった。
朝霧の大伯父曰く「うおおおおおおお、可愛いいい!可愛すぎて血管切れそうじゃぁ!」とのことで、朝霧の曽祖父に至っては「ひょおおおおおおおおおお!こんな可愛い曽孫ができちまったら、わしゃあ絶対百まで生きるぞい!」と燃えあがっていて、話し合いどころではなかった。
そして六道家は、あやめは当然としてあやめの父も参加していた。
何故、直接関わりのない六道まで、保護者に名乗りをあげたのかと聞けば…
「ちょっと、将来的に朝霧さんとは色々ありそうでね…」
と、若干濁しながらも「今は詳しく言えないけど、朝霧さんの助けになりたいは思っているよ」と言っていた。
どうやら六道家はあくまでサブ的な立場で朝霧を援助したいらしい。勿論、メインの援助になっても構わないとのこと。
そんな感じで、若干混沌としつつ話し合いは続き、最終的には血縁である五業を主軸としつつ、三世と六道の三家共同で保護者をする方針で決まった。ちなみに鳳雛館を下宿先として、生活は同じ部屋でする事になった。
あの部屋を気に入っている朝霧がそう望んだからだ。
そして九醸家はハブだ。というか明咲の件が決定打となり、九醸家は正式に朝霧の保護者から外れた。九家省が強権を振るい、完全に親権を停止したのだ。
そしてそれは同時に「朝霧が絶対に保護されるべき存在」と九家省が認めた事に他ならない。
ここで九家省の保護監査役員が告げる。
朝霧の保護者である三家にのみ、告げる。
朝霧の異能が特級指定であると。
朝霧の異能は奇しくも、明咲の暴行によって磨かれてしまったのだ。
理不尽な暴力に晒されて、朝霧の「弱さ」が強化されてしまったのだ。
実のところ、明咲が朝霧への暴行に「とらわれてしまった」のも朝霧の異能が強化された事に他ならない。
そう「強者」とは別の惹かれ方をしてしまったのだ。
朝霧の魅了は非常に強力で、正に「特級」と言えるものだ。上手く使えば、交渉事にもハニートラップにも使え、強者への必殺的な撒き餌となる。なので、決して悪用されること無いよう大切に管理保護しなくてはならない。
それを聞いた朝霧は、難しくていまいちピンときていなかったが、何か思うことがあったらしく、おもむろに文字を書き出す。
そこには「じゃあ、とわちゃんとあやめちゃんは、本当は僕を好きじゃないってこと?」と書いてあった。とても悲しそうな顔でそ、その一文を見せてくる。
違う。そうではない。
朝霧の魅了は洗脳じみているが、そうではない。
単純に、ごく単純に、朝霧が美少女なだけだ。強者にとっての特級美少女である。ただ、それだけなのだ。
九醸朝霧という人間が「強者」にカテゴライズされる人間にとって、ありえないほど癖に刺さるだけなのだ。
つまり「頼り甲斐のある人間が年下にモテやすい」みたいなもので、朝霧は「精神と肉体が強靭な人間が異常にハマりやすい」だけなのだ。
「難しいことはなく、ただ貴女だから、おねーさんだから好きになっただけですよ」
「そうですわっ!好きは好きですのっ!細かいことはいいんですのっ!」
そう二人が言ってくれ、朝霧は嬉しそうに微笑む。
嬉しそうに。それはそれは嬉しそうにして抱きつくのであった。
ーーーー
そして最後に。
「私は武蔵と申します」
老紳士が朝霧に挨拶をする。
「これからお嬢様の護衛とお世話をさせて頂きますね」
背が高く、洗練された、強者然とした男。
「ふふ、美智お嬢様を思い出しますねぇ、お懐かしや」
彼はかつて、五業の従族家歴代最強をほしいままにしていた男
その彼が朝霧の専属護衛となったのだ。
「…!」
そんな彼に、朝霧は文字で「よろしく竹倉!」と微笑んだのだった。
「武蔵ですお嬢様。あ、お嬢様とお呼びしても構いませんか? ……ありがとうございます」
ま、と、め。
三世、五業、六道の三家が連名で朝霧の保護者になった。九醸はハブられた。作者は強者老執事キャラが好き。
お、わ、り。




