暴行される。
※アテンション!
この話と次話は、筆者の性癖が全開なため、暴行が嫌いな人や「かわいそうなのはヌけない」と言う人はブクマを外した方がいいかもしれません。
では紳士淑女の方々は引き続きどうぞ…
「ヘラヘラ笑うな、反吐がでる」
「ゔぁッ!?」
明咲は地面に尻餅をつく朝霧を上から殴りつける。
「くそが」
「あッ」
「くそが」
「あぃ」
「くそが」
「ぁ、あ、」
立て続けに、コメカミのあたりを何度も殴りつける。
朝霧は意識が半分以上飛んでいて目が虚ろだ。コメカミからはどくどくと血が流れている。
「ちょ!?何をするのですかっ!!」
最初に殴りつけた時からずっと、壬生与志恵は明咲を止めている。
当然、他のメイドも止めようとしているが、明咲は止まらない。
明咲の肩書きは運動部連盟の副総代。その肩書きは伊達や酔狂では無く、明咲は根っからの武闘派である。九大家や従族家の上澄みクラスでなければ相手にはならず、そう行った者達は皆、久能詩子や三世永久子の様に予定が詰まっていた。
つまり今この場には、二流の戦力しかいないのだ。
「他の者は手を出すな、これは九醸家の問題である」
そこで、明咲が周囲を睨みつけ、腕を振って振り払い、そう言い放つ。
その怒気と言葉に周囲のメイド達は皆、押し黙るしかなかった。
これは、まだ三世家が朝霧を保護したことを公表していないからだ。
三世家としては、もう朝霧の緊急保護は概ね認められているので焦る必要は無く、今週の日曜に予定されていた朝霧と九家省監査役員との面談を経てから正式に公表しようと思っていた。それが仇になったのだ。
周りのメイド達は、朝霧の今の姿を好意的に捉えてはいるものの、しかし朝霧の今までの悪評も聞き及んでいる。九醸家の長子が「家の問題」と言い放てば、大抵の人間は「朝霧の方に問題がある」と思ってしまうのだ。要するに、信用の差だ。
「おい、何を呆けている」
「ぅ… ぇ?」
虚空を見ていた朝霧が、明咲の方を緩慢に向く。ただ声に反応しただけで、意識が定まっていない。だが、今の明咲にとってはその緩慢さすら気に触る。
明咲は片足を上げると、投げ出された朝霧の足を踏み抜く。
「ぅああああああッ…っ!」
べきん。
鈍い音と朝霧のかすれた悲鳴が響く。
「あ あ… ぁ ぁ」
真っ青な顔で、短い呼吸を繰り返しながら、あらぬ方向に曲がった自分の足をみる。
痛みと恐怖で、朝霧の目からはボロボロと涙が落ちていく。
「はは、目が冷めたみたいだな」
「…ぃ」
朝霧の髪を掴み、上を向かせる。恐怖に染まった朝霧の顔を見て、明咲は初めて笑みをこぼす。その表情には「ずっとこうしてやりたかった」と書いてある。
その凄惨な光景を周りのメイド達は見ていることしか出来ないのだった。
ーーーー
九大家の権力とはとてつもなく大きい。九大家であれば、正当性のある殺しが許される程に。
九大家側に非がある行為をすれば、九家省を通して制裁が加えられるが、逆に言えば正当性さえあれば何をしても大概は許される。
しかし今回の明咲の行為に正当性は無い。
何故なら朝霧はすでに緊急保護が認められているからだ。朝霧の保護者はすでに三世であり、明咲の行為はそれを侵す行為である。
これが九家省に知られれば、明咲は罪を負うことになる。具体的な刑罰の一つとして、九醸家の当主継承権を永久に剥奪される。
九大家の当主は九家省の定める当主条件を満たさねば法的に認められないのだ。
だから、もう明咲は九醸の当主には永久になれない。
そして、だからこそ。周りは止めない。
周りの人間は、まさか明咲が九大家当主の資格をなげうってまで罪を犯しているとは考えないからだ。
であれば、悪いのは朝霧だという見方になる。
いくら状況が悲惨な弱い者イジメでも、恐らく、きっと、これは正義の行い。
九大家の行う正義は許される。
故に、止めては、いけないのだ。
一方、明咲はもう当主を諦めている。
幸い、家には優秀な次男がいて、当主は彼がなれば良いのだ。
緊急保護には一つ穴がある。
それは保護対象が自ら生家へ帰る事を望めば、原則的にそれを止めることができない点だ。
これは緊急保護が極力、保護側と保護対象側の同一意思の元で行われるべきと言う考えからだ。保護対象がやっぱり帰りたいのだと言えば、それを基本的に尊重すべきとされている。
とは言え、保護対象が一時的に帰宅しても生家側の親権は凍結したままなので保護者側は色々介入できるし、もしそこで保護対象が不慮の死を遂げた場合、保護者側は生家側を訴えることができる。
だがそれはあくまで、生家側が保護対象にとって危険な環境である場合の話。
つまり危険が無いなら問題は無い。大切にされる分には問題ない。
明咲は考えた。
要するに、朝霧にずっと家にいたいと、無理矢理思わせればいいのだ。
痛みと恐怖で思考を塗り潰し、服従させてしまえば良いのだ。
心を壊して、洗脳して、母と祖父の元にしか救いはないのだと思わせれば良い。
そうすれば、朝霧はずっと母と祖父の元にいるだろう。
私は罪に問われるが、未成年であるし、当主にはなれずとも再起ははかれるだろう。
そしてきっと父様は殺されるまではいかない筈だ。その場合、主だって悪いのは私だから。
それに結果的に朝霧が母と祖父の元にいれば、そこまでの不満はでないだろう。
父様はいずらくなるだろうが、そうなればいっそ父様と一緒に家を出ても良い。
それがいい。それでいい。これで大丈夫。大丈夫だよ朝霧。
顔だけは潰さないでやるから。
アッネ、こっわw




