条件が変わる。
その後。
朝霧は鳳雛館の医療施設に運び込まれた後、そのまま鳳雛館の客室に移された。
鳳雛館に運び込んだ理由はここが一番近く、医療施設があり、そして政治的に都合が良いからだ。
三御坂学園は三世家の管轄でありながら、学園という性質上九大家が頻繁に行き来する特殊な地。
他家の息女を当主の許可なく連れ込むには一番都合が良いのだ。
その鳳雛館にて。
朝霧は永久子による手厚い看病を受けた。
身体は隅々まで拭かれたしトイレも付き添われる、本当に手厚い看護であった。
基本的に遠慮しない朝霧は遠慮なくおぎゃってたし、永久子は永久子でいっぱいメイドができてほくほくしていた。
朝霧は大分衰弱していたが、めちゃくちゃ高い九大家御用達の点滴をぶち込んだら、その日の夜には結構回復し、ベットの上で起き上がれるくらいにはなっていた。
「朝霧君、契約内容を変更しようか?」
鳳雛館の客室にて。
朝霧は永久子にニッコニコでお粥をあーんしてもらっていた。そこに理事長がやって来たのだ。
「え、ひ弱過ぎてやっぱクビってことです?」
一変、泣きそうな顔になる朝霧。
「嫌ですわお母様っ!この子はウチで飼うんですのっ!ちゃんとお世話もしますから!ね、いいでしょう!」
永久子は朝霧を胸元に抱き寄せ、そう主張した。
「いやいや、そういう話しではないよ」
理事長刀子はそんな二人の様子に「仲良くなったなぁ」と思いながら苦笑するのだった。
そして刀子は説明する。
それは、現在の「鳳雛館のお手伝い」契約を、「鳳雛館のお手伝いを含む特別奨学制度」に変更する、というものだった。
その具体的な内容は、朝霧に卒業までの期間…
鳳雛館の一室を提供し居住を許可。
食事も三食オヤツ付きで提供。
学費も全額免除。
体調不良や怪我の際の無償治療。
その他生活必需品の無償提供。
これらを保証するというもので、その対価として…
鳳雛館のお手伝いをならべくする。
理事長のお手伝いを可能であればする。
貞淑で品行方正な振る舞いをする。
可能な限り学園の制服(女生徒用)を着用して外出する。
とのことであった。
その内容に朝霧は「……ちょっと僕に都合よすぎません?」と言った。
まあ当然の反応である。一見して、義務に対して権利が大き過ぎるよう思えるからだ。
何故こんな特別扱いの契約に変更するのかと聞けば「この契約なら、今回の様に君が突如体調不良になっても対応出来るだろう?」とのこと。
これには永久子もにっこりで「いっぱいお世話できますわね!」と喜び「是非そういたしましょう!」と朝霧を急かした。
契約するよう永久子に強請られる朝霧が「どうしてそんな良くしてくれるのです?」と刀子に聞けば「単純な善意もあるけど、それだけじゃない」と前置きし…
「君は類を見ないレベルの美少女だからね。囲っておくだけでも十分に価値があるんだよ」
と、言った。
それに、深く考えるのが不可能に近い朝霧は「そういうもんかな?」「えらい人がそう言うんなら、そうなんだろうな」と思い…
「じゃ、契約します!」
そう答えて、契約を変更するのだった。
「ああ、よろしく」
当然、裏はいくらかある。




