面接をする。
「えっと、えっと」
圧の強い三世永久子を前に、気圧される朝霧。
「三千世界に永久不滅と書いて三世永久子! 以後、お見知り置き下さいませっ!!」
そんな朝霧を前に、ずいと一歩踏み出し追加名乗りをあげる不二子。
「は、はいぃ、霧がかった日に生まれたと聞いています。朝方生まれの九醸朝霧です。不束者ですが、どうぞよしなにぃ!」
それに釣られて声をはりあげる朝霧。
「よろしい! 採用!」
「ぅえ!?」
そして下される唐突な採用判定。場は、混沌としていた。
そこで。
「あ、九醸さん。起きました?」
「永久子お嬢様ぁ〜、廊下まで、声が響いてますよぅ」
担任の吉永と糸目のメイド服の女性が入ってくるのであった。
ーーーー
鳳雛館。
それは三御坂学園の中央に座す、豪奢な洋館である。
入館が許されるのは「鳳雛会」所属の者だけ。
そして鳳雛会とは三御坂学園在学で、要職に付いている生徒ないし優れた功績や能力を持つ生徒が在籍を許される互助交友会である。
三御坂学園は日本の中核たる九大家の子息が多く通う名門中の名門。
つまり学園の中心的生徒が集う「鳳雛会」とは、時代の日本を背負う者たちが集まる、まさに鳳雛達が集う場所であるのだ。
「そして鳳雛館を切り盛りする使用人は、九大家の関係者でまかなう決まりなのですぅ」
「そういうことですわっ!」
鳳雛館の使用人についての説明をしてくれたのはメイド服の糸目の女性。彼女は九大家の一つ三世家の従族家で壬生沙那恵である。因みに従族家とは九大家に付き従い、護り助ける直属の一族のことで、三世家における壬生家、六道家における鹿鳴家である。
更に因んで九醸家の従族家は球磨川家で、分家筆頭の久能とはまた違う。
「えっと、つまり僕も鳳雛館の使用人をさせてもらえるってことですか?」
「そうですわ!是非わたくしと一緒に働きましょう!」
三世永久子は鳳雛館の人事にある程度口を出せる。というのも彼女の母親、つまり三世家の当主が三御坂学園の理事長であるからだ。加えて永久子は鳳雛館の使用人勢のトップを務めている。つまりある程度の裁量権を持っており、多少の無理は通せる立場なのだ。
「可愛いあなたの可愛いメイド服がわたくしは見たい!わたくし三世永久子は私利私欲のため、貴方を採用致しますっ!」
「ぅあ、ありがとうございます永久子さん!」
「メイド服を着ている時はメイド長とお呼びなさいっ!」
「はい!メイド長っ!」
本来、九大家の直系が使用人をすることはない。鳳雛館の使用人は基本時に従族家が務めるため、本家の人間はやらない。ましてや、三世永久子は高等部の運動連の副総代も務めている正当な鳳雛会員である。
ではなぜ三世永久子がメイドをしているかと言えば、それはひとえに趣味である。
彼女はメイドを見るのもやるのも好きで、正統派メイドを嗜むだけでなく俗なメイド喫茶に行く程の貴賤なきメイド好きだ。
そんな彼女の前に、顔は特級のドジっ娘メイド適性の美少女がいる。ならば答えは決まっていた。
三世永久子という女はいっそ清々しい程に欲望に忠実なのだ。
まぁ、私欲だけでなく朝霧の境遇への哀れみもあるし、吉永たっての頼みを聞いてやったのもある。
「ではあなたに何が出来るのか見せてもらいますわっ!」
「はい!よろしくお願いします!」
こうして朝霧のバイトが決まり、決まってから試験が始まるのであった。




