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41話 狙われたワケ

 落ち着いて話せる場所を求めて、俺たちはギルドに来た。


「だ、だめに決まってますよ……いくらカケルさんのお願いでも、関係者じゃない人に部屋を貸すなんて……無理です」


 ですよね〜。

 シアンに頼んでみたんだが、にべもなく断られてしまった。


 ここがダメってことになると、もう思いつく場所が無い。

 なんとかもう一度頼むしかないが……無理だろうなぁ。


「……受付嬢さん……なんとかお願いできないでしょうか?」


 今度はディナがシアンに頼んでいる。


「いえ。ですから当ギルドに関係のない……って、あれぇ? あなたどこかで見たことがあるような……」


「はい。この街の方なら、私の顔を知っていてもおかしくありませんよ」


 ニコっとディナはシアンに笑ってみせた。

 シアンは思い出すように、懸命に考えているようだ。


「あっ!! 思い出しましたっ! あなたは領主様の!?」


「しっー! 静かにしてください。他の方に迷惑ですよ?」


 ディナはシアンの口に、人差し指を当てている。


 今「領主様」って聞こえたような。

 それとシアンの驚きようはなんだ? ディナは何者なんだ?


「えっと……あう。わ、分かりました。来賓室が空いているはずですから、そこをお貸しします」


 おお、そんなあっさりと貸してくれるのか。

 俺との対応が違いすぎるだろ。


 もしかして、ディナってどっかの偉いさんだったりしてな。

 それはないよな。はっはっは。


「ただし、わたしも同席させてもらうのが条件です! この条件をもし――」

「あなたには感謝します。ありがとうございます、シアンさま」


 力説していたシアンの手を、ディナは握っている。


 シアンが動揺しているように見える。まあ、きっと気のせいだろう。



 俺たちは、二階の奥の来賓室に案内された。


 三人掛けのソファーには、俺とシロとシアン。


 向かいの椅子にはディナが座り、その後ろにはエレスとダイアが立っている。


 テーブルには、シアンが淹れてくれた紅茶が人数分置かれている。


「じゃあ話してくれ。あんた達のことを」

「ちょ! カケルさん。もっと言葉を選んで」


 クスクスと、ディナが笑っている。


「いいんですよ、シアンさま。お気になさらないでくださいね」


 ほら見ろ。ディナもこう言ってるんだ。

 俺は遠慮なんかしないぞ。


「改めて自己紹介させていただきますね。私は、この地方を治める領主の娘、ディナ・サン・ウィルターと申します」


 え、ディナが領主の娘だって?

 あ、それでシアンがあっさり部屋を貸したのか。納得した。

 領主の娘って偉いのかどうかは知らないけど。

 シアンの反応を見れば、偉い人なんだろう。


「それじゃあ、後ろの二人は、ディナの護衛かなんかなのか?」


 否定するように、ディナが首を横に振り、


「いえ。私のではありません……彼女たちはミトの護衛騎士なんですよ」


「なあ、シアン。その護衛騎士ってなんなんだ?」


「え、知らないんですか? もうしょうがないですねぇ、カケルさんはぁ。えっと、護衛騎士って言うのはですね。王族の方々を護る騎士のことなんですよ」


 なんだ、その全力のドヤ顔は。

 知らなくてすみませんね、本当に。


 で、護衛騎士って王族を護る騎士のことなのか。

 ちょっと待て。王族って言うことは……


「……ミトって王族なの!?」

「貴様っ! ミト様を呼び捨てにするとは……万死に値する!」

「やめてください、エレスさん!」


 エレスは突然剣を抜こうとしたが、それを諫めるようにディナが声を上げる。


 うえええ。なにこの人。

 怖い顔をして急に剣を抜こうとしてるよ!?


 シアンもドン引きだぞ!?


「エレスさん。落ち着いてください! この方は私たちを傭兵団から助けてくださったんですよ?」


「そうかもしれませんが、ディナ様。結果として、ミト様は連れ去られてしまったんですよ?

 こんな男に頼ってしまったばかりに……ちっ」


 舌打ち!?

 たしかに拐われたけれど。舌打ちするか、普通!


「エレス……辞めて……この人が悪いわけじゃないよ……責任は私達にあるでしょ?」


 三つ編みの女性、ダイアって言ったか。

 消えそうな声でエレスに話しかけている。


「……そうね。私たちにも責任があるわね……すまなかったな、男」


 いえ、分かってくれればいいんですよ。

 俺も失敗しちゃったわけだし。お互い様ですよ、お互い様。

 じゃ、仕切り直しで質問再開といこうか。


「で、ディナとミトは、なんで傭兵たちに追われていたんだ?」


 またエレスの舌打ちが聞こえてきた。

 ミトの呼び捨てがそんなに気に入らないのか……でも、呼び捨てはやめないからな。


「……それは、私の父……現領主ラングス・ドゥ・ウィルターに関わってくる話になります」


 現領主に関わってくる話?


「あんたの父親と傭兵たちに、どんな関係があるって言うんだよ? そこをもう少し詳しく教えくれないか」


「はい。父と傭兵団……それと父が今やろうとしていることについてお話します」


 さっきまでの表情と違い、ディナは暗い表情になっている。


 ディナ、ミト……それにディナの父親である領主がやろうとしている事とはいったい……



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