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第62話 山から見る大森林の夕景、ラーメン


 ゼピュロス・メルト鉱石を回収したあとも、赤い一号車は【自動操縦】で山を登り続けた。


 標高が上がるにつれて木々は少なくなり、岩肌の露出した場所が目立つようになっていく。


 その分、視界を遮《さえぎ》るものも減ってきた。


 そして――


「……おお」


 何気なくドラレコの視点を後方へ向けたところで、俺は一号車を停めた。


「どうしました?」


「良太、これを見てみろ」


 後方のドラレコ映像をフロントガラスへ映す。


「うわ……」


 良太も声を漏らした。


 山の斜面から見下ろす先に、広大なセラフィナイト大森林が広がっていた。


 森の中を探索していたときは、どこまで続いているのかもわからなかった。


 だが、こうして高い場所から眺めると、その広さがよくわかる。


 見渡す限り、どこまでも緑が続いている。


 一本一本が大きな樹のはずなのに、ここから見ると一枚の巨大な緑の絨毯のようだ。


 しかも、今はもう夕方。


 西へ傾いた太陽が、大森林を斜めから照らしていた。


 木々の梢《こずえ》が黄金色に輝き、その隙間には長い影が落ちている。


 風が吹くたびに葉がゆれ、光を反射する場所もゆっくりと移り変わっていった。


「きれいですね……」


「ああ」


 思わず見入ってしまう。


 昨日からずっと、あの森の中を赤い一号車に探索させてきた。


 巨大な樹。


 薬草。


 魔樹。


 アーマー・グリズリー。


 フェンリル。


 そんな森が今は、はるか下に広がっている。


「セラフィナイト大森林って、こんなに広かったんだな」


「森の中にいると全然わかりませんでしたね」


「うむ。大森林と呼ばれるだけはあるじゃろう」


 バンデランテもフロントガラスに映る景色を眺めている。


 俺はしばらくその景色を眺めたあと、周囲のレーダーを確認した。


 赤い反応はない。


 ドラレコの視点も動かし、一号車の周囲を確認する。


 開けた岩場になっていて、グレーの四号車を置く場所も十分にありそうだ。


「せっかくだし、向こうへ行くか」


「山へですか?」


「ああ。映像で見るだけじゃもったいないだろ」


「いいですね!」


 俺は【車両入れ替え】を発動する。


 次の瞬間――


 湖畔に停まっていたグレーの四号車が淡い光に包まれた。


 一瞬だけ視界が白く染まり――


 光が消える。


「おお……」


 窓の外の景色が、一変していた。


 さっきまで目の前に広がっていたラズライト湖はない。


 代わりに見えるのは、岩の多い山の斜面。


 湖畔にいた四号車と、山中にいた一号車を丸ごと入れ替えた。


「きゅ?」


 後部座席でくつろいでいたバハが、窓の外を見て首をかしげる。


 さっきまで湖畔にいたのに、いきなり山の中へ移動したのだから当然か。


「着いたぞ、バハ」


「きゅー!」


 俺は四号車から降りた。


 ドアを開けた瞬間――


「おお……」


 思わず、もう一度声が出た。


 映像で観るのとは、やはり違う。


 少し冷たくなった山の風が頬をなでる。


 森の匂い。


 土と岩の匂い。


 そして、風にゆれる木々の音。


 目の前には、西日に照らされたセラフィナイト大森林が広がっていた。


「これは来て正解だったな」


「ですね」


 助手席から降りたバンデランテに続き、良太とバハも外へ出てくる。


「きゅ~!」


 バハは翼をぱたぱたさせながら、さっそくあたりを見回している。


「先輩、椅子を出しましょうか?」


「ああ。せっかくだから、ここで少し休んでいこう」


 良太が【ネットショッピング】からキャンピングチェアを取り出した。


 俺たちの分を、景色のよく見える場所へ並べる。


 小さなテーブルも一つ。


「飲み物はどうします?」


「俺は缶コーヒー。ブラックで」


「バンデランテさんは?」


「わしも同じものでよい」


「じゃあ僕もコーヒーにします」


 良太が冷えた缶コーヒーを三本取り出す。


 俺は一本受け取り、プルタブに指をかけた。


 カシュッ。


 山の静けさの中に、小さな音が響く。


 椅子に腰を下ろし、一口飲む。


「……うまいな」


「こういうところで飲むとおいしく感じますよね」


「ああ」


 何をするわけでもない。


 ただ椅子に座って、コーヒーを飲みながら森を見る。


 それだけで十分だった。


「きゅー」


 隣から声がする。


「お前はコーヒー飲まないだろ」


「きゅ!」


 わかっていると言いたげな返事だ。


「バハちゃんには、ちゃんと用意してますよ」


 良太が皿を取り出した。


 そこには色とりどりの果物が盛られている。


 イチゴ。


 ブドウ。


 メロン。


 桃。


 食べやすい大きさに切ったものも混ざっていて、なかなか豪華な盛り合わせになっている。


「きゅー!」


 途端にバハの声が弾む。


「ほら、どうぞ」


「きゅ!」


 バハは椅子にちょこんと座り、さっそく大きなイチゴにかぶりついた。


「きゅ~♪」


「幸せそうだな」


「バハちゃんは、本当に果物好きですね」


 俺は笑いながら缶コーヒーに口をつける。


 少しずつ太陽が低くなっていく。


 最初は黄金色だった光にも、次第に赤みが混じり始めていた。


 それに合わせて、大森林の色も変わっていく。


 鮮やかな緑。


 金色。


 橙色。


 そして赤。


 西日に照らされた梢だけが明るく輝き、その下には濃い影が広がっている。


 遠くの森ほど薄い霞がかかり、木々は山の向こうまで幾重にも続いていた。


「……すごいな」


 俺は小さくつぶやいた。


 日本でも、山から森を眺めたことくらいはある。


 だが、これほど人の手が入っていない森を見たことはない。


 道路もない。


 鉄塔もない。


 建物もない。


 見える範囲には、人工物らしいものが何一つ存在しなかった。


 ただ、どこまでも森だけが続いている。


「こうして見ると、本当に異世界に来たんだって感じがしますね」


「だな」


 普段はランクルに乗り、良太が【ネットショッピング】で日本の食べ物や飲み物を用意してくれる。


 生活しているだけなら、日本にいた頃とそれほど変わらない瞬間さえある。


 だが、こういう景色を見ると嫌でも実感する。


 ここは俺たちがいた世界とは違う場所なのだ。


「きゅ?」


 バハが桃を口に入れたまま、こちらを見る。


「いや、なんでもない」


「きゅ」


 すぐに果物へ戻った。


 俺も再び森へ目を向ける。


 風が吹く。


 大森林の梢が、一斉にざわめいた。


 ザァァァァ――


 近くの木々から始まった揺れが、遠くへ伝わっていくように見える。


 夕日に照らされた広大な森の表面を、巨大な波が走っていくようだった。


「…………」


 誰もしゃべらない。


 良太も。


 バンデランテも。


 俺も。


 しばらくは、話す必要すらなかった。


 缶コーヒーを飲みながら、ただゆっくりと景色を眺める。


 隣ではバハが嬉しそうに果物を食べている。


 夕焼けに染まっていくセラフィナイト大森林。


 山を登ってきたからこそ見つけられた景色だ。


 俺は椅子へ深く腰掛け、もう一口コーヒーを飲んだ。


 今日は暗くなるまで、もう少しここでのんびりしていこう。





 ◇ ◇ ◇





 山の向こうへ太陽が沈み始めたところで、俺たちはキャンピングチェアを片付けた。


 セラフィナイト大森林を染めていた赤い光も少しずつ弱まり、遠くの森から順番に濃い影の中へ沈んでいく。


「そろそろ戻るか」


「ですね。暗くなる前に帰りましょう」


「きゅー」


 バハも最後のブドウを口に放り込み、椅子からぴょんと降りた。


 周囲に忘れ物がないことを確認してから、俺たちはグレーの四号車へ乗り込む。


 湖畔に置いてある赤い一号車を指定し、【車両入れ替え】を使う。


 一瞬、車体が淡い光に包まれ――


 次に窓の外へ現れたのは、見慣れたラズライト湖だった。


「到着っと」


 山の斜面には赤い一号車を残し、俺たちは四号車ごと湖畔へ戻ってきた。


 明日はまた、ここから赤い一号車を【自動操縦】で動かせばいい。


 わざわざ俺たちまで山へ戻らなくても、そのまま今日の続きから探索を再開できる。


 車から降りると、夕暮れの湖から涼しい風が吹いてきた。


 山から眺めた大森林とはまた違う、静かな夕方の景色だ。


「さて、晩飯どうする?」


「僕は普通に食べられますよ。先輩はどうですか?」


「俺も腹減ってきたな」


「きゅ!」


「お前はさっき結構食っただろ」


「きゅー!」


 まだ食べられるらしい。


 いつものことなので気にしないことにする。


 俺は紺色の三号車へ目を向けた。


「今日はラーメンにするか」


「いいですね!」


 良太がすぐに食いついた。


「せっかくキッチンカーに麺を茹でる設備まであるんだから、使わないともったいないだろ」


「麺を打つ設備もありましたよね?」


「あったはずだ。前に追加してもらったやつ」


 三号車には、サラマンダーとウンディーネが連携する麺茹で専用の設備が備わっている。


 そこまで揃っているのに、肝心の麺を市販品で済ませるのも少しもったいない。


「どうせなら麺から作るか」


「おお、本格的ですね」


「俺たちが作るっていうより、ほとんど機械任せだけどな」


 三号車の三面ガルウィングを展開する。


 左右と後方のパネルがゆっくりと跳ね上がり、湖畔に大きなキッチンスペースが現れた。


 照明も点灯。


 まだ完全に暗くなっていないので、少し光量を落としておく。


「何ラーメンにします?」


「せっかくだから三種類作ろう。醤油、味噌、塩」


「全部ですか?」


「人数もいるし、好きなのを選べたほうがいいだろ」


 バンデランテが首をかしげる。


「らーめんというのは、何じゃ?」


「麺料理だな。今から作るから食ってみろ」


「ほう」


「そうだ。マオたちも呼ぶか」


「いいですね。バンポーさんも誘いましょう」


 湖底の大庭園を調査している二人も、そろそろ夕食の時間だろう。


 俺は【神の無線】をつなぐ。


「マオ、聞こえるか?」


『ん』


「そろそろ晩飯にするけど、戻ってこないか? バンポーさんも一緒に」


『ご飯、なに?』


「今日はラーメンだぞ」


『らーめん?』


「日本の麺料理だ。三種類作る」


 少し間が空いた。


『食べる』


「じゃあ戻ってこい」


『ん』


 通信が切れる。


「来てくれるんですね」


「ああ、バンポーさんも呼んでもらった」


「きゅー」


 じゃあ、作るとするか。


 良太が料理本を見ながら【ネットショッピング】で必要な材料を揃えていく。


 小麦粉。


 かん水。


 塩。


 卵。


 チャーシュー用の豚肉やメンマ、長ネギ、海苔。


 味噌や醤油などの調味料も並べていく。


 もともと、俺たちはそれほど料理が得意だったわけではない。


 だが、こっちの世界へ来てからは時間があると料理本を眺めることも増えた。


 実際の調理は精霊たちや三号車の設備が助けてくれることもあり、最近では、このくらいの料理なら何を用意し、どう作ればいいのか、すぐに指示を出せるようになってきた。


 スープは、一から何時間も煮込むつもりはない。


 良太に買ってもらった鶏ガラや豚骨、魚介系の出汁などを使い、あとは三号車の調理機能に任せる。


 さて、まずは麺だ。


 材料を製麺設備へ入れ、太さと硬さを設定する。


「最初は普通の中細麺でいいか」


「三種類ともですか?」


「ああ。今日は食べ比べが目的じゃないからな」


 機械を動かす。


 小麦粉へ水分が加えられ、均一に練り上げられていく。


 まとまった生地は何度も圧延され、薄く長い帯へ。


 最後に切刃を通ると、きれいに揃った中細麺になって次々に出てきた。


「おお、いい感じだな」


「これだけでもラーメン屋さんみたいですね」


「設備だけなら、そのあたりの店より上だろ」


 何しろ神様仕様だ。


 麺を用意している間にも、反対側ではスープ作りが進んでいる。


 サラマンダーが火力を調整し、ウンディーネが水分と温度を管理する。


 醤油は鶏と魚介を合わせたスープ。


 味噌は少し濃厚なスープに。


 塩は透き通ったスープを活かして、あっさりめにする。


 さらに、それぞれに合わせたタレを用意した。


「先輩、いい匂いがしてきましたよ」


「ああ」


 湯気と一緒に、スープの香りが漂ってくる。


 香りは結界で外へ漏れないよう制御されているので、楽しめるのはキッチンカーの周囲だけだ。


 ほどなく――


 湖畔の少し離れた場所に淡い光が現れた。


 光が消えると、マオとバンポーさんが立っている。


「来た」


「拓海様、良太様。また夕食までご一緒させていただき、ありがとうございます」


「気にしなくていいですよ。ちょうど今作っているところです」


 マオは挨拶もそこそこに三号車へ近づき、並んだ鍋をのぞき込む。


「これが、らーめん?」


「まだスープだけな」


「三種類あるんです。醤油、味噌、塩ですよ」


「…………」


 マオが三つの鍋を順番に見る。


「全部、食べる」


「そう言うと思ったよ」


 小さめの丼で三種類出せばいいか。


「きゅー!」


 その横では、バハも嬉しそうに鳴いている。


 俺はふとバハを見る。


「そういや、その姿のままだとラーメンは食いにくいか」


「きゅ?」


 麺を箸やフォークで食べるなら、今の小さな竜の姿では少し難しそうだ。


 マオもバハを見て、小さくうなずく。


「変える」


「【認識改変】」


 淡い光がバハを包み込んだ。


 光が消えると、そこにいたのはハイエルフの姿になったバハだ。


 これなら食器も普通に使える。


「きゅー!」


「これなら食べやすいな」


「バハちゃん、今日はフォークにしましょうか」


「きゅ!」


 良太が子どもでも使いやすそうなフォークを用意する。


「じゃあ茹でるぞ」


 三号車の【超高速・麺茹で&締めシステム】へ人数分の麺を入れる。


 沸騰した湯の中で麺が一気に踊り始めた。


 サラマンダーが火力を維持し、麺を投入しても湯温がほとんど下がらない。


 設定した茹で時間に達した瞬間、自動で麺が引き上げられる。


 ザッ――


 余分な湯だけがきれいに切られた。


「便利すぎるな、これ」


「茹で加減で失敗するほうが難しそうですね」


 温めておいた丼へ、それぞれのタレとスープを注ぐ。


 そこへ茹でたての麺。


 最後にチャーシュー、メンマ、刻みネギ、半熟の煮卵、海苔を載せれば――


「できた」


 三種類のラーメンが、夕暮れの湖畔のテーブルへ並んだ。


 透き通った黄金色の塩。


 香ばしい醤油。


 濃厚な味噌。


「好きなのから食べてくれ」


「ん。これ」


 マオが最初に選んだのは味噌だった。


 バンポーさんは醤油。


 バンデランテは少し迷ってから塩を選ぶ。


 俺は醤油、良太は味噌からだ。


 そしてバハの前には――


「きゅー!」


 三種類とも置いてある。


「熱いから気をつけろよ」


「きゅ!」


 バハはフォークを手に取る。


 最初は少しぎこちなかったが、麺を何本か絡めると、そのまま口へ運んだ。


「きゅっ!」


 赤い瞳がぱっと輝く。


「うまいか?」


「きゅー!」


 かなり気に入ったようだ。


 さて。


 俺も食べるか。


 箸で麺を持ち上げる。


 湯気と一緒に醤油と鶏ガラの香りが立ち上った。


 ふっと息を吹きかけ、そのまますする。


「……うまっ」


 打ちたての麺は、表面が滑らかで、しっかりとコシもある。


 そこへ熱い醤油スープが絡む。


「これ、普通に店で出せるな」


「というか、下手なお店よりおいしくないですか?」


「設備が反則だからな」


 向かいでは、初めてラーメンを食べる三人も麺へ手をつけていた。


 バンデランテが見よう見まねで麺をすする。


「ズズッ――」


 一度噛む。


「…………」


 もう一口。


「どうだ?」


「……うまいのう」


 今度はスープを飲む。


「この麺もうまいが、特にこの汁が面白い。塩味だけではないのじゃな」


「いろいろな材料から出汁を取っているからな」


「なるほどのう……」


 バンポーさんも静かに醤油ラーメンを食べていたが、箸が止まる気配はない。


「これは素晴らしいですね。麺と汁を一緒にいただくことで、また違った味わいになります」


「替え玉もあるから、足りなかったら言ってください」


「替え玉、でございますか?」


「麺だけ追加できるんです」


「なるほど。それでは、後ほどお願いしてもよろしいでしょうか」


「もちろんです」


 そして――


「ん」


 マオが顔を上げた。


「味噌、おいしい」


「気に入ったか?」


「ん。次、醤油」


「もう食ったのかよ」


 丼を見る。


 ほとんど空だった。


「塩も食べる」


「わかったわかった」


「きゅー!」


「お前もか」


 バハはフォークを握ったまま、今度は隣の丼へ目を向けている。


 今夜は、しばらく麺を茹で続けることになりそうだ。


 俺は残っていた醤油ラーメンのスープを一口飲み、夕暮れの湖へ目を向けた。


 今日は朝から赤い一号車を走らせて森を抜け、山へ入り、ゼピュロス・メルト鉱石も見つけた。


 最後は山の上から夕焼けに染まる大森林を眺め、湖畔へ戻って皆でラーメン。


 なかなか充実した一日だった。


 明日はまた、山中に残した赤い一号車を【自動操縦】で動かせばいい。


 俺たちは湖畔にいながら、そのまま今日の続きから山登りを再開できる。


 さて。


 あの山の先には、何があるんだろうな。





  あとがき


  第54話『森の中を北上』に、星の名前と大陸名を追加しました。


「そういえば、バンデランテ」


「なんじゃ?」


「この森って名前あるのか?」


「あるぞ」


「なんていうんだ?」


「セラフィナイト大森林じゃ」


「セラフィナイト大森林……」


 口に出してみる。


「じゃあ、湖の東側に広がっている大草原にも名前があるのか?」


「あるぞ。マラカイト大草原じゃ」


「マラカイト大草原か」


 マラカイト大草原。


 ラズライト湖。


 そして、セラフィナイト大森林。


 このあたりの地名は、鉱石や宝石の名前から取られているものが多いのかもしれない。


「バンデランテさん、ここって何大陸なんですか?」


「ザルカフィア大陸じゃ」


「ザルカフィア大陸……。じゃあ、この星の名前は?」


「テルルスじゃな」


「テルルスですか」


 俺たちはこの世界に来て十一日目にして、ようやく自分たちがいる大陸と星の名前を知った。




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