第54話 森の中を北上
先ほど、ブルーメタリックの60と、茶色の80を新たに購入した。
もちろん、どちらもいつも通りの神様仕様だ。
これで俺たちのランクルは――
一号車、赤い70ショート。現在は拠点。
二号車、白い70トゥループキャリア。現在は湖底の大庭園。
三号車、紺色の70オーバーランダー。拠点でキッチンカーとして使用中。
四号車、グレーの105。現在は森の中。
五号車、ベージュの70オープンカー。二号車と同じく湖底の大庭園。
そして今回加わった六号車、ブルーメタリックの60。
七号車、茶色の80。
――という、なかなか豪華な布陣になった。
このうち白とグレーは、【車両入れ替え】の移動先としても使える。
行きたくなったら、拠点にあるランクルと入れ替えればいい。それだけで湖底の大庭園にも、森の中にもすぐ移動できる。
ベージュのオープンカーは、今のところマオが大庭園の探索に使っている。
こうして改めて考えると、ずいぶん増えたものだ。
正直、眺めているだけでも気分がいい。
日本にいた頃、これだけのランクルを好きなときに乗り比べられる日が来るなんて、想像したこともなかった。
できることなら、新しく買った60と80を眺めながら、しばらく湖畔でのんびりしていたいところだが――
そうも言っていられない事情ができた。
バンデランテを、ドワーフ王国へ帰さなければならない。
話を聞けば、山の崩落で普段使っていた道が塞がれ、南へ大きく迂回するうちに森へ入ってしまったという。
ドワーフ王国には自分の工房があり、そこで数人の弟子も働いているそうだ。
予定より帰りが遅くなれば、当然そちらも心配するだろう。
それに俺たちにも、ドワーフ王国へ行く理由ができた。
マオからもらった二つのSランク魔核。
あれを使って、俺と良太の腕輪を作ってもらう。
バンデランテの工房なら加工できるというのだから、ちょうどいい。
そんなわけで――
俺たちは森の中に置いてきたグレーの105と、拠点の赤いショートを【車両入れ替え】で交換した。
赤いショートは今、昨日バンデランテを見つけた場所に停まっている。
あそこから、そのまま探索の続きを始めるつもりだ。
俺たち四人――俺、良太、バンデランテ、バハは、拠点へ戻ってきたグレーの105に乗り込んでいた。
運転席は俺、助手席はバンデランテ。後部座席では良太とバハがくつろいでいる。
「きゅ~」
「バハちゃん、眠そうですね」
「きゅ」
後ろからのんびりした声が聞こえてくる。
実際に森の中を走るのは、誰も乗っていない赤いショートだ。
俺は【自動操縦】を発動する。
遠く離れた森の中で、赤いショートのエンジンが掛かった。
同時に、グレーの105のフロントガラスへドラレコ映像が半透明で重なって表示される。
赤いショートの前方の景色に、周囲のレーダー、進行方向や速度。
必要な情報が、視界を邪魔しない程度の濃さでフロントガラス上に浮かび上がる。
「…………」
隣が妙に静かだ。
「どうした?」
「いや……」
バンデランテがフロントガラスを指さした。
「これは、何なんじゃ?」
「森に置いてある赤い車から送られてきている映像だ」
「映像……?」
「向こうの車についているドラレコで周囲を見ている。こっちにいながら、向こうの景色を確認できるんだ」
「…………」
バンデランテがフロントガラスへ顔を近づける。
映像の向こうでは、赤いショートがゆっくりと動き始めた。
進路上の下草をシルフが刈り、邪魔な細枝を落としながら、木々の間を縫うように北へ向かっていく。
「つまり……あの車には誰も乗っておらんのじゃな?」
「ああ、乗っていない」
「それを、ここから動かしておる?」
「そういうことだ」
「そのうえ、あちらから見えておる景色まで、このガラスに映しておると……」
「のみ込みが早いな」
「…………」
また黙ってしまった。
今日だけでいろいろ見せすぎたかもしれないな。
フロントガラスに映されているこのリアルな映像は、現代日本人が見ても驚くレベルだ。
前を見たら森の中、横を向けばのどかな湖畔だからな。
「おぬしらの車は、どこまで非常識なんじゃ……」
「俺に言われてもな。創ったのは神様だ」
「神が創ったと言われれば、それまでなんじゃが……」
バンデランテは納得しきれない顔で座席へ戻った。
それでも気になるらしく、視線だけはずっとフロントガラスへ向いている。
俺は赤いショートを北へ進ませながら、ふと一つ気になった。
「そういえば、バンデランテ」
「なんじゃ?」
「この森って名前あるのか?」
「あるぞ」
「なんていうんだ?」
「セラフィナイト大森林じゃ」
「セラフィナイト大森林……」
口に出してみる。
「じゃあ、湖の東側に広がっている大草原にも名前があるんだな?」
「あるぞ。マラカイト大草原じゃ」
「マラカイト大草原か」
マラカイト大草原。
ラズライト湖。
そして、セラフィナイト大森林。
このあたりの地名は、鉱石や宝石の名前から取られているものが多いのかもしれない。
「バンデランテさん、ここって何大陸なんですか?」
「ザルカフィア大陸じゃ」
「ザルカフィア大陸……。じゃあ、この星にも名前ってあるんです?」
「テルルスじゃな」
「テルルスですか」
俺たちはこの世界に来て十一日目にして、ようやく自分たちがいる大陸と星の名前を知った。
「ここは、ずいぶん広い森なのか?」
「広いぞ。西から北にかけて山のふもとまで続いておる。場所によっては何日歩いても抜けられん」
「なるほどな」
今回の目的は、バンデランテをドワーフ王国へ送り届けること。
だが、それだけではない。
セラフィナイト大森林の調査も兼ねている。
最短距離だけを考えるなら、西へ抜けて川沿いを北上したほうが速いだろう。
だが、俺たちは先を急いでいるわけじゃない。旅の途中で何があるのかを見て回るのも、目的の一つだ。
だったら、せっかく入ったセラフィナイト大森林を、このまま北へ抜けてみたい。
「バンデランテ。このまままっすぐ北へ行けば、山に出るんだよな?」
「うむ。方角さえ間違えなければ、嫌でもぶつかる」
「山を越えれば、ドワーフの国へ行けるのか?」
「ああ。わしらの国は、あの山脈を越えた先じゃ」
「わかった」
まずは森を北へ抜ける。
ランクルなら方角を見失う心配もないし、多少の悪路なら道そのものが必要ない。
それに――。
「バンデランテを襲った熊型の魔物も、この森にいるんだよな?」
「おるぞ。もっとも、そう頻繁に出くわす魔物ではないがの」
「どんなやつなんです?」
後部座席から良太がたずねる。
「見た目は大きな熊じゃ。立ち上がれば、わしの三倍近くある」
「それはかなり大きいですね」
「爪も厄介じゃが、一番面倒なのは力じゃな。まともに殴られれば、大盾を持った重戦士でも吹き飛ばされる」
「ランクは?」
「Bじゃ」
「ロック・バルチャーと同じですね」
「なら、今の俺たちならそこまで警戒する相手でもないか」
「……おぬしら、Bランクを相手にずいぶん軽く言うのう」
バンデランテがあきれたようにこちらを見る。
俺たちもこの世界へ来たばかりの頃なら、Bランクと聞けば相当警戒したはずだ。
だが今ではレベルも上がり、魔剣もある。
何より――
「きゅ?」
後部座席のバハが、不思議そうに顔を上げる。
SSランクのバハムートまでいる。
Bランク一体におびえる状況ではなくなっていた。
もっとも、バンデランテが倒したと言っていた熊型の魔物については、少し気になる。
本人は仕留めたと言っているが、最後に一発もらって斜面を転がり落ちた。
本当に倒したのかは、今でも少々怪しい。
もし生きているのなら、同じあたりをうろついている可能性もある。
まあ、見つけたらそのとき考えればいい。
俺は再びフロントガラスへ視線を戻した。
ドラレコ映像の中では、赤いショートがゆっくりと北へ進んでいる。
昨日、バンデランテを見つけた場所から、そのまま探索の続きだ。
つまり、走り始めた時点からすべてが未知の場所になる。
背の高い木々。
湿った腐葉土。
巨大なシダや、見たことのない色の花。
ところどころに木漏れ日が差し込み、森の中へ細い光の柱を作っている。
「速度はこのくらいでいいな」
「ゆっくり行くんですか?」
「せっかく調査も兼ねてるからな。飛ばして見落としたらもったいない」
「そうですね」
赤いショートは、歩くよりは速いものの、森の様子を十分観察できる速度で進んでいく。
シルフが下草を刈り、ベヒーモスマッドが湿った地面をしっかりとつかむ。
大きな木は避け、通れそうな隙間を選びながら、赤い車体が少しずつ森の奥へ進んでいく。
バンデランテは相変わらずフロントガラスの映像へ釘づけだ。
「……本当に道がなくても進めるんじゃな」
「このくらいなら問題ない」
「森の中を、誰も乗らずに走っていく車を別の車から眺める……わしの知っとる旅とは、ずいぶん違うのう」
「俺たちも、こんな旅になるとは思ってなかったけどな」
そんなことを話しながら、赤いショートをさらに進ませる。
しばらくはレーダーにも反応がない。
聞こえてくるのは、ドラレコ越しの葉擦れの音と、タイヤが腐葉土を踏む低い音だけだった。
そのとき――
「先輩」
後ろから良太の声が飛んできた。
「レーダーに赤い反応が出ました」
俺もすぐに表示へ目を向ける。
「進行方向の少し右です」
確かに赤い点が一つ。
しかも、止まっていない。
ゆっくりと赤いショートへ近づいてきている。
「なんじゃ、その赤い点は?」
バンデランテも気がついた。
「魔物だ」
「……魔物までわかるのか?」
「車の近くにいればな」
「…………」
バンデランテが額へ手を当てる。
「もう驚くのも疲れてきたわい……」
その気持ちは、少しわかる。
俺はドラレコの映像を、赤い反応の方向へ切り替えた。
木々の隙間。
背の高い草が大きくゆれている。
「さて……」
熊型の魔物か。
それとも、まだ見たことのない何かか。
赤いショートをその場で停止させ、俺たちは映像の向こうにある茂みを見つめた。
ガサッ――
大きく茂みがゆれた。
次の瞬間、太い枝を押し退けるようにして、巨大な影が姿を現す。
「……熊か」
黒褐色の毛に覆われた、巨大な熊だった。
四足で立っている状態でも、赤いショートのボンネットよりはるかに高い。
全身を覆う毛は普通の獣よりも硬そうで、特に肩から背中にかけては、まるで鎧でもまとっているかのように分厚い。
太い前脚の先には、短剣ほどもありそうな爪が並んでいた。
「バンデランテ。あれか?」
「…………」
返事がない。
隣を見ると、バンデランテがフロントガラスの映像を食い入るように見つめていた。
「おい?」
「……間違いない」
低い声が返ってくる。
「あいつじゃ。わしを襲ったのは」
「生きてたか」
「…………」
やっぱり仕留められてなかったじゃないか。
本人が倒したと言っていたから黙っていたが、最後に一発もらって斜面を転がり落ちたという時点で、少し怪しいとは思っていた。
「良太、査定できるか?」
「やってみます」
後部座席の良太が【遠隔買取査定】を使う。
赤いショートを通して周囲の状況を確認できているからか、離れた湖畔からでも査定できる。
通常の【買取査定】や【鑑定】ほど詳しい情報はわからないが、その代わり遠く離れた場所にいる相手にも使える。
「出ました。――【アーマー・グリズリー】。Bランクの熊型魔物ですね」
「Bランクか」
「はい」
改めて映像をよく見ると、アーマー・グリズリーの肩口には大きな傷があり、左の前脚も少し引きずっていた。
硬そうな体毛も何か所か切り裂かれ、そこには乾いた血がこびりついている。
倒せてはいなかったが、バンデランテもかなり追い詰めていたんだろう。
「ほら見ろ! わしが仕留めかけておったじゃろう!」
「かなり追い詰めてはいたみたいだな」
「そうじゃろう!」
バンデランテが少し得意そうにひげをなでる。
そんな話をしている間にも、アーマー・グリズリーは赤いショートへ近づいてくる。
こちらを敵と認識したのか、頭を低くして大きな口を開いた。
『グルルルルル……!』
ドラレコ越しでも、腹に響くようなうなり声だ。
傷を負っているとはいえ、その迫力はかなりのものだった。
「どうするんじゃ?」
「倒す」
「向こうには誰も乗っておらんのじゃろ?」
「乗ってはいないけど、問題ない」
俺はフロントガラスの映像を見たまま、無線で声を掛ける。
「シルフ、頼めるか?」
『ザザッ……』
返事の代わりなのか、ドラレコの映像の中で、赤いショートの周囲に生えている草がふわりとゆれた。
「シルフ?」
バンデランテが眉を寄せる。
「赤い車にもシルフが宿ってるんだ。タイヤの空気圧を調整したり、足回りの熱を逃がしたりしてくれている」
「精霊が……車に?」
「タイヤにはノームもいるぞ」
「…………」
バンデランテがフロントガラスへ視線を戻す。
「精霊をそのような使い方で……いや、今はそれどころではないか」
そのとき――
アーマー・グリズリーが赤いショートへ向かって走り出した。
『グオオオオッ!』
巨体が下草を蹴散らし、木々の間を突っ込んでくる。
その勢いで地面がゆれ、鳥がいっせいに木々から飛び立った。
「来るぞ!」
バンデランテが身を乗り出す。
だが、赤いショートは動かない。
ドラレコの映像の中で、その周囲にある草木だけがいっせいにゆれた。
シュン――
一瞬だけ、空気を切り裂くような音が響く。
「……ん?」
バンデランテが目を細める。
俺にも、何かが飛んだようには見えなかった。
ただ、アーマー・グリズリーの前を風が通り抜けただけに見えた。
それでも熊は勢いを落とさない。
そのまま赤いショートへ向かって数歩進み――。
『グ……?』
首に、すっと一本の線が走った。
次の瞬間。
巨大な頭が、ずるりと横へずれる。
ドサッ――!
頭が地面へ落ちた。
さらに数歩だけ進んだ巨体が大きくかたむき、そのまま前のめりに倒れ込む。
ズズンッ――
土ぼこりが舞い上がった。
「…………」
静かになった。
さっきまで響いていたうなり声も消え、ドラレコ越しに聞こえるのは木々のざわめきだけだ。
「終わりましたね」
後ろから良太の声がする。
「…………」
バンデランテは何も言わない。
フロントガラスに映るアーマー・グリズリーの死体を凝視したまま、完全に固まっている。
「バンデランテ?」
「……今のは、シルフがやったのか?」
「そうだと思う。風の刃か何かだろ」
俺にも、シルフが具体的にどうやって切ったのかまではわからない。
ただ、結果だけははっきりしている。
Bランクのアーマー・グリズリーの首が、一撃で落ちた。
「…………」
バンデランテは自分の手を見下ろした。
「わしは、あやつに何度も斬りつけたんじゃぞ」
「傷がかなり残っていたな」
「それでも、あの首までは落とせなんだ」
バンデランテが映像へ視線を戻す。
「アーマー・グリズリーの体毛は硬い。特に首から背中にかけては、生半可な刃ではまともに通らん。それを……」
地面に転がった巨大な頭を見る。
「一撃か……」
改めて考えると、シルフも相当な強さだ。
普段は車を支えてくれているが、戦闘でも十分すぎるほど頼りになる。
「精霊というものは……これほどの力を持っておるのか?」
「シルフたちは、かなり強いと思うぞ」
「かなり、か……」
バンデランテが深く息を吐いた。
「今日は朝から、わしの常識が何度ひっくり返されたかわからんわい……」
まあ、気持ちはわかる。
俺たちも最初は、新しい機能や精霊たちの力を知るたびに驚いていた。
「先輩、経験値はちゃんと入ってますよ」
良太が【鑑定】で確認する。
「増えてますけど、レベルはそのままですね。今はネクストが二百万を超えてますから、Bランク一体では届きません」
「まあ、そうだろうな」
レベルが上がっていれば、いつもの電子音声が聞こえる。
この世界に来てまだ十一日だが、今ではレベルも85を超えた。それだけ必要な経験値も大きくなっている。
「それより先輩、これ回収しておきます?」
「できるのか?」
「はい。【遠隔買取査定】が届いているので、そのまま【買い物加護】に収納できます」
「じゃあ頼む」
「肉は残しておきますね」
良太がタブレットを操作しかけて、ふと手を止めた。
「肉以外は売ってもいいですか? 毛皮とか爪、牙も買い取ってもらえますよ」
「そうだな……」
俺は隣へ目を向ける。
「バンデランテ、いいか?」
「なぜ、わしに聞く?」
「あれ、お前が先に戦ってた魔物だからな。傷もかなりつけていたし」
俺たちがとどめを刺したとはいえ、最初にアーマー・グリズリーと戦ったのはバンデランテだ。
素材を全部こちらのものにしてしまうのも、少し違う気がする。
バンデランテは一瞬きょとんとしたあと、ひげをなでた。
「構わん。おぬしらが倒したのじゃから、好きにしろ」
「いいのか?」
「わしが倒しきれなんだ魔物じゃ。しかも、おぬしらに助けてもらわなければ、今頃わしのほうが森で野垂れ死んでおった」
そう言って、フロントガラスに映るアーマー・グリズリーへ目を向ける。
「それに、こうして本当に仕留めてもらえた。わしとしても気が済んだわい」
「なら、そうさせてもらう」
俺は後ろを振り返る。
「良太、肉だけ残して、ほかは売っていいぞ」
「了解です」
良太がタブレットを操作する。
すると、ドラレコ映像の中に倒れていた巨大なアーマー・グリズリーが――ふっと消えた。
「なっ!? 熊が消えたぞ!?」
「回収しました。僕の【買い物加護】の中です」
「……そんなことまでできるのか」
バンデランテが良太を見る。
ランクルだけでも十分驚かせているのに、今度は良太の能力だ。
「肉は【買い物加護】に入れておきました。残りはこのまま売っておきますね」
「頼む」
肉が手に入ったなら、今晩の献立も決まったようなものだ。
「せっかくだし、夜はあれを食ってみるか」
「いいですね。熊料理ですか」
熊肉は日本でも食べたことがない。
それもBランクの魔物となれば、どんな味なのか興味がある。
「鍋にするか、焼くか……」
「せっかくですから、何種類か作ってもらいましょうよ」
「それもいいな」
「……食うのか?」
バンデランテが顔を上げる。
「食えるんだろ?」
「食える。むしろアーマー・グリズリーの肉はうまいことで知られておる。特に脂がうまいぞ」
「それなら決まりだな」
「きゅー!」
熊料理と聞いて理解したのか、後部座席のバハも元気よく鳴いた。
「バハちゃんも食べる気満々ですね」
「きゅ!」
昼は、毒を抜いた森雫茸。
夜は、Bランクのアーマー・グリズリー。
異世界へ来てから、食卓に並ぶものもずいぶん豪快になったものだ。
「さて、探索を続けるか」
俺は【自動操縦】を再開する。
ドラレコ映像の中で、赤いショートがゆっくりと走り始めた。
まだ俺たちは、セラフィナイト大森林のほんの一部を見ただけだ。
今晩の食材も手に入ったことだし、もう少し森の中を調べてみるとしよう。




