第2-2話 神様に魔改造された、ランクルの車両説明
第2話の車両説明部分を、読みやすさを考えて一話に分離しました。
車両は各パーツごとにチート能力が設定されているため、説明が少し多めになっています。
メカや設定がお好きな方は、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
一方で、物語をテンポよく読み進めたい方は、この回を読み飛ばしていただいても、その後のストーリーは問題なくお楽しみいただけます。
お好みに合わせてお楽しみください。
「まず……【ランクル70・ショートボディ】(天界グレード:神威-KAMUI-)神が造り直した究極の『神器』と書いてありまして……」
「ボディは、【緋陽神殻・インビジブル・アーマー】。……ヒヒイロカネ。現代では製法が失われた幻の超金属。太陽のように赤く輝き、決して錆びず、金より軽くダイヤモンドより硬い。そのヒヒイロカネを神の魔法で加工したもの。物理攻撃、魔法ともに完全無効」
「……は?」
思わず声が漏れた。
良太の口から、にわかには信じがたいファンタジー単語が次々と飛び出してくる。
「次が、【太陽神の涙『ソーラー・ドロップ』(太陽光変換・蓄電コア)】。
太陽神が地上を祝福した際に、こぼれ落ちた光の雫が結晶化したもの。ボディが受けた太陽光や風力、さらには物理衝撃までもエネルギーに変換し、バッテリー本体まで届ける。……あと先輩、最後に『フェンダーは可能な限りアーチ上げをしている』って書いてありますよ」
ヒヒイロカネなんて聞いたことはないが、さっきから赤いボディが妙に輝いて見えたのは、そのせいなのか……。
それにしても、上物が軽くなるのはありがたいな。
全体の重心が下がって、傾斜地での安定性が格段に増すはずだ。
俺が心の中で愛車のポテンシャルを再計算していると、良太はタブレットの文字をそのままなぞるように、次の項目を読み上げた。
「次は……下回りですね。ラダーフレームとバンパー、フロア、ホーシング、ボルト、燃料タンク、シャフト類などの下回りはアダマンタイト合金だそうです。
絶対不壊の超硬質金属でありながら、神の魔法で加工することで、フレーム部分は柔軟さも併せ持つ……だそうです。あと、大きな衝撃でサスペンションやショックアブソーバーでは吸収しきれなかった振動をラダーフレームで吸収し、そのエネルギーをバッテリーに貯める、とも書いてあります」
良太は「アダマンタイトってすごいな……」とつぶやいている。
ランクルは下回りが命だからな。融雪剤が撒かれる地域では、フレームを守るためにこまめに下回りを洗うオーナーも多い。
このアダマンタイトなら、その心配もいらないのか……?
「次はガラスとライトですね。ええと……ガラスとヘッドライトカバーは、神竜の逆鱗。『混沌の時代』から生きているとされる最古の神竜、星殻の白輝竜『アストライア』の鱗を神の魔法で透明に加工したもの。物理攻撃無効、ドラゴンブレスや敵対的な魔法を100%反射。搭乗者に有益な魔法は通す。車内に『神竜の領域(絶対安全圏)』を展開する。……あ、紫外線も100%カットだそうです」
これもわからん。
「ヘッドライトは、【日輪眼晶・セイクリッド・デイル】。
太陽神の眼晶(イエローLEDバルブのフィラメントに、太陽神の瞳の結晶を神の魔法でミクロン単位でコーティングしたライト)。このライトから放たれる黄色い光は、単なる『光』ではなく『概念』としての太陽光、本物の夜明けそのもの。そのため、どれほど深い闇の夜であっても、ライトの光軸が触れたエリアだけは完全な真昼へと時空が上書きされる。ダンジョンや激しい嵐、濃霧の中でも、昼間のようにはっきりと前方を見渡せる。この光を浴びたアンデッドは砂のように崩れ去り浄化される。アンデッド以外には無害。植物の生長を促進させる……だそうです」
まったくわからん。
……まあ、黄色いライトは霧や雪道で見やすいっていうし、そういうことなんだろう。
「前方バンパーに埋め込まれている四角いフォグランプは、【始祖炎晶・ディストーション・フォグ】。左右斜め前方に向けられていて、ヘッドライトの届かないところをカバーしている……みたいです」
良太はさらに画面をスクロールして、その詳細を読み上げていく。
「レンズは『黄晶竜(トパーズ・ドラゴン)の不壊眼球』。絶対に飛び石で割れない、最高硬度の竜結晶レンズ。どれだけ前方の敵から矢や魔法の集中砲火を浴びようとも、傷ひとつつかない。
光源は『始祖鳥のフェニックス・フィラメント』。LEDやHIDを超越した、不死鳥の命の炎を封じ込めた光源。消費電力は完全にゼロ(無限に自活発光)で、フィラメントが切れることも永久にない……。霧と闇の概念を消去する【絶対透過光】。どんな魔の霧も存在しないことにする伝統のディープイエロー(極黄色)の光線は、物理的な霧や雨だけでなく、『魔導的な濃霧』『視覚を狂わせる幻惑結界』『死霊の怨念が満ちる闇』すら100%透過する……だそうです」
俺が知っているフォグランプは、霧の日に点ける補助灯だったはずなんだが……。
「次は、さっき先輩が言っていたタイヤですね。【巨獣神履・ベヒーモス・マッド】。
サイズは35インチ……だそうです。ベヒーモスの超硬質ゴム(ベヒーモスの外皮と地球のゴムを神の魔法で合成したもの)に、世界樹の繊維を織り込んだマッドテレーン仕様、とあります。摩耗やパンク、バーストという概念そのものが消失しているみたいです」
良太は感心したようにランクルのほうをチラリと見てから、手元の画面に視線を戻した。
「サイドウォールには神聖文字のホワイトレターで『BEHEMOTH M/T』が刻まれている。泥濘、砂漠、ドロドロの溶岩の上でも圧倒的な走破性を実現する……って、溶岩の上も走れるんですかこれ?
あ、あと神との契約により『土の精霊ノーム』を宿わせてあり、ブロックパターンやタイヤ形状をその都度最適化し、どれだけ空気圧を下げてオフロード走行をしてもビード落ちしない。
同じく『風の精霊シルフ』を宿わせてあり、地形に合わせて空気圧も自動調整される。平坦な道では燃費を最優先に、適切な形状と空気圧へ自動で調整される……」
ランクルにはやはりM/Tタイヤが似合うな。
外側のホワイトレターは好みじゃない。
本当なら裏返して黒一色で履きたいところだが……まあ、いいだろう。
「ホイールは、【星竜神環・アルヴァ・リム】。
サイズは16インチ。星還の霊竜『シルフィード・アルヴァ』の骨を素材に、日本の名作『ブラ〇イ』の極太5本スポークを模して、神の魔法で削り出された……だそうです。渋みのある艶消しアイボリーホワイト。不壊。絶対排熱。
神との契約により『風の精霊シルフ』を宿わせてあり、ホイールの回転に合わせて精霊の力が発動。ブレーキローターやキャリパー周辺の熱を外へ強制的に吸い出し、常に最適な温度に保つ。溶岩地帯でも足回りが溶けるのを防ぐ……とのことです」
日本にいた頃は15インチの鉄チンホイールだったが、これはこれでかっこいい。
ブラ〇イは憧れのホイールだったんだよな。
「ブレーキは、【玄冥制動・タクティカル・メガリス】。
あらゆる衝撃と移動を拒絶する四神の一角、不動の守護獣『玄武』の甲羅の破片を、神の魔法を使い、超高圧で鍛造されたアルミニウム合金の内部に封入。ブレーキパッドには、魔力を受けるほど摩擦係数が跳ね上がる『古代の超硬質セラミック』を使用。神の魔法により自己再生が施された。過酷な急ブレーキを繰り返しても、ベーパーロック現象やフェード現象は発生しない……だそうです!」
良太は興奮気味に読み上げている。
――だが、俺はもう限界だった。
ヒヒイロカネ、アダマンタイト、神竜、始祖鳥、ベヒーモス、世界樹、玄武……。
現実離れした単語が次々と頭に流れ込み、もはや理解しようという気力すら湧かない。
俺が半ば放心したまま立ち尽くしていることにも気づかず、良太は『まだまだありますよ』とでも言いたげに、嬉々として画面を次の項目へとスクロールした。
「サスペンションは、【世界樹板・ユグドラシル・リーフ】。
世界樹を使った積層材のリーフサスペンションだそうです。地面からの衝撃をエネルギーへ変換してバッテリーへ貯める。リーフバネ特有のゴツゴツ感を消し去り、ゆれが少ない極上の乗り心地を提供……。
あと、機能がいくつかありますね。【大樹の根性(無限積載)】。世界を支える大樹の概念により、どれだけ重い物資を積み込んでもバネが自動で反発力を調整する(底突き・破損の完全防止)。
【新緑の息吹(自己再生)】。世界樹の樹液が自動分泌されるため、ギシギシ音が鳴らずメンテナンスフリー。万が一破損しても、液体肥料や水をかけるだけで光合成のように一瞬で元通りになる……だそうです。
連結金具のシャックルってパーツの素材は『フェンリルの顎』と『フェンリルの腱』。これらを神の魔法で、しなやかな関節構造として組み込んでいる。これにより、リーフ車とは思えないほど足が伸び縮みし、どんな岩場でもタイヤが浮かない。不壊。
固定金具のUボルトはアダマンタイト合金。絶対に緩まない神の魔法がかけられており、どれだけ激しい衝撃を受けても、足回りが車体からもぎ取られることはない……とのことです!」
頭が痛くなってきた。
良太は何が書いてあるのか理解しているのだろうか。
それにしても、リーフサスペンション特有のギシギシ感がなくなってしまったのは少し寂しい。商用車みたいな、あの無骨な乗り味も嫌いじゃなかったんだが……。
「ショックアブソーバーは、【神王鋼肢・ディバイン・レグズ】。
神の四肢という意味だそうです。
シリンダーは『ミスリル・チタニウム合金・神王鋼』。
ミスリルの軽さと魔導伝導率に、チタンの硬度、そして神の祝福を混ぜたハイブリッド金属。ダイヤモンドを凌ぐ硬度を持ちながら、驚異的な軽さを誇る。どれだけ飛び跳ねて着地しても、歪みや金属疲労は起きない。魔法攻撃に対しても100%の耐性を持ち、錆びることもない。
ショックの中心で上下する極太のピストンロッドは『鏡面精錬オリハルコン・コア』。神の魔法により、摩擦で発生した余分な熱はエネルギーに変換され、バッテリーに送られる。通常のショックは激しく動くと熱ダレして性能が落ちるところ、どれだけの悪路を連続で走ろうとも、性能を落とすことなく作動し続ける……。
中に入っているダンパーオイルは『世界樹の結晶液』。世界樹の根から吸い上げられた、高密度の生命魔力が液体化したもの。この液体自体が意思を持つかのように、路面の凸凹に合わせて自ら瞬時に分子構造を変え、どのような衝撃も液体内で吸収する……だそうです!」
良太はますます声を弾ませて読み上げている。
もう、俺は完全に無反応だった。
ミスリル。
オリハルコン。
世界樹。
そんな単語が右から左へ流れていく。
俺はぼんやりと青空を流れる雲を眺めていた。
「ウインチは、【重界牽引・グラビトン・ユニット】。
質量と重力を自在に操る高位の『引力精霊グラビトン』を、神の魔法でモーター内部に宿わせたハイテク仕様だそうです。ウインチロープは、地底巨人が使っていた黒金鎖。
機能としては、【3次元牽引】。バンパー内部に埋め込まれた隠しウインチから、魔力を吸うほど硬化する不壊の黒金鎖を射出。『引力精霊グラビトン』の力で鎖の軌道を自在に操り、前方の対象にロックオンする……。
さらに、【絶対の固定と立体駆動】。フックが対象に触れた瞬間、分子レベルで結合。前方の高い木や崖の上に固定すれば、車両がウインチの巻き上げ力だけで、垂直な崖を登ることも可能……とのことです! これはもうスパイダーマンみたいですね!」
良太は一人で「すげえ!」とはしゃいでいる。
俺の耳には、もはや『ウインチ』という単語しか届いていなかった。
タイタンだのグラビトンだのという言葉は右の耳から左の耳へときれいに通り抜け、そよ風に乗って草原の彼方へと消えていく。
ただ、垂直な崖を登るランクルを想像して――もうそれは車ではなく、別の何かだな、とだけ思った。
「クラクションは、【傲天神響・バハムート・ホーン】。
傲天の『バハムート』の威音だそうです。オリハルコン製の丸い渦巻き型ホーンで、その内部の振動板に、天空の支配者であるバハムートが『上空から地上を見下ろし、一喝するときの音波の魔力』が刻み込まれている……。音はランクルから鳴っているはずなのに、周囲の生き物には『遥か上空の雲の隙間から、巨大な竜が自分を睨みつけて咆哮している』という錯覚(音響魔法)を与えるみたいですよ。
鳴らし方で効果が変わるみたいで、短音だと、ププッ【覇王の挨拶】。道を塞ぐ地上の魔獣への警告モード。上空から『そこを退け』と命じるように、上空からバハムートの軽い羽ばたきを思わせる風圧と音圧が混ざったツイントーンが響く。
長音だと、パァァァーーーン!!【空天の落雷】。上空から襲ってくる飛行魔獣を撃ち落とす、対空迎撃モード。クラクションを長く鳴らすと、バハムートが空中から急降下して獲物を捕らえるときの『極大のソニックブーム(衝撃波)』が、ランクルの上空に向けて扇状に放たれる……。あ、拓海先輩のパーティメンバーには効果なし、とも書いてあります」
クラクションか……。山道の見通しの悪いカーブでは、もっと早めに鳴らしていればよかったのかもしれないな。
「排ガス対策は、【神聖排気・トリニティ・エキゾースト】を搭載……だそうです。
フィルターの触媒部分は『聖霊樹の炭化結晶』。すべての穢れを吸い取って成長する聖なる大樹をナノレベルのフィルターに加工した素材で、二酸化炭素やNOx(窒素酸化物)だけでなく、世の中の『毒』『呪い』『邪気』といった悪質なエネルギーまでキャッチして浄化する、とあります。
サイレンサー(マフラー部分)は『音楽の女神のオルガン管』。音の女神が愛用していた楽器のパイプを材料に作った排気管。
さらに、運転席のハンドルに排気音の切り替えボタンが追加されていて、マフラー内部のフラップを動かして音色を変えられるみたいです。
【癒やしモード】は、排気音を周囲の生き物を癒やす神聖な音波に変えて放出。
【挑発モード】は、サイレンサーを完全にスルーする直管ストレートルート。地響きのような、ランクル70特有の重低音、直6ディーゼルの爆音……。これが『敵のヘイト一括集め』になって、数キロメートル四方のすべての敵が理性を失ってランクルに向かって集まってくる、だそうです。怖っ!
【通常モード】はデフォルトの設定で……あ、先輩が好きないつもの排気音、って書いてありますよ!
【逆流対策、絶対排気】。マフラーの出口に『概念的な一方通行の検問』が敷かれている。エンジンからの排気ガスは光の粒子となって勢いよく排出されるが、外からの物質は、水、泥、毒ガス、魔法のエネルギーにいたるまで、分子一個すら絶対に内部へ侵入できない」
良太の声は、もう意味のある言葉として頭に入ってこなかった。
ただ、心地よいリズムだけが耳を通り過ぎていく。
「まだありますよ。ここからは、内装の仕様みたいです。車内のフロアマットは、浄水の霊液『ミズチ・スライム』と地球の3D立体構造ラバーマットを神の魔法で融合させたもの。
沼地の泥、魔獣の血、あるいは猛毒の体液を付けたまま車内に乗り込んでも、ラバーマットに触れた瞬間にその汚れや毒素が『大地の魔力』へと変換され、床下へと吸い込まれて消滅する……。
そのため、車内は常に泥ひとつなく、乾いたピカピカの状態が維持される。掃除の手間が一切かからない。防音性に優れている。色は艶消しブラック……だそうです」
「ダッシュボード、グローブボックス、インパネ、ドアの一部は、金剛大樹の化石芯材。数万年かけて石化したという古代の超硬質木材を使用していて、美しい木目がある……とのことです。
あと、ダッシュボード上部だけ神の魔法で反射率を1%に抑えてあるのでより黒く見える。そのためフロントガラスへの映り込みがなく、前方の視界も良好に保てる、だそうです。
また、グローブボックスは神との通信手段となっており、手紙を入れておくとたまに返事が来る……。やっぱりさっきの手紙の通りですね。
天井やピラーの内側、ドアの一部は、手触りの良い高級スエード調の素材(ア○カンターラ)にミズチ・スライムを神の魔法でかけ合わせたもの。効果はラバーマットと同じ。色はチャコールグレー、だそうです」
「運転席と助手席は、【天帝神座・ロイヤル・バケットシート】。
セミバケットタイプだそうです。ベヒーモスの仔牛革とミズチ・スライムを神の魔法で掛け合わせた素材を使用していて、搭乗者に合わせて自動でフィットする。後部座席の素材も同様。色はダークグレー、とのことです。
あと、機能がすごいです。【肉体疲労・ダメージの超回復】。
座った瞬間に、腰痛、肩こり、疲労などを回復する。生身の怪我もみるみる塞がり、体力が回復する。
体内の排出物も適切に処理されるため、長時間座っていても便意や尿意に悩まされることはない。
精神も安定するため、リラックスした状態で着座でき、パニックに陥らない……。これ、長距離ドライブでも絶対に疲れない最強のマッサージチェアですよ先輩」
「エアコンは、【浄風爽気・シロッコ・エアー】。
大気の『聖精霊シロッコ』が、エアコンのシステムそのものに宿ったものだそうです。
心臓部のコンプレッサーの素材は『終末の巨神の心臓』。世界を滅ぼすと言われた巨神の心臓の破片を神の魔法でランクルのコンプレッサーに統合したもので、無限の魔力を生み出す……とのことです。巨神の心臓って、エアコンの部品にするものなんですかね……?
熱交換器のエバポレーターとコンデンサーは、『氷結のゴーレムコア』と『イフリートのたてがみ』を合わせたもの。冷媒のクーラーガスには、『世界樹の朝露』を神の魔法で加工したものを使用している、とあります。
これで無限の魔力を使い、ファンを使わず通気口から風を送り込むことで、車内の空気が『世界樹の森』と同じ環境になるみたいです。車内温度は任意で決められて、車内にいるだけで、傷が治り、疲れが吹き飛び、精神が安定し、衣服や体の汚れまで浄化する……そうです」
「カーナビゲーションシステムは、【迦楼羅眼・マスター・ナビゲーション】。
天征の霊鳥『迦楼羅』の統率眼と、日本のカーナビを神の魔法で融合させたもの……だそうです。
車両を中心に最大半径100キロまで表示できて、車両から3キロ以内の瘴気や悪意をもった魔物や人間は赤い丸、その他の人間は青い丸で表示されるみたいです。他にも緑や黄色で表示されるものがある、とありますね。
あ、あと、車両に僕たちが乗っているときに限り、僕の【ネットショッピング】の査定端末にもこのマップを表示可能……って書いてあります! 先輩、これなら僕のタブレットでも周りの敵の位置がわかりますよ!」
「カーオーディオシステムは、【妙音神響・ディバイン・シンフォニア】。カーナビとヘッドユニットを共有しているみたいです。弁才天の異名である『妙音天(美しい音を持つ者)』を冠した、空間そのものを音響空間へと変える超魔導オーディオシステム。古今東西、録音された《《すべての音楽》》を流すことができる……って、地球の曲も聴けるんですかねこれ?
スピーカーは、【七宝の融解振動板】。弁才天にふさわしく、金、銀、瑠璃、玻璃、珊瑚、瑪瑙、シャコ貝の『七宝』を神の魔法でナノレベルで配合した振動板。
ケーブルの配線は『弁天の白蛇ワイヤー』。弁才天の使いである白蛇の脱皮した皮を、神の魔法で編み込んだ純金導線。信号の劣化やノイズの混入が完全にゼロ……だそうです。
あと、【妙音七宝・神気波状コーン】。内部配線である白蛇ワイヤーが自律意思を持っていて、車内の荷物の量、乗員の位置、果ては窓の開閉状態をリアルタイムで感知する。千分の一秒単位で音の鳴るタイミング、タイムアライメントや位相を完璧に自動調整する。ランクル特有のスクエアで反響しやすい車内形状を完全に無視し、常に世界の頂点に立つ音響バランスをキープ……とのことです」
「バッテリーシステムは、【宙塵神匣・アブソリュート・ボックス】。
バッテリーは、神が遣わした『大精霊トール』が管理。外部からのハッキングや魔力吸収の攻撃を遮断する……そうです。
【太陽神の涙『ソーラー・ドロップ』】は、ボディが受けた太陽光や風力をエネルギーに変換し、バッテリー本体まで届けるコア。
それと、【世界樹の琥珀『ユグドラシル・レジン』】。車体が受けたあらゆる振動や衝撃、敵からの物理攻撃のエネルギーを、フレームを通してバッテリー本体で『電力』に変換し、『蓄電』する。悪路を走れば走るほど、また敵から攻撃されればされるほど、バッテリーの電力が回復していくみたいです。
電極に使われている【星々のゆりかご『天上の星砂』】は、空間を圧縮する性質があり、本来ならビル一棟分必要な蓄電スペースを、わずか数センチメートルの超極小サイズに圧縮。天文学的な量のエネルギーを安全に貯蔵できる……。
外殻の絶縁体は【虚無の神鉄『アブソリュート・ゼロ』】。あらゆる概念を吸収し無に還す漆黒の神造金属で、内部のエネルギーを完全に閉じ込め、外部への漏洩を防ぐ。同時に、どんな神殺しの武器や核爆発が直撃しても傷ひとつつかない。……で、このバッテリーシステム全体が『超軽量』で創られている、とのことです。なんだかすごいですね」
「ボディコーティングは、【神癒の不滅雫】。
触れたものの時間を停止させ、劣化を防ぐという伝説の聖水『不滅の雫』を、現代の最新ナノガラス・レジン分子の結合体に神の魔法で練り込んだ究極のコーティング……だそうです。
驚異の超撥水・撥油効果があって、魔物の浴びせてくる強酸液や猛毒の体液、悪路の頑固な油泥すら、ボディに触れた瞬間に球体となって滑り落ちる。どれだけ汚い場所を走っても、時速40キロ以上で風を浴びるだけで、すべての汚れが風圧で吹き飛び、常に洗車直後のピカピカな状態へ自動で戻るみたいですよ。
あと、万が一、走行中に硬い岩がボディに当たってコーティング膜に微細な傷が入っても、太陽の光を浴びることで、コーティングが光合成のように自己流動し、一瞬で傷が埋まって元通りになる……とのことです」
「下回り防錆コーティングは、【絶対不錆】。
何万年もの間、湿地帯の底に眠りながらも一ミリも錆びなかったとされる古代の不錆黒鉄の呪印を、現代の防錆アンダーコート剤に神の魔法でエンチャントしたもの……だそうです。
海の中を走ろうが、酸性雨が降り注ぐ魔界の湿地に何日間浸かろうが、車体の命であるラダーフレームが錆びることはない、とあります。
あと、【防音の極限化】。跳ね上がった砂利や岩が下回りにガツガツと当たっても、この厚いコーティング膜がショックと音を吸収するみたいです。さっきの『世界樹サスペンション』や『ベヒーモスのシート』、『ミズチ・スライムのラバーマット』と連携して、車内にはコトコトと小さな音が響くだけで、不快な金属音や振動を完全にシャットアウトする……とのことです」
最後までお読みいただきありがとうございます。
神様の悪戯で神話級の装甲車になってしまいました。
なお、エンジンだけは神様からも「そのままでいい」と判断されたようです。
【外殻】 緋陽神殻・インビジブル・アーマー
【制動】 玄冥制動・タクティカル・メガリス
【牽引】 重界牽引・グラビトン・ユニット
【灯火】 日輪眼晶・セイクリッド・デイル
【霧灯】 始祖炎晶・ディストーション・フォグ
【車輪】 巨獣神履・ベヒーモス・マッド
【芯輪】 星竜神環・アルヴァ・リム
【懸架】 世界樹板・ユグドラシル・リーフ
【緩衝】 神王鋼肢・ディバイン・レグズ
【警笛】 傲天神響・バハムート・ホーン
【排気】 神聖排気・トリニティ・エキゾースト
【座席】 天帝神座・ロイヤル・バケットシート
【空調】 浄風爽気・シロッコ・エアー
【航法】 迦楼羅眼・マスター・ナビゲーション
【音響】 妙音神響・ディバイン・シンフォニア
【蓄電】 宙塵神匣・アブソリュート・ボックス
【機関】 豊田純正・1HZエンジン




