第9話 暗殺貴族って税務署にどうやって確定申告してんの?
「——我は神。
全知全能にして、世界の理を……」
あ、これもういいや。毎回律儀に名乗るの疲れた。
よっ! 今日も今日とて全知全能、ゼウス様だよ!
今日のオトモは「すっぱムーチョ」。この酸味と塩気が、荒んだ心に沁みるんだよね。
「ゼウス様! すっぱムーチョの粉をその辺に落とさないでください!」
アテナが小言を言いながら、しっかり自分用のウェットティッシュを広げている。
お前、俺のポテチを一緒に食べる気満々だな。
「で、アテナ。前回言ってた『最強の暗殺者が転生して無双する』やつ、用意できた?」
「はい! 裏社会で伝説と呼ばれた老暗殺者が組織に裏切られて死亡し、その後、異世界の『暗殺貴族』の長男として転生するお話です!」
「……出たよ『暗殺貴族』。
前々から思ってたんだけどさ、暗殺を家業にしてる貴族ってなんだよ!
普通、暗殺組織って裏に隠れてるもんでしょ!?
表札に『暗殺業承ります・〇〇家』とか書いてあんの?
税務署にどうやって確定申告してんだよ! 領収書の但し書き『毒薬代』で経費落ちるのか!?」
「彼らは世界を裏から牛耳る、影の重鎮なのです! 表向きは由緒正しき名家として振る舞っているんですよ!」
「はいはい。で、その最強の暗殺者(笑)のお名前は?」
「『スーグ』です!」
「おもいっきり『ルーグ』の一文字スライドじゃねえか!
しかも『スグ(直ぐ)』って! なんかすぐ死にそう! 暗殺者なのにせっかちそう!」
「名前はともかく、彼の実力は本物です! 見てください、ちょうど今、初任務の真っ最中ですよ!」
画面の中では、黒装束に身を包んだスーグが、夜の闇に紛れて悪徳商人の館に忍び込もうとしていた。
『……気配を殺せ。俺は影。誰にも気づかれず、標的を排除する』
「おっ、さすがに暗殺者っぽいことしてるじゃん。でもさ、アテナ」
「はい?」
「こいつ、めちゃくちゃ中二病みたいなポーズで屋根裏に張り付いてるけど……よく見たら、手から思いっきり『闇属性の魔法(エフェクト付き)』出てるじゃん。
紫色のオーラがピカピカ光ってんぞ! 『俺は影』とか言いながら、自分から発光してどうすんの!
ゲーミングPCみたいになってんじゃん!」
「それは『かっこいい演出』です! 読者には見えても、敵には見えてないんです!」
「ご都合主義の極みだな!
よし、この自称・影の暗殺者に、俺から『神のスパイス』をプレゼントしてやる」
「またですか!? 今度は何を……!」
「——『気配を殺して隠密歩行をするたびに、靴が幼児用の笛付きサンダル(ピヨピヨ靴)の音になる』。
これな!」
「ゼウス様ァァァ!! 暗殺業が物理的に廃業しちゃいますぅ!!」
画面の中で、スーグが屋根裏から音もなく飛び降り、廊下に着地した。
『(スッ……)』
『ピヨッ♪』
『……!?』
スーグが目を見開く。
『(ササササッ!)』
『ピヨピヨピヨピヨッ♪』
「ギャハハハ!
西松屋のキッズコーナーかよ!
いくら本人が真顔でステップ踏んでも、足元からハッピーな音が鳴り響いてるぞ!」
『誰だ!? 曲者か!』
当然、館の警備兵たちが一斉に集まってきた。
『くっ……見つかったか。ならば魔法陣展開! 奥義・暗黒纏いし絶望の刃!!』
ズドォォォォン!!
「ド派手な大魔法ぶっぱなしたー!?
隠密どうした! 完全に物理で屋敷ごと更地にしようとしてんじゃねーか!
ただの爆弾テロリストだよそれ!!」
「ああっ、スーグ様のクールな暗殺劇が、ただのドタバタアクションに……(サクッ、サクッ)」
アテナが泣き真似をしながら、俺のすっぱムーチョを容赦なく消費していく。
だからお前、食べるの早すぎるって。
「あー面白かった。やっぱり暗殺者はピヨピヨ鳴くに限るな。
さて、アテナ。次はどうする?
そろそろ、このベタな西洋ファンタジー風の世界観も飽きてきたな。なんかこう、和風テイストなやつないの?」
「……(モグモグ)……ありますよ!
次はなんと、『最強の陰陽師』が、剣と魔法の異世界に転生するお話です!」
「陰陽師!?
おいおい、式神とか呪符とか、完全に西洋ファンタジーの魔法システムと互換性ないだろ!
USB Type-Cの穴に、無理やり和同開珎ねじ込むようなもんじゃん!
よし、次はそれだ! アテナ、明日はポテチの『のり塩味』と温かいお茶を用意しとけよ!」
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