第8話 出会って5秒で溺愛スタートって、入国審査どうなってんの?
「——我は神。
全知全能にして、慈愛と運命の交差を導く——」
あ、ごめんストップ。
今日ちょっと胃もたれ気味だから、こういう胸焼けするセリフ無理。
よっ! 今日も今日とて全知全能、ゼウス様だよ!
今日のオトモは「コンソメWパンチ」。この濃い味が神。
「ゼウス様! コンソメWパンチは指が汚れるからとあれほど……。
それより見てください! 次の『救済対象』は、今最も熱いジャンルですよ!」
アテナが目を輝かせながらモニターを指差す。
最近こいつ、仕事(エンタメ消費)に熱が入りすぎじゃない?
「へー、今度は何? 最近モニター画面が『追放』とか『婚約破棄』ばっかりで、見てるこっちの心がすさんでくるんだけど」
「その通り、『追放聖女』です!
健気に尽くしたのに無能な王太子に捨てられた可哀想なヒロインが、隣国の冷徹なイケメン皇帝に拾われて『溺愛』される……最高にスカッとする王道展開ですよ!」
……。
「ねぇアテナちゃん。
そのヒロインの名前、なんていうの?」
「『リアナ』です!」
「はい出た、必殺の一文字スライド!
あの超有名な『○リアナ』から頭の一文字抜いただけでしょ!?
名前考えるの5秒で終わらせたな作者!」
「偶然です! 彼女は類まれなる光の魔力を持った——」
「はいはい。で、隣国の皇帝の名前は?」
「『アムシュ帝国』の若き皇帝アレンです!」
「『ラム酒』の一文字スライドかよ!
絶対作者、酒飲みながら深夜テンションで書いたろそれ!」
画面の中では、ボロボロのドレスを着たリアナが国境で倒れていた。
そこに、なぜか白馬に乗ったキラキラした皇帝が現れる。
『……美しい。君のような尊い聖女を捨てるなど、あの国は愚かだ。
これからは、我が帝国の至宝として私が君を溺愛しよう』
『まあ……(ポッ)』
「ちょっと待ってアテナ!!
展開早すぎない!? 出会って5秒で溺愛スタート!?」
「これが『運命の出会い』です!
皇帝は彼女の隠された才能と美しさを、一瞬で見抜いたのです!」
「見抜くも何も、国境沿いで行き倒れてる不審者だぞ!?
普通はまず入国審査とか検疫とかあるでしょ!
『帝国の至宝』って、こいつ国家予算を私情で使い込む気満々じゃん!
セキュリティーもコンプライアンスもガバガバかよ!」
「愛の前に法律など無意味です! 尊い……っ!」
アテナが両手で顔を覆って身悶えしている。
隙を見て俺のコンソメWパンチを掴んでいくな。指舐めんな。
「よし、決めた。
この寒すぎる甘々展開は、俺の胃に優しくない。
ちょっと『神のスパイス(嫌がらせ)』を追加してやる」
「えっ、まさかまた……」
「——『イケメン皇帝が甘いセリフを囁こうとするたびに、必ずデパートの迷子のお知らせのチャイムが鳴る』。
これな!」
「ゼ、ゼウス様ァァァ!! ロマンチックなムードが台無しです!!」
画面の中では、豪華な馬車に揺られながら、皇帝がリアナの肩を抱き寄せていた。
『さあ、おいで……君の瞳を見ていると、私は——』
『ピンポンパンポーン♪』
『……!? な、なんだ今の音は。
……気にするな。私は君を、必ず——』
『ピンポンパンポーン♪』
『っ……! 愛している、リアナ!』
『ピンポンパンポーン♪』
「ギャハハハ!
完全に催事場の案内待ちじゃねえか!
どんなにイケメンがキメ顔しても、顔が『お連れ様がお待ちです』の顔になってるぞ!」
「ああっ、皇帝陛下の威厳がゼロに……!
リアナちゃんも、どこから声が聞こえるのかキョロキョロしちゃってます!」
最高。やっぱりイケメンが理不尽な目に遭うのは、飯……ポテチが進むね。
「さて、アテナ。
次はこのコンソメ味に合う、しょっぱい感じのやつ頼むわ。
ほら、たとえば……『最強の暗殺者が転生して無双する』みたいな中二病全開のやつ」
「……(バリボリ)……任せてください。私がバッチリ、痛々しい技名のやつをセッティング済みです」
「お前、絶対俺のポテチ半分以上食っただろ!」
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