珍しい魔物との遭遇
続き ― 珍しい魔物との遭遇
岩の陰に近づくと、小さな影が動いた。
通常のゴブリンより一回り小さく、体色が淡い紫がかった灰色の個体が、草むらの中に crouched している。目が通常より大きく、周囲の魔力を敏感に感じ取っているようだった。こちらに気づくと、驚いたように飛び上がり、すぐに逃げようとする。
「速い!」
リナが即座に反応し、俺の手を自分の胸に導いた。半透明の布越しに先端が硬くなっていて、敏捷の魔力が一気に乗る。
「追うよ!」
リナが加速して側面へ回り込み、逃げ道を塞ぐ。セラが前に出て盾を構え、俺は彼女の胸に手を置いて防御魔力を受け取った。エルが後方で短く詠唱し、足元に薄い光の輪を展開して魔物の動きを制限する。
紫がかったゴブリンは混乱し、武器を持たずにただ逃げ回ろうとする。しかし、四方を塞がれ、やがてその場に蹲った。敵意は薄く、むしろ怯えている様子だ。
「殲滅の必要はなさそうですね」
エルが静かに判断する。
「魔力の反応は強いですが、攻撃性は低い。捕獲するか、ギルドに報告して判断を仰ぎましょう」
リナが息を弾ませながら笑う。
「珍しいのは本当だね。この子、かなり特殊な魔力を持ってる」
四人は魔物を取り囲み、慎重に距離を保ったままギルドの職員を呼ぶことにした。
珍しい魔物との遭遇は、戦闘ではなく、静かな対峙で一旦落ち着こうとしていた。
(続く)




