ミリアの過去
ミリアの過去
ミリアは俺の手を自分の胸に置いたまま、少し遠い目をして話し始めた。
「私、元々はこの街の出身じゃないんです。隣の町のギルドで、見習い受付をしていた時期がありました」
リナが興味深そうに聞く。
「へえ、どうしてこっちに来たの?」
「魔力感知の訓練を、もっと深く受けたかったからです。前のギルドでは、胸を使った感知があまり推奨されていなくて……隠す文化が少し残っていたんです。でも、この街は違う。胸を通じた循環が、当たり前のように受け入れられている」
ミリアは自分の透けた胸を軽く押さえ、静かに続けた。
「ここに来て三年になります。最初はただの受付事務だったけど、魔力感知の才能があると言われて、特別に訓練を受けました。多くの冒険者の胸に触れ、自分の胸を使って状態を読む練習を、毎日のようにしたんです」
セラが小さく尋ねる。
「……大変でしたか?」
「最初は戸惑いました。でも、すぐに慣れました。この世界では、胸が魔力の核だとわかってしまえば、隠す理由がなくなる。むしろ、感知が正確になることで、冒険者を助けられるようになったのが嬉しかったです」
エルが静かに頷く。
「だから、ミリアさんはあんなに自然に胸を差し出せるんですね」
「はい。過去に、魔力の乱れに気づかず危険な依頼に送り出した冒険者を、何人か見てきました。それを繰り返したくない。だから、私は自分の胸を使って、できるだけ正確に感知するようにしているんです」
ミリアは俺の方を向き、柔らかく微笑んだ。
「勇者様のパーティは、その点でとても安心できます。循環が上手い。私の過去の経験からしても、こういうパーティは稀です」
彼女の胸が、掌の中で静かに熱を帯びていた。
ミリアの過去は、魔力を正しく扱うことへの、静かな責任感から来ていた。
(続く)




