宿屋の雰囲気
宿屋の雰囲気(さらに詳しく)
宿屋の一階は、木の温もりとランプの光に満ちていた。
カウンターの表面は使い込まれた木目が浮き、マリアの薄いシャツの胸がそこに乗るたびに、柔らかな影が落ちる。空気にはわずかに夕食の残り香と、木の香りが混ざっていた。外から聞こえる街のざわめきは遠く、扉を閉めると一気に静かになる。
階段を上るとき、木の段が体重で軽く軋んだ。二階の廊下はランプが等間隔に灯され、壁に柔らかい光の輪を作っている。部屋の扉を開けると、中はさらに落ち着いた空気だった。
大きなベッドのシーツは清潔で、少しひんやりとしている。テーブルの上には水の入った瓶と、二つの空の杯が置かれていた。窓は少し開いていて、夜の冷たい風がカーテンをわずかに揺らす。風が通るたびに、ランプの炎が小さく揺れ、部屋の影がゆっくりと動いた。
リナが装備を外す音、セラが鎧を床に置く金属の軽い音、エルがローブを畳む布の音が、静かな部屋に小さく響く。誰も大きな声を出さず、ただそれぞれの動きが自然と魔力の循環へと向かっていた。
ランプの光は四人の肌を暖色に染め、透けた布や素肌の胸に柔らかい陰影を作る。外の夜は暗く静かで、部屋の中だけが密やかに熱を帯び始めていた。
宿屋の雰囲気は、戦いの余韻を溶かすように穏やかで、それでいて四人の距離を自然と近づけるものだった。
(続く)




