エルはなぜ反応しないのか
エルはなぜ反応しないのか
宿屋の部屋で、リナがふと不思議そうに聞いた。
「ねえ、エルってさ。勇者様に胸触られても、あんまり反応しないよね。セラみたいに赤くなったり、私みたいに声出したりしない。なんで?」
エルはローブの胸元を静かに整えながら、穏やかに答えた。
「反応していないわけではありません。ただ、私の場合は外側に出にくいだけです」
彼女は自分の大きな胸に手を当て、ゆっくりと説明する。
「私は魔法使いとして、魔力の流れを常に意識して制御しています。胸に触れられても、すぐに快感として表面に出さず、まずは体内の魔力を整えることを優先するんです。だから、顔が赤くなったり、声が漏れたりする前に、魔力の循環として処理してしまいます」
セラが少し驚いたように聞く。
「……感じてないんですか?」
「感じています。むしろ、じっくり触れられる方が深く感じます。ただ、それを表情や声に出すと、魔力の質が乱れてしまうので、抑えているんです」
エルは俺の方を向き、静かに自分の胸を差し出した。
「勇者様が触れているとき、私の胸の内側は十分に熱くなっています。魔力が活発に動いている証拠です。ただ、それを表に出さないようにしているだけです」
リナが興味深そうにエルの胸を見つめる。
「へえ。じゃあ、本当はすごい感じてるのに、顔に出さないタイプなんだ」
「はい。魔法の精度を保つためには、必要なことです。でも……勇者様に長く触れられていると、たまに抑えきれなくなることもあります」
エルの頬が、わずかに赤らんだ。
彼女が反応しにくいのは、感じていないからではなく、魔力を最優先で制御しているからだった。
(続く)




