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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第37話 ドラゴン娘、さらに進化する


「よし止まったねシルドラ! 怒っていてもいいけど、まずは話を聞いてほしい」


 進化した今なら――


 と思ったが、隣にいる女神ルシエールが扇子を見せながら微笑んだ。


「……チッ」


 不服だが、まだ早い。

 仕方なくスキル【悪食】を止めて、魔剣をアイテムボックスに仕舞って聞いてやる。


「まさかダンジョンを食べて攻略するなんてね……びっくりしたよ。けど、君がその気なら私にだって考えがある。次回はこうはいかないよ。あと、スラスラを今やらせるわけにはいかなくなったから、回収させてもらう」

「ふざけるな。ダンジョンのボスが途中からいなくなるとか、意味が分からん」

「だよねー。だから代わりを用意する。それで今回は許して。ね?」

「……」


 殺してぇ。


 ワフがあざといポーズでお願いしてきた。正直言って可愛くて、認めざるを得なくて悔しい。


「で、代わりのボスは? 鬱憤が溜まってるから、半端な奴だと満足はせんぞ」

「ダイジョブダイジョブ、すっごく強いボスを出すから。えーっと、ちょっと待ってね…………」


 ワフは考え、ピン! と思いついたかのように言った。


「そうだ! ドラゴンゾンビ! あの時私が倒しちゃったからまだ戦ってないでしょ?」

「まぁ……」

「はい決まり! じゃあちょっとステータスに変更を加えるから待ってねー」


 ドラゴンゾンビに決定すると、ワフはなにもない空間を指でつついたりなぞったりし始めた。恐らくだがVRゲームみたいなステータス画面を開いて操作しているのだろう。


 時間が掛かりそうだし……。


 ルシエールの方を見る。彼女は現状に満足しているのか扇子を開いてパタパタ扇いでおり、俺と目が合うと口元を隠して目を細めた。


 ……神様には効かないだろうけど、ワフに狂気の瞳をしたら――


「うふふ、おいたはダメよシルドラ」


 ダメか。


 機嫌がいいからか優しく注意されたが、ルシエールから感じ取れる魔力が一瞬だけ計り知れないレベルだった。もしここで戦っていたら、前回同様、一瞬にしてバラバラにされていただろう。


「――よっし! 出来たよシルドラ! 魔改造ドラゴンゾンビ、とくと味わってね!」


 暗転――世界が闇に包まれてすぐ、明るくなったかと思ったら目の前には『エンシェントドラゴンゾンビ』がいた。肉は腐り骨は呪いで黒ずみ、強烈な腐臭を放つ体は十メートルを超える巨体であり、俺を獲物と認識したのか口を開けて緑色の『強毒』効果を持つ臭い息を吐いた。


「……くさ」


 毒は効かないとはいえ、臭いものはくさい。

 ワフとルシエールは既に消えていて、スラスラだったスライム娘もいない。広大な部屋もスライム状だったものが、いつの間にかなんの変哲もない土の空間になっている。


 ……行ったか。まぁいいさ、いつか殺す。


「それよりも、エンシェントドラゴンゾンビ……強そう」


 まずは【狂気の瞳】――は流石に効かないか。


 分かりやすくアンデッドなドラゴンゾンビには、合わせる目がないから効果がない。


 じゃあ火葬だ。【ファイアブレス】!


 臭い空気の中で深呼吸し、ドラゴンゾンビの手による叩きつけを回避してから火を吐く。

 小手調べレベルの出力で吐いた筈だが、以前の怒りを加えた本気のブレスと同等の火力が出た。


 凄い……二回目の進化でここまで強さが跳ね上がるのか――っと!


 火もあまり効いていないのか、ドラゴンゾンビはブレスの中から平然と出てきてまた叩きつけ。火を吐くのを中断して回避すれば、速い尻尾攻撃が飛んできたのでタイミングを合わせてこっちも【テイルスイング】で弾いて軌道をずらしてやる。


 これなら勝てる! 【竜拳】!


 勝利を確信し、拳にオーラを纏わせて懐へ飛び込む。ドラゴンゾンビのどす黒い呪いのブレスを回避し、顎に目掛けて飛んでアッパーを食らわせる。骨が砕ける威力によってドラゴンゾンビは真っ逆さまに倒れ、無様で隙だらけな姿勢になったところで、空中にいる俺は翼を使って急降下、空っぽの腹部へ向けてオーラを纏わせた足で踏みつけて背骨を砕いた。

 どこから出ているのか分からないが、ドラゴンゾンビは痛がるような叫びを上げた。分離した下半身の骨は溶けて黒い液体へと変わり、上半身だけとなったドラゴンゾンビは両手で這うような姿勢となって再び空中に移動した俺に顔を向けた。

 口が開かれ、再び黒い呪いのブレスを吐いてくる。


 ……これ、食べたらどうなるんだろう?


 ちょっとした興味が湧いて【悪食】を発動。竜の頭をしたオーラでドラゴンゾンビのブレスを正面から受け止める。

 ブレスはオーラに当たる端から吸収されるように消えていき、頭の中ではとんでもない速さで経験値が増えて連続レベルアップが起こった。

 呪いのブレスが止んだ。


 うわ、もうレベル『66』……このスキル、まさにチートだな。


「ありがとうドラゴンゾンビ。最後にその命、いただきます」


 手を合わせて食事の儀式を終え、【悪食】のオーラを伸ばしてドラゴンゾンビを食らう。それだけでさらにレベルが上がり、『70』になった。

 頭の中で神様が言った。


『ワフは重大なミスを犯した。ドラゴン娘である君に同族を食べさせたことと、魔改造によって極端に経験値の高いボスを作ったことだ。それによってこの短時間で次の進化の条件が満たされた。扉の先で、私は待っているよ』


 ――進化が始まった。


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