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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第36話 ドラゴン娘、また進化する



 ラッキーちゃんの首筋から大量の血が噴き出して目に入り、視界が真っ赤に染まる。

 ――その瞬間、時が止まった。

 パチパチパチパチ……と一人分の乾いた拍手が傍で聞こえ始め、神様の気配がした。


『おめでとう。人の心を持ちながら人を食らい、正気のままに狂気へと到った。これにて進化の条件は満たされた。さぁ、生まれ変わるがいい……ドラゴンの魂を持つ者よ』


 パン! と強く手が打たれると神様の気配が消えて止まっていた時間が動き出した。同時に、体の内側から凄まじい熱が発生し、光に包まれて進化が始まった。

 進化中でもスライムマンが攻撃を仕掛けたり振ってきたりするが、光が全てを弾いてくれる。

 噛みついているラッキーちゃんは光の粒子となって俺の体に吸収されて消え、肉体が完全に変質して光りが収まると、『クレイジードラゴン』という言葉と、新しいアビリティとスキルが頭に浮かび、互換性のある下位のアビリティが置換された。



 アビリティ

【ドラゴンソウル】……ドラゴン専用。魂が変質し、完全にドラゴンとなった証。生命力、魔力、その他全ての能力が最強種に相応しいステータスになるよう加算される。また、スキルに竜の力が付与され、変質する。

【毒無効】……毒を完全に無効化する。

【麻痺無効】……麻痺を完全に無効化する。

【呪い無効】……呪いを完全に無効化する。

【精神攻撃無効】……幻覚を含む精神攻撃を完全に無効化する。


 スキル

【暴食】……このスキルでモノを食らった場合、経験値を取得する。また、食らった存在のスキルやアビリティを都合のいい部分だけ一部取り込む。ただし、このスキルでの食事はお腹が膨れない。

【狂気の瞳】……魔眼。発動中に視線を合わせた者を強制的に発狂させる。ただし、同じ魔眼持ちには効果がない。

【カオスブレス】……強毒、強麻痺、強呪、強酔の状態異常を引き起こす。



 天井からは変わらずスライムマンが落ちてきていて、体の一部を撃ち出してくるが、進化前と比べると凄くゆっくり見える。


 ……ラッキーちゃん……ありがとう。


 命を差し出した彼に感謝しながら余裕を持って隙間を縫うように回避。そのまま自分の体を確認すれば、髪や翼や尻尾が黒くなって前より力強い見た目になり、肌は色白に、魔剣の刀身を鏡代わりにすれば瞳がルビーのような鮮やかな赤色になっていた。


 黒竜か……なんか邪悪っぽいな。まぁいい。

 それよりも試してみるか。【暴食】!


 落下中のスライムマンの一体に向けてスキル【暴食】を試しに使用。

 スキルが発動すれば、体全体からオーラが溢れ出して複数に分かれ、首の長い竜の頭になった。それは大口を開けて伸びていき、目の前のスライムマンに襲い掛かると一瞬にして削り取られたかのように穴だらけになった。


 なるほど。これが【ドラゴンソウル】……最強種ドラゴンの真の力!!

 頭もクリアになっていて、思考能力と処理速度が段違いになっているのが自覚できる。これならもっと戦える!


 スライムマンを全て食らうべく【暴食】を本格的に発動。莫大なオーラが無数の竜の頭になって落ちるスライムマンを食らっていく。今では微細な魔力ですら感じられるのでコアが見えなくてもどこにあるのかが分かり、確実にスライムマンを倒していける。

 次々とスライムマンたちを食って倒せば勢いは次第に萎み、最後の一体は巨大なオーラの竜の頭で丸呑みした。レベルも上がって『34』だ。


「さて、ダンジョンイーターの本格始動だ。食らいつくせ!」


 正式な順路となる通路が壁から生えているが無視し、オーラの竜の頭を下に向けて降下開始。削り取るようにスライム状の床が消えていき、下へ下へと進んでいく。ダンジョンを食べるごとに経験値がもりもりと溜まり、すぐに『35』、『36』とレベルアップしていく。

 異変に気付いたのかフロアですらないのにスライムのコアが複数こっちに高速で近づくのを感じられたが、それらは【暴食】の一部を先行させて全て食らうことで対処した。

 まだレベルアップする……『37』、『38』、『39』、『40』……見つけた。

 伸ばしていたオーラの竜の頭がボス部屋に辿り着き、一際大きな魔力を感じ取れた。その方向へ進めば広々としたスライム状の空間に着き、中心にスラスラだったボスモンスターがいた。

 彼女は俺を忌々し気に見つめていて、文句の一つでも言いそうだったので攻撃はやめて近くに着地してやる。


「まさか正規の道順を無視して進んで来るなんてね……完全に想定外だ。それに、ダンジョンそのものを食べてこっちのリソースを削ってくるとか、卑怯だろ」

「知らねぇよクソが」


 こっちは守るべきラッキーちゃんを食べて人として死なせたんだぞ!? 遊びでダンジョン作ってる奴になにが分かる!!

 ……ああダメだ。怒りが抑えられない。話しても無駄だし、やろう。


 攻撃を停止していた【暴食】を再び動かし、スラスラだったボスモンスター……スライム娘に攻撃開始。無数にあるオーラの竜の頭が襲い掛かるが、スライム娘は溶けるように地面に隠れると、コアが高速で移動して壁から生えた。さらに壁の一部を使って片手を巨大なガトリング砲に作り変え、凄まじい連射で鋭い形状となったスライムの粒を大量に撃ち出した。

 オーラでスライムの弾を受け止めながら食べ、竜の頭で地面や壁を削りながら再び襲う。


 むっ? 確かにコアを食べた筈だが……?


 直撃して食べたはずなのに、手応えがない。経験値は入ったが構造物と同程度の少なさだ。

 床からスライム娘が姿を見せた。胸には赤いコアが見える。

 今度は自分の手で仕留めるべく、飛んで素早く接近し、手を刃物に変えたスライム娘の攻撃を回避しながら魔剣で一刀両断。コアがちゃんと真っ二つになった。

 また、スライム娘が床から生えた。


 ……ああ、そうか。お前はダミーだな?

 とするなら……地下か。


 スライム娘が生える方向が床からなので、当たりをつけて【暴食】で掘り進んでみる。

 少し進めばボス部屋と同じ空洞に到達し、直径二メートルほどの巨大なスライムコアが中心にあった。周囲にはスライム娘が無数にいて、全員が両手をガトリングに変えてこちらに向けた。

 その時、部屋全体が急速にびよーんと伸びて巨大なコアが数キロほど遠くなった。気にせず進もうとしたところで、見知った二人が突然すぐ前に現れて急ブレーキ。


「はいストップ! そこまでだよシルドラ」

「これ以上動いたら殺すわ」


 ワフ……! ルシエール……!



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