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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第31話 ドラゴン娘、我慢する


「お前、お前っ……!」


 怒りが内側で火山のように噴き出し言葉が出ない。拳を握り奥歯を噛み締めて立ち上がった際に尻尾が動いて椅子を弾き飛ばすが、足を前には進めない。今すぐにでも殴りつけたいのに、隣にいるクソ女神を認識しているせいでギリギリ踏み止まれている。


「アハハハハ、改めて久しぶりだねシルドラ。君が大嫌いで堪らない、愛すべきワフちゃんだよ」

「そして付き添いの、完璧で究極の天上女神ルシエールよ」


 クソがっ! 余裕ぶりやがって!!

 今すぐ殺してやりたい! のに……クソッ!


 今動いても殺されるだけ、周りには戦えない人間たちがいると分かっていては、爆発する怒りを抑えることしかできない。

 周りの人間はこの状況に困惑して動けず、ラッキーちゃんはオカマらしくない鋭い目つきでスマホを取り出し、どこかに連絡をしようとしていた。

 女神がラッキーちゃんの方を向いた。


「助けを呼ぶの? でも残念、既にこの建物に結界を張っていて、連絡はおろか脱出もできないようにしてあるわ」

「……あらそう」


 本当に外部と連絡が取れないようで、ラッキーちゃんは女神を睨みつけたままスマホを仕舞った。

 女神が俺に向き直る。


「今回はワフが面白いことをするらしいから、私はただの付き添いで来たの。この場で攻撃しない限りなにもしないわ」

「ということで、私から日本の皆にサプラーイズ! をお届けするよ。そこのカメラの人、しっかり撮ってよね!」


 指名されたカメラマンはびびってるのか、素早い動作でサムズアップした。


「じゃあまずは自己紹介から。私はワフ、ダンジョンマスターだよ。こっちの女神様はルシエール。これから私たちはみんなが楽しめるダンジョンを沢山作るから、よろしくねー!」


 カメラに向かって満面の笑みで手を振ったワフは、ぱっと切り替えて次の話に入った。


「はい次、お知らせがあるよ。日本以外の国は大分ヤバイらしいから、石油とか金属資源とかの輸入がかなりマズいんじゃないかなーと思ったんだ。だから石油や金属が沢山採れる『資源ダンジョン』を作りましたーはいパチパチパチパチ」


 ワフが拍手すると、それに釣られるようにスタッフたちが疎らな拍手をした。


「ありがとー! あっ、因みにその資源ダンジョンは難易度別に複数存在していて何度でも攻略可能になっているから、存分に利用してね」


 なにが資源ダンジョンだ! 誰かが常に貼り付いていないとモンスターが外に出てくるだろうが!!

 ああ~もうっ!!


「……伝えたいことはこれでいいかな。女神様、彼だけ外に出してあげて」

「ええ」


 指パッチン、それだけでカメラマンはフッと消えた。


「それじゃあシルドラ、私の作ったダンジョン攻略、頑張ってねー!」


 っ、地震!?


 建物全体が揺れ動き始めた。俺はちょっと飛んでやり過ごすことにしたが、立っていられないレベルの揺れで他の人たちは地面に伏せるしかなかった。

 そんな中、スタジオの地面が丸ごと崩れて人々が落ちていく。ワフと女神は宙に浮いていて、フッと消えた。

 壁も下から崩れ始め、照明が消え、足元から暗闇が迫ってくる。

 ダンジョンの名前と星の数が暗闇から表示された。


『スライムハウス』

『★』


 スライムハウス? 黒星? どういう意味だ?


 疑問に思っている間に名前と星の表示は上昇して通り過ぎ、俺は暗闇に飲まれた。

 暫く待っているとパッと明るくなり、俺は通路のど真ん中で飛んでいた。壁も天井も地面もプルプルとしていそうなゼリーっぽい灰色の物質で、飛んで移動するのに充分な幅と高さがある。

 警戒しつつそっと着地すると、足の裏にプルンとした弾力が感じられた。ちょっと踏み込んでみると、しっかりと反発してぽよんと揺れ動いた。


「ふむ」


 スライム……か?


 壁に移動して手に触れ、なにも起きないことを確認してから握り込んでえぐり取り、とりあえず食べてみた。


「不味い」


 石の味がするゼリーだ。


「……よし。助けに行こう」


 怒りも収まり、一緒にいたスタッフたちを探す為に飛んで高速で移動する。防具に着替えるのは状況が分かってからだ。

 早速、モンスターを発見。バスケットボールくらいの大きさで、赤い核を持った半透明な青色のぷよぷよした不思議生物……『スライムベビー』だ。

 無視して進めば、赤や青や緑といった色違いのスライムベビーが点々と徘徊していて、壁や天井に貼り付いていたりした。

 天井から降ってくるスライムを回避しつつ迷路みたいな通路を進んでいると、前の十字路の横から人が走って出てきた。


 ラッキーちゃん! ――んっ!?


 彼も俺に気付き、巧みにスライムベビーの飛び掛かりを回避しながら笑顔でこっちに手を振って走ってくる。同時に、彼の背後から沢山のスライムベビーが波のように迫っているのが見えた。


 これは……燃やすか。燃えるよな?


 疑問に思いつつも彼の少し前に着地し、安全確保の為に周囲のスライムベビーを軽い【ファイアブレス】で燃やして倒せることを確認。

 そして一言。


「伏せて」


 彼が俺の足元に向けてヘッドスライディングを敢行したと同時、いつもの威力の【ファイアブレス】でスライムベビーの波を燃やした。数秒後に止めれば跡形もなく消えていたが、ドロップアイテムも燃え尽きたのか無かった。



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