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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第17話 ドラゴン娘、ショートカットする



 ショートカットの穴に飛び込んで十数秒……最下層のボス部屋に到達したのか、洞窟っぽいドーム状の広大な空間の端っこに出た。天井からは常に紫色の弱毒の液体が雨のように垂れ続け、足元は紫色の液体が溜まっている。


 アレがボスか。でかいな……いやでかいな!?


 中央には全長数十メートルはあるんじゃないかという巨大なサンショウウオっぽい奴が動かずにいた。茶色の体表は粘液に包まれてテカりを帯びている。名前は『キング・ベノムサラマンダー』というらしい。


 ……これは、上から来たから俺に気付いていない? チャンスだ!


 飛んで真上に移動し、魔剣を上段に構え、首に目掛けて落下する。自由落下と振り下ろしによる速度の相乗で凄まじい威力になった斬撃がキング・ベノムサラマンダーの首の大部分を斬って着地した。毒液は膝の高さまで溜まっていた。


 ――なにっ!?


 確かに首を斬った。だが、真っ赤な血が染み出すようにゆっくり流れ出したキング・ベノムサラマンダーはまるで意に介さず、泳ぐように地面を滑って動き出した。

 離れて様子を窺えば、距離を取って体を反転させて頭を俺の方に向け、牙の無い大きな口を開けて緑色の液体を光線のように一筋の線として吐き出した。


 っ、『強毒』!?


 緑色の液体がより強力な毒であると分かって全力で回避。凄まじい勢いで放水が通り過ぎ、弱毒の水飛沫が舞って石の底が見えた。底は水圧によって大きく削られて跡が出来ていたが、すぐに毒液が流れ込んで見えなくなった。また、僅かにだが弱毒の色が緑寄りに変わっていた。


 マズイ、環境的に長期戦は不利になる奴だ。


 飛んで強毒の放水を回避しながら接近し、再び斬る。不意打ちの一撃と比較すると浅くて小さい傷で、血は染み出すようにゆっくりと流れ出すだけ。

 他の場所を斬っても同じで、体中を斬り刻んだのに……一向に動きが鈍らず、失血死するように見えない。


「なんなんだこいつ、生命力あり過ぎだろ!」


 文句を垂れつつも次の手はもう決めている。体表を幾ら斬り刻んでもダメなら、急所への集中攻撃や、致命傷になるレベルのでかい一撃だ。

 側面に回り込んで魔剣を深く突き刺し、そのまま横に押し込んで尻尾まで斬り、深く長い傷口を作る。そうしてようやく、キング・ベノムサラマンダーは痛みに多少暴れ、動きが鈍くなった。


「……マジか!?」


 動きが止まったと思った直後、キング・ベノムサラマンダーの体表から幾つもの小さな穴が現れ、緑色のガスを噴出し始めた。それは強毒のガスであり、口からも吐き出すと怒り狂ったかのように素早い動きで泳ぐように滑り、壁に当たって方向転換した。

 壁に、亀裂が入って毒液がぴゅーっと噴き出し始めた。


 くそっ、強引に倒さないとここが毒液に沈む! そうなればこいつの独壇場だし、そもそも溺れる!


 大きく息を吸って止め、暴れる奴の頭に魔剣を突き立てるが、暴れるせいで魔剣が体からすっぽ抜けてしまう。


 こうなったら――!


 魔剣をストレージに仕舞い、頭部に出来た傷口に手を突っ込み、振り落とされないように片手で交互に肉を掴んでは引き千切っていく。

 千切って千切って奥へ進み、体内へ侵入。ドラゴン娘の肺活量は凄くてまだまだ息を止められる。でも血の中で目を開けていたくない。見えない状態でひたすら進み、手でちぎる感触が柔らかい物に変わった。同時に、これ以上ないくらいにキング・ベノムサラマンダーが暴れ始めたのが分かった。ぶんぶん揺れ、上下左右に傾く。


 ……まさか……。


 柔らかい物をひたすらに千切ってバラバラにすれば、激しかった動きが次第に緩慢になり、痙攣が起き、それすらなくなって動かなくなった。レベルアップし『Lv.22』になった。


 ……やっぱり。ここ、脳内だったか。

 では早速、いただきます。


 ボスを倒したと確信したのでぱくりと脳を食べてみる。


 あんまり美味しくないな。


 血と変な味がして、食感も柔らかくてぷにぷにであんまり美味しくない。

 今度は引き千切った肉を食べてみる。


 おっ、こっちは鶏肉っぽい。


 意外と美味しくて、肉の部分はどんどん食べてしまう。息が苦しくなってきたので体の中から出てみれば、ボスを倒したことで部屋のギミックが解けたのか毒液が完全に引いていて、強毒ガスも無くなっていた。

 キング・ベノムサラマンダーの体も溶け始め、黄金に輝く小さな聖杯と、青く光るガラス玉が一つ出た。


『聖杯(☆5)』……星五の聖杯。ちょっとした小さな願いなら叶う。


『アビリティ玉』……アビリティ【水中呼吸】が内包されている。食べることで習得できる。


 ガラス球を拾い上げてみれば、直径二センチくらいの大きさで、ひんやりしてて硬い。


「これを食べるのか……いただきます」


 口に入れ、唾液で充分に濡らして滑りやすくしてからごくりと呑み込む。食堂を通って胃の中にストンと落ちたと同時、アビリティ【水中呼吸】を習得した。


「次は聖杯。勿論、願うは《《猫神チエともう一度戦いたい》》」


 手に取って願えば、願いが受理されて聖杯が光り輝き粒子となって消え、目の前に猫神チエが実体を持って瞬時に現れた。



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