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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第13話 ドラゴン娘、進化する


 幻覚で花まみれなダンジョン内を走り、小さな神様の幻影を追い掛けつつ生の毒キノコをぱくり。


 うん、美味しいけど。味も香りも薄い。


 毒に冒されっぱなしだけど、これ以上の毒で内臓の痛みが増すことはないし気合でなんとかなっている。

 噴き出る冷や汗を腕で拭い、毒キノコを発見したので採取して即食べる。

 次の場所へ移動すれば、七色に光るチューブ――恐らく幻覚の影響でそう見えてるだけのポイズンスネークに遭遇。毒霧を吐かれるが既に毒状態なので気にせず突っ込み、ペインソードで首を一刀両断。

 気を緩めて一息。


「――げほっげほっ。げほっごほっ」


 やばい。今更と思ったけど判断ミスった。


 毒霧から出て深呼吸するが、喉はイガイガ、胸はズキズキ痛い。ちゃんと酸素が取り込めていないこともあってか息苦しい。


「ペンシルドラゴン、その魔剣があって良かったね。本来なら毒の痛みでまともに行動できてないよ」

「……ああ」


 そういえば、魔剣ペインソードには所有者の痛みを和らげる祝福があったの忘れてた。

 それはそれとして、自分で名前を決めておいてなんだけど、長いし早口で言いにくいな。


「神様、名前が長いから『シルドラ』って呼んでほしい」

「ん、シルドラね。いい愛称だ」


 パッと思いついただけなんだけど、確かにいいな。


 ドロップアイテムは出ず、移動を再開して毒キノコを見つけては採ってすぐに食べる。幻覚の時間延長の為に幻キノコも食べる。

 次に遭遇したのは蛙座りをした紫色のもこもこ羊――恐らくポイズンフロッグ。正面から突っ込んで毒液を全身に浴びながら接近し、ペインソードで頭部を斬って一撃で倒す。


「うわ、ぬるぬる……しかも生臭い」


 わざと当たってみたが最悪だ。皮膚がヒリヒリして痛いし、皮下に浸透しているのかインフルエンザに罹った時のような、筋肉痛と関節痛が起き始めた。


 イタタタタ…………でも、なんか生きてるって感じがして、ちょっと心地いいかも。


「次はこっちだよ」


 神様に案内されて移動すれば大広間に着いた。幻覚で黄金色に輝く麦畑が広がっていて、もこもこ羊が沢山、伏せた状態でじっとしている。

 麦畑の中からサーモンっぽい魚の玩具が跳ねると、羊たちが一斉に舌を伸ばして捕まえ、ぱくりと食べた。


 ふむ、蛙の大群か。毒状態で倒しきれるか……?


「神様、進化条件って、この幻覚と毒状態は維持しないとダメ?」

「ダメだね」

「分かった」


 仕方ない、このままやろう。


 魔剣を構えて真っ直ぐに突っ込み、手前にいて背を向けている羊――いやポイズンフロッグを一刀両断。すぐさま別の奴を斬りに掛かって二体目を撃破。

 だが俺の存在に気付いた他のポイズンフロッグが一斉にこっちを向いて毒液を吐いたり舌を伸ばしたり、高く跳んで踏み潰そうとしてきた。

 毒液は浴びても構わないので無視し、伸びる舌の射線を見切りつつ踏み潰しを回避する為にその場から移動。その先にいた一体をズバッと斬って、さらにもう一体を斬って倒す。

 あとは部屋の隅まで動いて離れ、仕切り直しに突っ込んで同じことを繰り返す。


 くそっ。肺にダメージがあるから息切れが早いし、毒のせいで体力が明らかに落ちてる!


 汗を拭い、少し息苦しい状況でも戦い続ける。途中で『Lv.9』になったが喜んでる暇もない。


 ――っ、しまっ――耐えるんかい!


 死角から伸びた舌が足に当たって貼り付き、強く引っ張られた。

 が、咄嗟に踏ん張って姿勢を保つと、転倒せずそのままの姿勢を簡単に維持できた。ただ、幻覚で花畑に見えている地面は腐葉土の為、ずるずると滑るように引きずられた。これがしっかりした足場ならピクリとも動いていない。

 舌を切断し、攻撃した奴にこっちから真っ直ぐ近づいて頭部に一刺し。

 捻じって引き抜いて残心しながら振り返れば、羊たちの動きが止まっていた。まるで蛇に睨まれた蛙のように。


 ……これは……。


 試しに尻尾を地面に叩いて威圧してみれば、羊たちは我先にと一斉に逃げ出し始めた。


 やっぱり。こいつら、ドラゴン娘である俺の脅威に気付いたんだ。でも遠慮はしてやらない。俺の経験値になれ!


 逃げるポイズンフロッグを追って、一体ずつ斬って全部倒した。最後の一体で『Lv.10』になった。


「ふぅ」

「お疲れ様。毒と幻覚の状態でよくやってくれたよ。条件は満たされた。進化の時だ」

「遂に――ぐうっ、ぐあああああああああああ!」


 人間からモンスター娘に変わった時のように、内側から熱が沸き上がり骨と肉体が急激に変化を始めた。

 毒よりよっぽど辛い痛みは十秒ほどで収まれば、神様が俺の前にきた。前よりさらに透けてる。


「シルドラ。生まれ変わった気分はどうだい?」

「……体が軽い。痛みもない。毒が消えてる?」

「うん、毒は進化によって消えた」

「なら幻覚も?」

「消えたよ。私が消えてないのは、君の進化を見届けて助言をする為だ」

「助言?」

「その前に自分の姿を確認したいでしょ?」


 神様が指パッチンすれば、真横に大きな姿見が出現した。


 色が変わってる。


 顔立ちや体型は変わっていないが、髪色と瞳が赤から紫に、羽や尻尾や角は濃い紫色になっていた。頭に浮かんだ言葉は『ポイズンドラゴン』。

 新たなスキルとして【ポイズンブレス】と、常時発動のアビリティ【弱毒耐性】と【幻覚耐性】を習得した。


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