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ドラゴン娘になった俺、ダンジョン攻略の果てに神になる。  作者: 覇気草


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第11話 ドラゴン娘、毒ダンジョンに挑む



 はい到着!


 数十分程度の空の旅を終え、目的地らしき東京都のど真ん中にあるダンジョン近くに着地。周囲を三メートル以上の高さのある鋼鉄のバリケードが囲い、足場には防護服を着た大勢の自衛官が内側に向けて小銃を構え、厳戒態勢を取っていた。

 規制線に近づけば、見張りの傍にいた佐官クラスの幹部自衛官が声を掛けてきた。


「あなたがペンシルドラゴンさんですね?」

「はい、そうです」

「用件は聞いています。どうぞ中へ」


 案内されたのは指揮所のテント。

 人払いでもしたのか中には誰もおらず、ホワイトボードとテーブルとパイプ椅子と通信機があるだけ。


「どうぞ、適当に座ってください」

「失礼します」


 促されたのでパイプ椅子の一つに座る。


「それでは早速、ここのダンジョンについて話をしましょう。現在、バリケードの内側では大きな毒蛇がうじゃうじゃいますが、壁を這い上がれず封じ込めに成功しています。ですが一つ問題がありまして……昨日、封じ込めに協力してくれたモンスター娘がダンジョン攻略に潜ったきり、戻っていません」


 えっ!? それは聞いてない。


「……私はそのモンスター娘を見つけて、地上へ戻ればいいんですか?」

「そうしてくれると助かります。例え健康状態に問題がなかったとしても、一度帰還してください」

「分かりました。ところで質問いいです?」

「どうぞ」

「そのモンスター娘、どんな種族で、どういった理由でダンジョンに潜ったんです?」

「種族は恐らく、蛇のモンスター娘――『ラミア』かと。ダンジョンに潜る理由は、残念ながら分かりません。この場が落ち着いてすぐ、彼女は我々の制止を聞かずに潜ってしまったので」

「そうですか」


 なんで話をせずに潜った?

 その姿で話をするのが恥ずかしかったとか?

 それとも聖杯を手に入れて邪な願いを叶えたかったから?

 ……まぁいいか。


「じゃあ、今からダンジョンに潜りますね。通信機持ってますし、連絡が取れるように周波数を合わせましょうか」

「いや、その必要はないです。部下を一度ダンジョンに潜らせたのですが、電子機器が一切機能しなくなる現象が発生したので、すぐに引き上げさせました」


 流石はダンジョン、そういう制限は徹底してるなぁ。


「なら、これはお返しします」


 咽頭マイクを外して指揮所から出れば、他の自衛官がチラチラとこっちを見ている。痴女みたいな格好のせいか、ドラゴン娘だからかは分からないが、ちょっと不快だ。


 綺麗な人とか、胸の大きい人ってこんな感じに見られてるんだな。


 とか思いつつバリケードに近づき、ジャンプして足場に着地。隣で警戒中の若い自衛官が音に驚いて振り向き、前に向き直ってすぐに綺麗な二度見を決めた。視線が俺の胸に釘付けだ。


「ああ、ごめん。驚かせた?」

「あっ、いえ――大丈夫です」


 おおっ、一瞬でキリッとした。そんなに俺って魅力的か?


 聞く気はないのでバリケードの内側を覗き込めば、全長二メートルくらいで紫色に黒い斑点模様の『ポイズンスネーク』という、そのまんまな名前の蛇がうじゃうじゃいた。


 ……壁際に集まってるな。これなら中央に着地してブレスで一掃できる。


「ちょっと火を吐くんで、周りに伏せるよう言っておいて」

「あっはい。みんなー! 火を吐くらしいから伏せてー!」


 彼の大きな声に、他の自衛官はサッと伏せた。

 俺は足場からバリケードの内側の中央へと飛び降りてすぐに【ファイアブレス】。大量の火を吐きつつ右へ左へ薙ぎ払い、蛇を全て焼いて倒した。


 むぅ、やっぱりか……。


 最初にゴブリンを倒した時から予想はしていたが、倒したポイズンスネークは全て、霧散して消えてなにもドロップしなかった。経験値も入っていない。


 これは後々、地上に出たモンスターと戦いたくないって言う奴が出て問題になるな。このダンジョン攻略が終わったら誰かに報告しよう。


 考えつつダンジョンの入り口に移動すれば、前と同じように入り口上部にウィンドウが現れた。


『どくどく毒沼』

『☆☆☆☆☆』


 星五……これで五階までだったら、階層の数と見て間違いないな。

 それに明らかな毒特化のダンジョン……生きて帰れるかな? 不安だ。


「まぁ、いざとなればすぐ戻ればいいか」


 そのつもりでダンジョンに潜る。

 前のダンジョンと同じく充分な幅と高さがあり、光源が無くても下りの綺麗な石階段の奥がよく見える。現代のトンネルのような馬蹄形の灰色の壁と天井は水に濡れていて、ぴちゃ、ぴちゃ、と水滴が落ちてきている。湿気も高くひんやりとした空気が漂い、魚のような生臭さが充満している。

 階段を下りきってダンジョンの地面――『毒沼』の紫色の水に浸ったぐずぐずの腐葉土に足を着ければ、くるぶしまで沈み込んだ。足を取られて動き難い。

 歩けば、ぬちゃっ、ぬちゃっ、と音が出る。


「むっ」


 少し歩けば、泳ぐように這っているポイズンスネーク三体と遭遇。


 そういえばこいつ、毒を吐くんだったな。さっきは地上だったからさっさと殲滅したけど、一度くらいはどういう攻撃をしてくるのか見ておいた方がいいか。


 警戒しながら攻撃を待てば、ポイズンスネークは飛びついて噛みつける距離まで近づいたところでおもむろに首を持ち上げ、威嚇するように口を開けた。

 直後、口からブシャーっと紫色の煙を大量に吹いた。


 ――うわっ、毒を吐くって『毒霧』かよ! ダンジョン内でそれは凶悪だって。

【ファイアブレス】!


 飛び退いて離れつつ火を吐き、毒霧ごとポイズンスネークを焼く。ドロップアイテムは出なかった。


「これは一筋縄ではいかないかも」


 気を引き締め、俺は探索を始めた。


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