9話 決まってんだろ?(イオ達side)
視点が変わりますのでお気をつけください。
「さて、そろそろいい時間だね。」
色々あった私の誕生日会もそろそろお開きとなりそうだ。神父様の言葉で片付けが始まる…と言っても、使ったお皿を片付けて台所に持って行くとシスターが汚れたお皿を洗ってくれてる。そのまま近くに置くとお風呂に入ってらっしゃいと言われたので頷く。あ、洋服はクローゼットの中に入れて大事に入れておこう。なんか靴作ってくれるらしいし。一緒にシスターから貰ったケープも閉まっておこう。っと、その前に…。
「イオ。」
「ん?」
「今日は…そ、その来てくれてありがとう。…色々あり過ぎたけど、楽しくて…あの、えーっと、嬉し…かっ…たので」
うぅぅ…恥ずかしくて最後は声が小さくなった…お礼すらまともに言えないなんて…うわあぁぁ…。
「…いや、俺こそ嬉しかったよ。ありがとう。」
笑ってお礼を言われた…。なんでお礼を言うの? 私が言うのは分かる。でも何で?
「何でお礼を言うの?」
「何で? って…。そーだなぁ。好きな子の一緒に誕生日を祝えたからな。」
「そう。」
「おう。」
私は、答えてないのに…何で嬉しそうな雰囲気になるんだろう…。
「お、お風呂! お風呂入ってくる! じゃ、っじゃーね!」
「おう。ゆっくりして来い。」
居たたまれなくなって、急いでお風呂場に向かう。脱衣所で服を脱ぎながら考える。
「…イオって落ち着いてるよなぁ…。同じぐらいだよね。でも、」
神父様達と昔からの知り合いだった。まぁ、って事は年齢を誤魔化してる…よね?何でも知ってそうだしなぁ。でも、年齢誤魔化して、私の所来る必要ある?? それに、貴族って護衛なしてくるものなの? 前見た貴族は馬車で来ていたし護衛だっていた。だから…んー。まぁ、考えてもわかないし…何より。
「好き…好きって何だろう?」
この世界に生を受けて6年…人を好きになった事は無いし…前世も好きになった事は無いし…困ったなぁ。それに、本気は本気だとは思う…でも…。
「なーんかなぁ。」
信じられるかって聞かれると何とも言えないんだよなぁ。なーんでだろ。お互いを知らないから…とか? それかとも。
「去年の“私”かな。覚えてない私がイオと《《何か約束したから》》…とか? それなら、律義すぎ…なんだけど。あの目はマジだったし…。はぁ。」
逃げられないと、本能で分かるくらいの圧だった。ま、考えても仕方ないし…なる様にしかならないか! うん! 分からん!
オペラが風呂に入ってる間にさっき言えなかった事を伝えておこう。風呂上がりのオペラも可愛いんだろうなぁ…。っは! 今度可愛いパジャマも作るか!
「なぁ、1つ聞きたい事がある。」
「…っち! んだ。」
なんで毎回、俺が話しかけると機嫌悪いんだよ。
「機嫌悪くね? …まぁいいけどよ。絶死の聖女って知ってるか。」
「ああ。知ってる。」
即答。当たりだな。
「何処まで?」
問いかけると、リビングの扉が開きアニスが4人分のお茶を持ってきた。ぇ、俺の分あるのか?? そのままコールド、シルバー、俺に渡す。…マジか、ちょっとビビるんだけど。
「はぁ。仕方なく…お前の分は白湯です。」
「あ、うん…ありがとう。」
小姑みたいな事してくんなコイツ。しかも、絶妙にぬるいな。まぁ、言いか。
「正体は?」
「知ってる。…聞いたからな。」
「ああ、生き残りに子供がいたんだっけ?」
「ああ。それと虫の息だった奴にな。半分ひき肉になってて、聞いたと言うか繰り返し呟いてただけだけど。」
ああ。知ってたのかならいいか。
「教団が狙ってる。」
「…っだろうな。」
流石。情報は早いな。顔を見る限りは嫌そうだなぁ。苦虫を嚙み潰したような顔で答えるコールドにアニスが口を開く。
「どの部隊ですか? お前なら知っているでしょう?」
「多分。5か7教団だと思う。」
「その2つか。比較的にマシだね。来ない事には越したことはないし、あんまり戦闘って好きじゃないんだよね。」
「戦闘狂が良く言う。」
いや、昔のお前の事知ってる奴が、今のお前を見たらビビるからな? てか、今でもギルドの手伝とかハンターの事鍛えてたりしてんだろ!? 後、難易度の高い以来とかヤバそうなモンスターとかは、お前の所に話が言ってるの知ってんだからな!?
「ふふふ…何を言っているんだ? 僕は戦いはそこまで好きじゃないよ? おかしなことを言う。ねぇ。コールド、アニス。」
「…あー。ノーコメントで。」
「ぇ、あ…あはははは。」
ほら、お前! 2人がすっごい雑な誤魔化して笑ってんだろ。お前と全然目を合わせねーな。
「君達ね…。」
「そ、それで! お前はそれを伝えに今回きたのですか?」
話を振るにも雑だな!? いいけどよ。
「それもあるけど、好きな女の誕生日を祝いに至って言ったろ?」
「ほ、本気だったのですか!? え…えぇぇぇ!? お、お前が!?」
「おい。何でだよ。はぁ。もう、いい。話が進まねぇ。後は、そうだな。多分まだ、動かないとは思う。」
「どうして? 分かってるんだろ?」
何、分かりきった事聞いてんだよ。お前等の方が知ってんだろーが。
「向こうにとっては、”噂程度”なんだよ。この話が。それに、アイツ等は、確信ねぇーと動かないだろ? 後は…まだ、オペラの魔法が何か分からってない。だから、襲ってくるとしたら。」
「1年後の儀式の後…か。」
コールドの言葉に頷く。時間はないがやれる事をやる。まぁ、義妹曰く”光魔法”は確実らしいけどな。主人公だから…ってさ。
「ああ。だから、それまでにアイツに魔法の基礎と基礎体力も鍛える。」
「お前が?」
アニスの言葉に頷くと何故か驚かれる。だから、何でだよ。いや、俺の事なんだと思ってんだよ。
「…聞きてぇ事がある。」
「なんだよ? 改まって。」
「どうしてそこまでやるんだ?」
「い、いやだから…。」
「惚れた腫れたの話はもういい。恋愛感情ってだけで、動くお前じゃねーだろ。本当の目的はなんだ?」
嘘は許さない。真剣なまなざし俺を見て問いかけるコールド。アニスもシルバーも俺を真っすぐに見る。別に本人にバレてもいいし。どっちでもいいか…。ニコリと口角を上げて笑みを作り完璧な笑顔で口を動かす。それだけでも、空気が張り詰める。ひでぇな。殺意と殺気飛ばしすぎだろ…。結構評判いいんだけど俺の笑顔。
「“――――” かな?」
「クズが。」
「おいおい。ひでぇー言い草。」
そう言い終わると同時に扉が開き、オペラが現れる。そのまま俺の方に歩いてくる。ん? どうかしたのかと首を傾げると、何故か両頬を小さな手で挟まれ、ムニムニされた。温かくて小さな手だ。それでも、少しガサ付いている。今度、ハンドクリーム持ってくるか。義妹が王都で流行らしてたし…。
「ぇーっと、何してるんんだ?」
そのまま何故か、両頬を引っ張られる…痛くはねぇけど。意味がわからない。そんな俺を見ながら口を開く…。く…口小さい! 可愛い。
「変な顔してたから。」
「…変だったか?」
「他は知らないけど、私は好きじゃないなって思った。」
「あーそうか。悪い」
気を付けると言うと小さく頷き頭を撫でられた。ちょっと、幸せかもしれない。そう思っていたら、次の言葉の衝撃で固まった。
「うん。今の方が好き。」
「す、…き?」
す、好きって、俺の今の方が好きって!? な、どうし…ああああ、俺も好き! ああ、白い肌に風呂から上がったばっかだからか、少し赤い。拭ききれてない水滴が頬を通り首筋に落ちる…。首に巻いてあるタオルに触れて頬と首を軽く拭く。ああ、可愛い。可愛い…すっごい可愛い。オペラ好き。
「うん。」
「そうか。」
なら、早く思い出して…欲しい。なんて、傲慢だよな。あの時も思い出すかもわらないって言われたのにな。あははは…。それでも…それでも。
「イオは、今日どうするの?」
そー言えば、今日はどうするかは考えて無かったなぁ。最悪はギルド行って頼んでもいいけど…折角だから、オペラがどこまで俺の事許してくれるか気にはなる! 試すとかじゃないけど! そう、違うけど! 関与出来る範囲は知りたいし! うん!
「あー。そーだなぁ。オペラの部屋泊まっていい?」
さぁ! 何て答える! オペラ!
「いいよ。」
「……いいのか?」
おい! お宅の娘さん! どんな教育してんだ! そう思って3人を見ると、すっごいコールド以外は食器の片づけを始めた。え? 何この反応!? もしかして…初めてじゃ…何のか!? それはそれでショックなんだけど!?
「お、オペ…」
「お泊り初めて!」
「……っ。あーうん。」
嬉しそうに笑って言われたら、もう、うん。しょうがないじゃねーか! いいよ! 頑張るよ! 好きな女が喜んでんだ! 乗り越えてやるよ!
「ヴィオラ。服は適当でいいわね。お風呂入りなさい。」
「お、おう。」
「あ、案内するね。その後、先にお部屋言って準備してくるね!」
「わかった。」
なんか、全部普通に準備されて終わった。なんなんだろうか…。まぁ、言いか喜んだし。うん。俺は考えるのは辞めて、オペラの案内で風呂に入る事にした。
今どきの子供って抵抗とかないのか?? なんで、アニスもシルバーも止めないんだ?? そう思っているのは俺だけなのだろうか…。
「って事で、風呂入って寝るわ~。」
「お休みなさい!」
そう言って何故か、オペラとヴィオラが手を繋いだ。は!? いや、何で手を繋ぐ必要があるんだ!? お、おい!
「待ちなさい!」
「どうかしたの? 神父様?」
さ、最近の子って男女でも一緒に寝るのか!? んー。確かに俺達が任務の時とかは野宿でテント張ったりしてたけど! それは信頼があったからで! お前達は今日出会ったんだろう!? い、いや、ヴィオラの中では2回目か…。って、お前! 女に興味無かっただろうが! 昔、言い寄られすぎて、キレてただろう! ふざけんな! それに、オペラにはとっては“初対面”なんだぞ!?
「部屋なら空き部屋があるよ。そっちを、ヴィオラに…」
「え、他の部屋ありましたっけ? 今、客間は掃除中でしたよね?」
確かに…客室は今掃除中だ。なんか虫が大量発生したからな。…が、可愛いオペラをその男と一緒の部屋にするなんて、しかもベットを許すなんて…! 許せん! オペラの母親との約束もあるし! 何よりここに入った時から、俺達大事な娘だぞ! 許せる訳がない!!
「あるよ! 馬小屋が。」
「え、う、馬小屋は流石に…。それに、」
はっ!? 男なんてその辺の草むら十分だそ! 何よりヴィオラは強いから大丈夫だ! な、何でそんな信頼しているんだ! 出会って数時間だろ!? っく! オペラ! 何故なんだ!
「……ぐ、ぐぅぅぅ……ヴィ…オラ!」
「わーてるよ。」
ま、まぁ、好きな子に全面的に信頼されて一緒のベットに寝る事になったらそれはそれでしんどいか…。天国と地獄だもんな。その気持ちは痛い程分かるが! い、嫌しかし! ああああ!
「…ぁー? ああっ!」
隣で、成り行きを見守っていたオペラが俺とヴィオラを交互に見て突然わかったように頷き親指を立てるオペラ…い、いや! わかったのか!? 駄目だぞ! 男はどこまで行っても狼なんだからな! オペラ! クッソ! つーか、何で前ら一緒にね、寝る…のか? 一緒の部屋だけだよな?? あーもぉ! このんな事なら他の部屋ちゃんと掃除しておくんだったあぁぁぁぁ!
果たして俺の心の声は2人に届いたのか…。俺は今日、寝れるのだろうか…。
「ねーよ。ただ、そうだな。好きな女の全部に俺が関わりたい。それだけだよ。」
最後にそう言ったヴィオラの顔を俺達はきっと忘れないだろうな。
イオは一目惚れですが、結局”理由”が見つからないけど、好きだと言う事しかわかっていません。ただ、オペラの身体を構成する衣食住には全力で関わりたいと思っています。




