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10話 過去編1

残酷な描写もありますが…それでも宜しければ…。多分! まだ…まだ! 大丈夫だと思います!

苦手は方は戻っていただければと思います。


それでも宜しければ。お願いします。

「なぁ。オペラ」

「んーなぁに?」

 ベットに腰を掛けるとお風呂から出たイオが居た。早いな…。髪の毛濡れてるなぁ。肩にかけてあったタオルを手に取り、隣に座ったイオの頭にタオルで拭く。おお、艶艶だぁ。光に反射して綺麗な銀髪。

「…こー言うのは俺以外にやるなよ?」

「しないよ。する相手もいないし。」

「ならいいけど。勘違いする奴はいるからな?」

 勘違い? そもそも、出会って直ぐに、お家に来てお泊りするなんてイベント早々起きないと思ってますが? その上、今から一緒に寝るんですよ!? そんなイベントみたいな事人生で普通は起きないからね? とか言っても…既に前例ができたから、説得力がないな。

「…気を付ける。イオも気を付けてね?」

 イオは私よりも綺麗で可愛いからね! それに貴族だし! そう思っていると、イオが口を開く。

「そうだ。来週から基礎体力上げて行こうぜ。その後に、“魔法”の勉強な。明日は、色々必要なもの揃えたりするから。」

「来週?」

「ああ。流石に、俺も1回、帰らねぇーと心配されると思うんだよ。」

 一応、無断外泊だし…。なんか嫌な単語聞こえたけど…聞こえなった振りしよう。

「…え、誘拐とかにならない?」

 とか思ったけど、無理だった。だってだって! 相手は貴族だもん! ここ、教会なんだけど…。でも、シスター達の落ち着き具合見ると大丈夫そうだよね。馬小屋進めるぐらいだし…。それは流石に…と思って止めたけど…早まった? 

「大丈夫だろ。一応は、連絡はしておいたし。」

「いつの間に。でも、良かった。」

 なら安心だ。連絡は私がお風呂に入った時に連絡が取れる魔法で済ませているらしい。…なら良かった…。本当に、“魔法”って便利で何でもありだなぁ。この世界…乙女ゲームなのに、乙女ゲームっぽい、イベントとか何もして無くない?? 私が闇堕ちする事しか今分かってなくない?? い、いや、でも、攻略対象のイオに出会って…

「イオさ。」

「うん? なんだ?」


()()なの?」


 私は知らない。イオが攻略対象って知ってるのは、()()()()()()()()からだ。でも、それが本当かどうかは分からない。だって、聞いただけだから…。でも、嘘はついてないと思う。現状、何の知識もない私はイオからの話でしか判断は出来ないけど。

「…んー」

「言えない?」

 目を瞑り、顎に手を当てながら考えるイオを見て、まぁ、普通は答えないよなぁ。もしかして利用したいのかも知れないし…。

 だって、簡潔一番に“一目惚れだ! 結婚しよう!”って言ってくる奴なんて…よっぽどの馬鹿か下心ある奴ぐらいだ。イオが、前者な訳ない。何より、あんな映像を見せるぐらいだ。自分も巻き込まれる可能性がある。私だってごめんだ。…私を裏切る可能性だってある。気を付けないといけない。私が信じられるのは、シスターと神父様とおじさんだけ。

「お前が、()()()()()()()()()()()。教える。」

 笑って頭を撫でられる。頭を撫でる手が優しくて馬鹿だなぁって思う。これ、私が“主人公”だからかな。凄いなぁ。主人公。こんなに綺麗な人まで、虜にするんだから…。凄いなぁ…。ぁーぁ。

「分かってるなら、私を鍛える意味はあるの?」

「あるぞ。後、何回も言うけど、“違う”からな。……ほら、布団入れ。今日疲れただろ?」

 そう言った。イオの顔は見えなかったけど、何となく声は悲しそうだった。気のせいかな?

「…確かに、今日は色々あったし…。」

 言われて2人でベットに入る。上を向いたら薄暗い天井が見えた。

「来週から頑張ろうな。」

「うへぇ。運動苦手なんだけどなぁ。」

「頑張ろうぜ。」

「はぁーい。」

 うん。改めて考えるとコレは…やばいよね? んー。でも、イオは何も言わないし、なんか、止め…止められ…大丈夫か…。何となく不思議な感じするなぁっと思ったけど、直ぐに眠気が来る。今日は本当に色んな事があったから、凄い眠くなってきた…。

「オペラ。おやすみ。」


「うー。おやすみ。イオ。」


 目を閉じると睡魔がやってきた。すぐに夢の中に入った。


「ほーんと、()()()()()()()()()()。ふはは。可愛い寝顔。……なぁ、早く、お思い出して……なんてな。好きだよ。オペラ」


 そう言う寝落ちる寸前に聞こえたイオの声はとても優しかった。

 

 




 …………1年前…………




 世界が…反転した…まるで黒い…暗い…闇…


 あれ? なんで、私の視界は“黒”一色だ。ああそうか、これは動物の毛皮だ。だから見えないんだ。ん? あれ? 何でこんな事に…? ぬるり…手に濡れた感触が伝う。濡れてる?

「…ぅえ?」

 自分の両手を見ると、真っ赤に濡れていた。 

 赤い…中に、赤黒い色も混じってる気がする…。あれ? 私、何をしてたんだろう? …思い出せない? 私…何してたっけ? 周りを見ると、シスターと神父様が私を見て抱きしめる。あれ? 抱きしめてから気が付く。周りに、血の跡が沢山あった。だからなのか…。私の手が震えて…いや、シスターが震えてる。驚く私に神父様が頭を撫でて、それで…その後は何も覚えていない…。

 ただ、聞いた話だと、気絶した私をシスターが抱き上げて神父様と帰ってくれた。その後には半壊した洞窟、岩や瓦礫で原形を留めていない状態に、抉れた地面と燃えた草木、なんの肉かもわからない塊が何個もあったらしい…。



 数時間……


 私の目の前に2人の男が殺意と殺気を飛ばしながら目で武器を構えられる。何この状況。

「悪い事言わない。無駄な抵抗は辞めておけ。」

 大きな剣を持っている男が私に言う。ローブを被っている男は持っている杖を握りしめながら口を動かしている。あれだ。魔法唱えてる…。その上、睨まれてるし…。さっき初めて会ったのに? 何で? でも…。

「わたしが、ていこうしなかったら、そのこ、たすかる?」

 倒れている子供を指さしながら問いかける

「コレ?」

 “これ”っと言いながら、ローブの男が足蹴にしているのは、小さな子供だ。私よりちょっと年下だと思う。何より、血を流し、水溜まりを作っている。このままじゃ、死んじゃう。死んじゃうのは可哀想だ。私の事助けてくれたみたいだし。

「あし、のせないで。」

「ふっははは。コレさぁ。()()()()()()なんだよな。」

「しょゆう?」

 何を言っているんだろう? 子供だよ? 意味がわからない…。

「そう! だから、コレは“人”じゃないんだ。だから、お前に関係ねーんだよ。」

 言いながら、指をパチンっと鳴らすと…熊の魔物が唸り声を上げ、臨戦態勢をとると同時に、私の背後の()()()()が何本も蠢き始める。

「…。」

 凄い、今の状況って、まぁ、どう考えても私が敵側だよね。おかしいなぁ…私まだ、生を受けて、5年だけど、()()()なんだけどなぁ…。 でも言える事は、一言…。

「うるさいな。」



 なーんで、こうなったんだろうなぁ…。襲い掛かる攻撃を何とか、避け、逃げながら思う。今日は、なんてこともない良くある日常の一コマだった、良くあるシチュエーション。

 シスターと山菜採りに行ったら、その帰りに動物に襲われました! なんとか逃げている途中にシスターと逸れてしまった。泣く泣く、動物から隠れていると音がした。

 音がする方を見ると小さな女の子と女性が走っている。どっちかって言うと、女性が女の子を引っ張って逃げてる? のを…後ろから熊の様な動物…全身真っ黒のあれは、確か…魔獣…だっけ? 熊の魔獣…? この前、文献と神父様の手描きの絵で話してくれたけど。その…なんて言うか、神父様って絵が下…独創的なんだよなぁ。ギリ特徴を押さえては…いるって感じ。シスターはフォローしてたけど、愛だな。確か、神父様の話だと、動物に魔力を与えると“魔獣”になるって言ってた、後は魔力を宿した“魔石”と呼ばれる石を与えると魔獣になる…とか?

 そのまま走るが熊が足の遅い子供に腕を伸ばして、次の瞬間、熊の鋭い爪が子供の背中を抉った。その勢いのまま私の隠れている前にも斃れる。声をかける前に少女は気がついて口を動かす…が閉ざした。女性がいない。逃げた?


「…っぇ?」


 そのまま、熊が子供に近づいて肩に歯をたて持ち上げる。

 肩から血が吹き出してる。


 赤い…真っ赤…赫い…緋い…あかい?


 アカイ…あかい…


 死んじゃう…声が出ない


 シンジャウ……言葉が出ない


 しんじゃう…音が出ない



「っぁ!」


 "しぃ"


 綺麗に笑う子供が…私を見て人差し指を口に当てる。無意識に口を両手で覆うと、子供は微かに頷いて…。

 

 それで…………………………………………………………………………獣に噛み殺された


 下向けに倒れる子供を見てる私…。え? な、なんで?? どうして?? 真っ赤な血が子供からゆっくり流れていく、それと同時に生気がどんどんなくなっているのが分かる…。

 

 早く早く早く、手当しないと…………


 ………………なのに、なんで、私は…うごけない。あああああ…


 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


 助けなきゃん助けなきゃ…。


 どうしたら………?

 

 動けずに子供の倒れた姿を見ている私の耳に2人の男の声がした。


「おい。上手く行ったか?」

「ああ。アズール。よくやった。」 


 “ぐる”


 2人の男が現れると、アズールと呼ばれた黒い動物は嬉しそうに頭を差し出す。その頭に優しく撫でるのは片方の細身の男だ。白いローブと腰には短剣が2本。もう1人は細身の男性よりも筋肉がありそうだ。茶色の短髪。腰に長い剣を持ってる。手には、先ほどの子供と一緒に逃げていた女が居た。2人を見ていたらローブの男が女を見て忌々しそうに吐き捨てる。

()()が。」

 その言葉は知ってる。魔女…魔女は確かにいる。私も聞いた事あるし、実際に出会った事ある。でも、あの女の人が魔女?

「おい。やめろ。それに、その子は。」

 ガッ…っと魔女と呼ばれている女の人を蹴った。それと同時に舞う血飛沫。震える私…神経が研ぎ澄まされる…未だに私が見つかってないのは、あの子の血の匂いのお陰だろう…。あああ。どうしよう。私はきっと、助かる。だって、私は“主人公”だもん。ここでは死なない…きっと逃げれる…!


 でもでも! でもでもでもでもでもでもでも…っでもでもでもでもでもでもでも! あの子が…


「っち。」

「おい!」

 焦った男の声がした瞬間、目の間で倒れている女の子を蹴り飛ばした…

「…っぇ?」

 声が漏れた。慌てて口を両手で塞ぐ…なんで?? 何で…何で…何してるの??

 

 真っ赤な血が飛ぶ…そのまま流れる様に鈍い音と共に落ちた。

 グッチャ…!

 

「ああ…くっそ! コイツ等の所為で!」

 落ちた女の子を…踏んだで、蹴る。身体から血が出る。もう、しんでるのに。やめてやめてやめて。


 蹴り上げ、踏みつける…。

 やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて! 


「っ…め、ぁ?」


 ビチャ… あれ? 目の前が真っ暗になった…。


 違う…私の見ている世界が…黒い。


 こっちは黒い…のに、あっちは明るい。眩しい。消さなきゃ。あんなに明るかったらあの子が()()()()()


 ズゥ゛グチャ


 私の下の地面が黒くなった。黒が…


 ドブッッン


 私を…飲み……込、ん……っで…?


「…知ってるよ。でも、僕にとっては魔女だ。例え、この国の教会が準備した聖女サマだったとしてもだ! コイツのせいで! コイツのせいで! 僕達の故郷は…! それに、コレは“贋作聖女(がんさくせいじょ)”だろ? なら…別に…って…なんだ。」


 ああ、虫が子供に集って殺そうとしてるんだ。


 シャリン、シャン、シャン…


 ジジ…ジジ、ジ…


「ねぇ。おマえたチは…」


 グブグブ…グブブブブ…



 “黒”が私を染め上げる…。


 そうだ、おかーさんが私を助けてくれた時にいた。


 あの黒いローブの人が…おかーさん… 


 違う! 私のお母さんは、“流行り病”で亡くなって… あれ? この記憶は…何?


 ソウダ、おかーさんノ首ヲ…手ニ持ッテル刃物デ…首ヲ…突キ刺シテ


 違う! 倒れて。そのまま…寝たきりに…なって、薬も無くて…


 違う…チガウ…違う…!


 おかーさんノ首ヲ…刺シテ…血ガイッパイ流レテ…

 

 チガウ違うチガウ!

 

 そのまま起きなくなったんだ! お母さんは!

 

 違うチガウ…ちがう…チガウチガウ


 …身体カラ、首カラ頷クミタイニ落チテ、


 ゴンッッ!!


 って音がしてゴロンって転がって…それで、それで…それで、黒いローブの人が笑いながら炎を出して燃や…した。

 途中からシスター達が助けに来てくれて最後まで覚えて無いけど…でも、でも、森は…たしか、最後に見た…ら、


「もえた…。」


 そう。燃えたんだ…。あの子も燃えるの? おかーさんは燃えたんだ…。だめ。それは駄目! なら、私がする事は1つ、目の前の()を排除しないと。


 暗く…黒く…深淵の中を覗く様に私の足元が黒く広がる。そのまま周囲を黒く染めながら飲み込み…そして広がる。


 ああ、でも、さっき見た記憶って()()()()()()のだっけ?



 ぐちゃ、ビチャ…ぐちゃッッン! 


 人の形をした真っ黒い“何か”が綺麗に現れて、真っ黒い真ん丸の中心にひびが入ると同時に、生まれた…。


「っ…なんだ!? お前!」


 ビチャ、グチャ…ブチュン…黒から生まれたのは…“(主人公)”…


「…ッ。まぶシ… ん。なニ、モの?」


「お前がな! 【炎の槍(フレイムランス)】」


 炎の形をした槍が私に向ってくる。熱そうだなぁ…片手を前に出すと“黒い”何かが、炎の槍を掴みそのまま消えた。おお、すっごい…ん? なんか変。あれ? 私の肌の色が変…灰色だ…んん?? うーん。ま、いっか。


「…ちぃ!」

 直ぐに“次”を構えるローブの男を見据えて口を開く。


「【黒墨くろすみ】」


 小さな声で()()()()()()()()()()。なんで…まぁ、いっか。ゆっくり、だけど確実に黒い墨が色をつけていく。

「っ! んだよ!」

「あし、どけて…」

 ドロっと、黒から現れた私見て手に持っている大きな杖を構える。ローブの男が声を掛ける。

「おい。その子を…」


「【黒輪こうりん】」


 私の背後から真っ黒の輪が現れると同時に、ブォッッン! っと音と共に地面が抉れた。…が、あ、避けられた。まぁ、いいか。側にいる子供を見ると既に死んでいた。開いている目を、手で閉じさせる。うん。よく見ると可愛い子だね。もち上げると軽かった。んー。見た目は私と同じぐらいの年なのに…めちゃくちゃ軽いんだけど…ネグレクトって奴かな?

「かる…っ」 

 それか…子供を確認していると影が私の頭上に出来る…。


「【黒墨くろすみ】【黒輪こうりん】」

 

 振りかざされる大剣を黒い影が絡めとる様に受け止めると同時に触手のように剣にへばりつき黒く剣を染めていくと、同時に真っ黒い環を2枚出現させて後ろで何かを呟くローブに向って撃つ。

「エル!」

「っち!」

  エルと呼ばれたローブの男は避けると同時に言葉を放つ。

 

「【風の刃(ウィンドブレイド)】」

 

 風が丸い刃の形を成して数本襲い掛かる。それと同時に大剣のお兄さんが剣を手放すと私の腹めがけて蹴りを入れるが、黒い触手を出して受け流して、避けると同時に風の刃が襲う。あーヤバいな。慌てて影の中に子供を入れる。後、さっきから変な感じがするんだけど…なんか変な匂い? 気持ち悪い気配がお兄さん達の後ろの更に奥からしてるんだけど…。後、女の人どっかいった?

 

「【黒剣こっけん】」

 

 黒い墨で周りで来る風の刃を受け、小さな黒いナイフを6本、出現させるとそのままローブの男と大剣のお兄さんに1本ずつ投げる。ああ、子供の手だから難しい…。

「“どく”だよ?」

 言った瞬間2人は、避ける。その瞬間、残りの4本を2人の着地地点めがけて投げる。ああー、もぉ。 距離が! 届かないっ! 

 

「っちぃ! オラ!」

「【突風ガスト】【火球ファイヤーボール】」

 

 大剣のお兄さんが4本のナイフを吹き飛ばすとローブの男が無数の火の球と荒い風をふかし砂を巻き上げ、私の腕目掛けて攻撃するのを何とか躱すが…っ。あーくらった…。

 

「……」

 

「へぇ? 泣かねぇーんだな。クソガキがよ。」

 ポタポタと、腕から血が流れる。その上火傷したみたいでじりじり痛む。置かgで、めちゃくちゃ痛いよ。後、ローブの男の人口悪っ! でも声からして、絶対にイケメンだ。顔見えないけど!

「なぁ、このまま、やめねーか? さっきの子供を返してくれるなら。」

  逃がしてくるって事? あんな扱いしてる癖に? 信じられないし、私の家は教会だから、安全だし! 何より…。

「あのこ、どーするの?」

「教会に連れて行くんだ。」

「ふーん。」

「別になんもしねぇーよ。お前だって、死にたくねぇーだろ?」

 さっき、おもっくそ蹴ってたじゃん! この子聖女様なんでしょう??

「おにーさんたち…は、わるいひと?」

「うーん。ギルトって言えばわかるかな? その冒険者だよ。」

「…なら、“うしろ”のどうくつにいるこたち、も…たすけるの?」

 言った瞬間2人から凄い重圧を感じる。ああ、これが、“殺気”ってやつだぁ~。あははは! すごい! すごい! ビリビリくる~!

「…っな、んで」

「どこで知った?」

 でも、良かった。当たった。後、さっきから誰かに見られてる? でも、2人からじゃないな。

「あ、あたった?」

  笑った瞬間、ローブの男が呪文を唱える。何でさっきから聞いただけで攻撃されるんだ…。うーん。結構いい笑顔だと思ったんだけど…駄目か。でも、良かった。さっきからね。私の中で、ずーっと、声が聞こえてたんだよ。さっきの聖女ちゃん(子供)だろうな。死んでも友達思いなんて素敵だな。

「悪いが、嬢ちゃんにはここで…」

  言うと大剣に真っ赤な“石”を当てると同時に割ると炎が現れると剣に纏わせた。え? 凄い、え、付与ふよだ。実践だとあーするんだ! おじさんがギルドの講習でやってた! わぁ。危ないなぁ…。んーでも、手は痛いし…あ、そうだ。

 

「【写渡(うつしわたし)怪我けが】」

 

 あっは? 嗤って、自分の怪我をした腕を指さすとお兄さんも私の腕を見ると同時に、お兄さんが剣を離しかけるが持ちこたえる。すごーい! 耐ぇた~。結構痛かったのにぃ~

「…っは? ぐ、っち…!」

「あっは。」

 ざーんねん! 落とすと思ったんだけど…流石、流石、冒険者ギルドの人だ。大剣持ってるだけあるなぁ…。笑っている私を睨みながら構え直すお兄さんの片腕から血が流れ出る。やったぁ~。せいこーだぁ!! 私と全く同じ場所に怪我をしたお兄さん…ただし、私の腕は治っている。というか、()()()()()なんだけど。怪我を丸々写真みたいに。完成系が分かんないから痛みは…んーあるっぽい? そこも突き詰めないと…錯覚してくれたらいいなぁ。でも、写したのは“怪我”だけだしなぁ…うーん。

 

「マジかよ。嬢ちゃん。どう考えても“魔法”使える年齢じゃねーだろ? 何者だよ。 って言っても笑ってるだけだもん…なぁっ!」

 ガッっと大剣を地面に目掛けて振り下ろすと地面が割れると炎が割れた場所に沿って私に襲い掛かる。え、あれって受け止められる?? 魔法って形あるっけ? …まぁ、やれば分かるよね?

「【黒墨】」

 黒い影が襲い掛かる炎を絡めとる…んーあっ! そーだ。

「【黒石くろいし】」

「なっ!?」

 影に触れている炎を絡め取り小さく小さくして、ぎゅっと握ると出来上がったのは真っ黒な石。やったぁ! 出来た! やったあ! 成功だぁ!! んふふふ! さっすがぁ~“私”! 

「フンフンフーン! ……ぅん。だいじょぶ。いこうね。」

 ふふふ~ん。すっごーい! えへへへ。分からんけど…なんかできたぁ~。主人公ってこん力あったのかぁ…すっごーい! 私の中で聖女ちゃんの声が聞こえる。うんうん。大丈夫。行こうね。

 

「ローラン!」

 

「な…おい! マジかよっ!」

 声の方を見ると、ローブの男が大きな風が吹き荒れている。あれって…もしかして…。

 

「じゃーな。クソガキ【テンペスト】」

 言った瞬間、吹き荒れる風の塊を私に向って撃つ。そのまま、周りの木々や砂、岩や木の根を飲み込み大きな塊がそのまま向かってくる。

 

「わー。」

 んー。どうしよう? どうしよう?? これは本気で…。んー。あ、そうだ! この威力試さないと! 手の中にある真っ黒い意石を見詰めて、投げると同時に言葉を唱える。

 

「【ばく】」

 

 バッーン!!

 

「んー。ぎりぎりだ。」

 危なかった…。目の間には半壊した穴。その中に出来た瓦礫。しんどい…。そろそろ。魔力なくなるなぁ…どうしようかぁ~? 

 

「そーいえば、おじさんがいってた。“きおく”も“けつえき”も“しんけい”もかわりになるって…」

 神経と血液は必要だし帰ると時とか…なら、“記憶”を代償にしたらいいのか。今日1日の記憶なら何とかなるかな? でも、大丈夫! だってだってだって! 私は主人公なんだもん! 死なない! 死ねない! 生きてる! 生きれる! 大丈夫!

 

 “タス…けて”


「うん。いいよ。だいじょぶ。いくよ…っと」

 その前に…爆発でも見られてるのは、やっぱり変わらないからなぁ…。どうしよう? どうし…よぅ

 

 バサッ…鳥が瓦礫に止まる。綺麗な鳥だ。さっきまで居なかった…

「あ! でも、やりかたしらない…」

 呼び出しとか出来たら…! あーでも、そもそもそんな魔法知らないしなぁ…。んー。よし! 無視しよう! そのまま穴の横を通り進む。たぶん。こっちだね…。私の中の声も言ってるし。んーでも、なんの準備もないのはなぁ。

 

 

 そう言って少女は、真っ暗な穴の中に入っていく。


 その後ろ姿を見て笑っている人影が空に浮かんでいる…。


「はっははは…。マジかよ。()()()()()なぁ。あれが、“主人公”かぁ。てか、ここ空の上なんだけど…バレてるのかよ。その上、無視して行くとか…」

 あれで“半分”か。すっげぇな。

「それにしても、可愛い顔してるなぁ。流石は、()()()。」

 やってる事、えげつねぇけど…。暫くは様子見だなぁ。いや~これから、楽しみだなぁ。




遅くなりましたが…ブクマと意外と見て頂いているようで有難うございます。

まだ、続きますのでよろしくお願いします。


完全には堕ちてません。これで半分です。主人公は終始目が死んだ状態で、ですが、顔は笑って戦っております。(半分落ちてるので!)



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