3話 え、地獄絵じゃん??
「ぅわぁ…。」
映し出された映像は、衝撃的な映像だった…。
世界がぶっ壊れてる…。殺戮と破壊みたいな? めちゃくちゃ引いた顔で映像を見てる私。
「分かる。俺もそうなった…。」
啞然として映像を見ている私の肩を軽く叩きながらイオは頷く。
感想…世界が…ぶっ壊れて地獄になってました。地獄には行った事無いんだけど…。
…夜に爛爛と燃える炎が街を囲む。立派なお城の城塞は半分ぐらい消し飛んでいるし、街は瓦礫と火で火事も起こってるし! 人は逃げ回るし、ああ、多分…死体が転がってる。ぅうっ…唯一の救いが、これがアニメーションの様な映像って事かな。今日眠れるかな…はははは。
それから、なんか真っ黒い人影? うわぁ…ドロドロしてる…何? 泥? い、いや、通った跡が溶けて…いや、腐ってる…? あ、ドロドロした人型が人間を飲み込む。場面が切り替わると、上から同じく真っ黒な鳥型が逃げる人間を襲う。食べたり、火を吐いたりしてる。異形の集団の蹂躙風景だ。怖いな。人型とか鳥型とか黒いから更に不気味さが増してる。
「最悪。」
「ははは。俺も“これ”見た時思ったよ。」
「…でしょうねぇ。」
はははっと笑うイオに、笑い事ではない私。まぁ、うん。笑うしかない…いや、もぉ、阿鼻叫喚じゃん。何のなの?
「はぁ。」
私が溜息をついている隣で、イオは普通にケーキを頬張っていた。マジかよ。すげぇな!? イカれてやがる…。
悲しくなりながら、私も貰ったガトーショコラを頬張った。普通に美味しいよぉ。ああ、目の前には、未だに逃げ惑い、襲われ、殺される人達の姿が…B級映画もビックリなクオリティだと思う。
「うまぁ。」
口の中にはコクのある苦さと甘さが程よく広がる。めっちゃうまなんだが?? この世界ってチョコレートもあんのもしかして!? 美味さに感動している私の横で信じられないと言う目で見るイオ。
「うわぁ、やっばぁ…。」
な、酷い! 食べてたら引かれたんだけど…酷くない? イオも食べてたじゃん! 思っても言わなかったのに! 口に出さなかった私は偉いなぁ…。って事にしよう。だって、だって美味しいんだもん! 止まらなよ! いつの間にか紅茶のおかわり入ってた。
「はぁ…んで? この風景が、その私の“死因”って事?」
「そう、あーっと、どの辺だっけ? ちょっと待って。」
言うと、映像がまるでスキップしているように場面が切り替わる。便利~。良いなぁ。私も使いたいなぁ…。ん? そー言えば、こー言う道具あったな…。
「ねぇねぇ。」
「んー。」
「似たような道具あるよね?」
「あん? ああ、魔道具か? 中継と録画出来るよな。あれ…親父とお袋が喜んでたよ。」
家族の事を残せるからって…嬉しそうにしてた。ビデオじゃん…。
「ふーん。あの、録画できるやつって”魔道具”って言う名前なの?」
なんか、勝手にテレビとか思ってたわ。あれ、値段高いんだよなぁ…シスターと神父様がめっちゃ悩んでた。小さいの買うかかで。ヘソクリの存在その時知ったし。
「いや、電視装置って言う名前だった思う。」
「でんしそうち…。」
確か、テレビの事だよね? え…! この世界テレビあるの!? すっごい! …って事は、冷蔵庫とかトイレとかも出来てる可能性もあるって事!? 冷蔵庫ないと夏は困るし…トイレは…うん。まぁ、言わずもがな…。察して欲しい! でも、今聞く事でもないよなぁ…ううぅぅ。
「お、ここだ。」
私が悩んでいる間に見せる場面になったらしい。下げていた目線を上げる。画面には“闇”が広がっていた。
「……っ!」
闇と言うのはおこがましい程の黒…これ、なんて言うんだっけ? ああ…深淵って言うんだったよね? その中から1人の少女が現れる。真っ黒いドレスに身を包み歩く少女。真っ黒い髪は、真っ白いになり、白い肌は青白い。瞳には生気が宿ってない。ああ、これは…。
「コレ、お前が堕ちた姿だ。すげぇよな。まるで人形見てぇだよな。」
「あー言うのが好み?」
チラッとイオを見ると、少しだけ悲しそうに首を振る。そのまま再度映像に目を向けると、少女の後ろから男性が現れる。ただし、背中に翼と頭に角を生やし、目の引くのは頭上に真っ黒に輝く環があった。歩く度に、何かが…ドス黒い液体が溢れ漏れ出ている…。何アレ…。そして、首には首輪と銀色の鎖につながれており、鎖の先は…視えないけど、私…あの堕ちた主人公が持ってるんだろうなぁ。
「えーっと。」
え? 何アレ…。チラリとイオを見ると、目が嗤って私を見る。その目が怖いんだけど!? って言う事は…
「あの、男の人って」
「…。」
更にニコリっと嗤う。あーイオの本当の姿って事? いや、待って? そー言う事??
「ねぇ。」
「んー。」
「あの映像の黒い翼が生えてるのって…」
「俺」
「俺…俺ぇぇ!? はぁ!?」
あっけんからんと言うイオに引く私。
「あー分かる。今と大分見た目、違げぇもんなぁ…。」
「違う違う違う! 身長とかじゃなくて、角! 羽!」
見た目、もそうだけど! それ以外もツッコむところあるから! え? かなり違うだろ!?
「あーあれが、本来の姿だからなぁ。俺の」
「え、あのドロドロも…」
めっちゃドロドロ出てるけど…引く。キモい。汚い…。少しだけ距離を明けようとする私を察してか瞬時に腕を掴まれると同時に肩を掴まれて密着させられる。力強っ! え、強い強い! ひいぃぃ!!
「んなわけねぇーだろ? あれは、なんて言うか…溢れ出てるんだよ。憎悪とか殺意とかが!」
そー言うエフェクトなの?? え、装飾品って事?? 私これから誕生日パーティーなんだけど!? 更に食欲失せるんだけど…。シスターが作ったご飯とケーキ食べれるかなぁ…。
「へ、ぇ…なら、あの鎖も?」
「おい。言っとくけど、あのドロドロしたのって、オペラの代わりに俺が出してるからな? あの鎖は…まぁ、後でな。」
「…ん? んん??」
なんか、言い淀んだけど、そんな事より気になるワード出たんだけど?? 俺が出してる? あのドロドロしたのを? 言われて首を傾げる私に、映像を指を指しながら言う。え、あのドロドロしたヘドロ的なのが私の中にある…と??
「あの状態の俺とオペラは繋がってんだよ。んで、お前の“感情”があーなって俺から出てるんだよ。」
「なんで?」
「知らん。視覚的に見えた方がより禍々しく見えて良いんじゃね? って言ってたよ。」
え、何その情報。てか、誰が?
「誰が?」
「俺に色々と教えてくれた奴」
ニヤリと笑う顔で、色々察してしまった私よ。聞かれた人、ご愁傷様である。
「…そっかぁ…って、いや、結局の所、私の”死因”は??」
「決まってんだろ? 討伐されるんだよ。人類の敵になったから…。」
「えぇぇー。」
嘘だろ!? あんな感情を主人公は持ってたってから、お前的な? って言われて殺されたの?? え、エグない? なんなんだ! この乙女ゲームは! 恋愛させる気あんのか!?
「なんだっけ? 確か、ついかこんてんつ? とか言うやつだわ。あのシーン」
ついかこんてんつ? ついか…追加コンテンツ!? なんの!? 何のための!?
「イオって、追加であーなるの」
「まぁ、お前が闇堕ちしたら…俺は、あの可哀想な姿になるな。」
自分で言って悲しくないのか? とか思ったけど、でもなぁ…。再度映像を見る…。なんて可哀想な…あんなドロドロのぐちゃぐちゃの液体撒き散らしながら私と一緒に世界を滅ぼそうとしてるなんて…。私も可哀想だけど!
だから、多分。私も思ったんだからイオも思ったんだろうなぁ。だって、目があって…。
”コイツ可哀想だな”
って思ったんだもん。いや、2人が2人哀れみの目を向ける事ってないからね? てか、凄いな、殺意増し増しの追加コンテンツで、私とイオはあの姿になるの? 悩んでいる私にイオが声を掛ける。
「オペラさぁ。」
「うーん。」
「どのぐらい知ってる?」
「何が?」
「この世界の事を…」
そう言うイオの目には、何とも言えない感情が浮かんでいる。分かる。分かるよ! ここまで、新鮮な驚きしてるんだもんね私…。コイツなんも知らねぇ…って思われると思ってるよ。だからね! 言うよ。
「何も知らない! 乙女ゲームの世界で、主人公って事と攻略対象は見たら分かるかも! 知れない…。この世界の知識?? は? 何それ! 状態です! なので、助けてください!」
そう高らかに宣言してから、ガトーショコラを頬張り紅茶を飲み干した私をイオは潔いがいいなっと笑ってから口を開く。
「この世界ってな。何本かシリーズ化されてるらしいんだけど…。」
「シリーズ化…。」
え? シリーズ化してんの!? え? 新情報が多すぎるんだけど!?
「あー。やっぱり知らねぇパターンだよな。うーん。まぁ、さっきのは、なんだ、その、あー、“悪役令嬢救済処置”っつー追加コンテンツらしんだよ。」
「は…?」
言われて瞬間、長いタイトルだと思った私は全てを諦めて現実逃避をしたのだった。
主人公ちゃんは乙女ゲームの内容は、パッケージに居るのが攻略対象って事と自分が主人公って事しかしりません。
死因は討伐理由ですが…ね。はっははは




